色々な状況・活動に応じて変化!消防職員の制服や装備について

警察官や消防士など、子供たちの憧れの職業も沢山ある地方公務員の職。カッコいい!と市民の憧れの的として目を引くのは、やはり制服や装備です。今回は、活動内容や状況に応じて様々なものがある、消防職員の持つ装備や制服についてのお話をまとめてみました。

自治体によってさまざま、消防士の制服

自治体によって規定が変わっている

消防職員は、正式名称「消防吏員(しょうぼうりいん)」と言います。一般的には、各地方自治体の公務員試験である、消防職員採用試験を受けて、合格後にその自治体にある消防署などに配属されます。

地方公務員である消防職員は、勤務中は制服を着用しています。その制服の形も、所属している組織や隊によっても異なりますし、それぞれの自治体によっても異なります。

式典などの際に参加する時に着用する制服

夏服と冬服がある制服

出初式などの式典に参加する時や、立ち入り検査や査察などの警防活動を行う時に着用するのが、消防職員の制服です。夏服と冬服があり、警察官のような制帽を着用します。

消防職員は普段は活動服を着用している事がほとんどなので、あまり制服を着用する機会はありませんが、消防署や消防局によっては、毎月〇曜日の朝礼時は制服着用、と定めている所もあります。

儀礼服

警察や自衛官と同じく、消防職員にも自身の結婚式の時などに着用する「儀礼服」と呼ばれる礼服があります。

儀礼服は、自治体の消防本部が貸し出しを行っている所もありますし、消防署で代々伝わっている物もあります。着用の義務はありませんが、人生の節目に着用する職員も多くなっています。

消防音楽隊の制服

出初式などの公式な式典を始め、消防関係のイベントにも多く登場するのが、消防音楽隊です。現役の消防職員のみで構成されている所もあれば、消防職員とその自治体の消防団員(消防団として活動する団員もいれば、消火活動などは行わず、消防音楽隊専任の広報部員として活動する消防団員もいる)が合同で構成している所もあります。

消防音楽隊が演奏をする時や、式典、イベント、コンサートなどに出る時にも制服を着用します。消防音楽隊の制服も、式典用の礼服から、夏服、冬服に分かれています。※ イベントの内容によっては、より市民に親しみを持ってもらう為に、制服を着用せずに活動服で演奏を行う事もあります。

一般的な消防職員のシンボル、活動服について

活動服について

消防職員が、普段消防署で勤務している時に着用している制服が、活動服です。活動服の名前の通り、そのまま災害現場や事故現場に出場し、活動できる制服となっています。

また、消防職員は24時間体制で勤務する夜勤のある仕事ですが、勤務中は就寝時でも活動服を着用したままです。これは、就寝時に出場要請があっても、着替える事なくそのまま出場するからです。

活動服は、消火隊・救助隊・救急隊で異なるデザインとなっていますが、右または左の上腕部にその自治体の消防局のエンブレムが付いている、右胸に階級を表す階級章、左胸に職員の名前が刺繍で入っている、背中の部分に所属している自治体の消防局の名称が、日本語と英語で表記されている、という4点は共通しています。

活動服と一緒に、キャップ型の自治体の名称がデザインされた帽子を着用意していますが、これは「略帽」と呼ばれています。略帽も、青やオレンジなど、デザインや色に自治体や所属している隊によって異なります。

消火隊や総務部、予備課など、一般的な消防職員の活動服

消防職員の着用している一般的な活動服は、青色の上下のデザインが多いです。自治体によって肩にオレンジのラインが入るなど、デザインに差異があります。

自治体内の防火水槽や消火栓などの防火装置の点検を行う時、お祭りなどの車両展示など、地域のイベントに参加する時にも活動服で行います。

救助隊の活動服(救助服)

上下オレンジの活動服は、救助隊員の活動服です。オレンジ色のつなぎ、と言われる事も多いですが上下セパレートタイプです。目立ちやすいオレンジ色は日本国内だけでなく国際的な救助色として採用されています。燃えにくく、静電気にも強い素材で作られていますので、色々な災害現場で隊員を守るために作られた制服です。

フロント部分やズボンの左右にファスナー式のポケットが付いています。

東京消防庁などの自治体では、狭い場所に侵入する時に引っかかってしまうのを防ぐために、肩章がありません。他にも、肘や膝など活動で破れやすい箇所には刺し子縫いで補強してあるなど、各自治体によって工夫が施されています。

靴はしっかり履けて脱げない、編み上げ式のブーツです。ブーツの裏側には反射板が付いています。

活動時には、肘や膝に黒のプロテクター、頭にはヘルメットを着用して、落下物や衝撃から自分を保護します。

特別高度救助隊のいる政令指定都市の消防局の場合、特別高度救助隊員のみ制服や装備が通常の救助隊員と異なる場合もあります。

救急隊の活動服(救急服)

消防職員及び救助隊の活動服は、自治体によってデザインや工夫などに差異がありますが、救急隊員の活動服は、全国統一のデザインとなっています。上下グレーの制服になっていて、夏服は半そで、冬服は半そでになっています。

救急隊の中でも、救急救命士の資格を持つ隊員の場合には、左胸の氏名の刺繍と共に「救命救急士」の文字を入れる、右もしくは左の腕に「救急救命士」のワッペンを着用する、などこちらは自治体によって異なりますが、救急救命士である事が一目で分かるようになっています。

活動によって着用する制服

防火服・防火衣

消防士、というとシンボル的な制服が防火服(防火衣)です。火災現場に出場する時に着用する制服です。

耐熱性の高い素材で作られた装備で、消火活動の為に火にも近づけるようになっています。活動服の上から着用する、上下セットからなる防火服とヘルメット、長靴、それに空気呼吸器のボンベをセットで装備し、活動します。ヘルメットには、シコロと呼ばれる布がついており、顔や首を火から守ります。防火服の上半身部分、腕、足元には暗い所で光る反射テープが付けられています。防火服やヘルメット、長靴で約8.5キロの重さがあり、空気呼吸器を含めて全て装備するとおよそ10キロもの重さになります。

消防隊は紺やベージュの防火服、救助隊はオレンジの防火服と、着用している人物が誰か一目で分かるように、所属している隊によって防火服の色を分けている自治体もあります。

東京消防庁の「特別消火中隊」の防火服

東京消防庁には、危険物取扱者資格や救急救命士資格を持つ隊員で構成されていて、特殊な火災にも対応できる、火消しのスペシャリストである「特別消火中隊」が配備されています。特別消火中隊の防火服は、黒色の防火服と金色のヘルメットの特別消火中隊だけの特別なデザインとなっています。

感染防止衣

救急隊員が救急車で出場する時や、救助隊員が事故現場に出場する時など、負傷者の血液からの感染などを防ぐために着用するのが感染防止衣です。感染防止衣と共にゴーグル付きヘルメット、マスクや手袋も一緒に着用する事も多いです。

洗濯して再利用できるナイロン製の感染防止衣もあれば、不繊布の使い捨てタイプの感染防止衣もあります。東京消防庁の救急隊の様に、常に感染防止衣を着用する必要がある為、耐水性も高い再利用できる感染防止衣を採用している自治体もあれば、救助隊の様にその場限りの使用が多いので、使い捨てタイプを採用している自治体や部隊もあります。

水難・山岳救助に使用する服や装備

水難救助時に使用する服や器具

ウェットスーツ・スノーケル・マスク・グローブ・フィン・ウェイト・ボンベなどの一式を潜水器具一式と呼びます。その名の通り海や川など、水辺での水難救助に使用します。

他にも、水辺での活動時に着用する救命胴衣があります。ほぼ全ての消防局で配備されている救命胴衣は海水用のものが多く、浮力は約8から9キロのタイプが一般的になっています。

上記の水難救助用器具の他にも、流れの早い川など、流水域での救助活動の際には、流水用救命胴衣、水難救助用ヘルメット、スローバックなどの流水救助器具を使用する事もあります。

水難救助には、空気を入れて膨らむゴムボートから、組み立て式のアルミ製まである救命ボート、水面にいる要救助者を確保及び救出するために使用する救命浮環を使用します。

山岳救助時に使用する服

遭難者や、怪我をして動けない要救助者への救助活動など、山岳救助時には活動服の他に、登山靴などの個人装備も着用します。また、山岳救助用の個人装備、ロープを始めとした山岳救助に特化した資機材をまとめて登山器具一式と呼びます。

山岳救助の時には、通常の担架に比べて収容者のホールド性も高く、足場が悪い場所での搬送や高低差のある場所での吊り上げ下げにも使用しやすいバスケット担架を救助活動に用います。

特殊災害時に使用する服や装備

危険から身を守る防護服

建物火災の中でも、石油コンビナートなどの危険物火災などの現場で活動する隊員の身を守るのが耐熱服です。防火服よりも耐熱性能が高くなっていて、銀色の素材で全身を覆い、隊員の身を守ります。

NBCと呼ばれる、テロや化学薬品工場の爆発事故、原子力発電所での事故などの特殊災害における活動時に使用する装備もあります。

有害な物質(有機ガス・二酸化硫黄・塩素二酸化塩素・塩酸・フッ化水素・アンモニア・メチルアミン・ホルムアルデヒドなど)の吸引を防ぐ防毒マスク、放射線から隊員の身を守るための放射線防護服、体に対して悪影響のある、浸食性の高い有害物質から体全体を保護する化学防護服、着用した人の呼気によって内圧を高め、外気からの化学物質の侵入を防ぎながら活動ができる、陽圧式化学防護服などがあります。

特殊災害時に使用する装備

特殊災害の時には、除染に使う除染用器具も活用します。要救助者や隊員から、汚染物質を洗い流すためのシャワーシステムである、組み立て式テントの除染シャワーや、汚染物質を中和する薬剤を散布する為の除染剤散布器などがあります。

化学物質や放射線が溢れている環境では、外気での呼吸ができなくなります。その時に使用するのが空気呼吸器ですが、一般的なボンベ式の空気呼吸器の他にも、酸素を発生させながら隊員の呼気を循環する事によって、長時間の使用が可能になった酸素発生型の循環式呼吸器もあります。

他にも、1台で酸素・可燃性ガス・硫化水素・一酸化炭素・音頭などに対応、同時に測定できるガス測定器や酸素濃度測定器、ガンマー線の線量率と積算線量の測定ができる、放射線測定、災害現場で隊員が行動不能状態に陥った時に、自動もしくは手動で警報音を出して、指揮者や他の隊員に自分の位置を知らせる為の携帯警報器などの装備があります。

たくさんの制服、普段はどこにある?

消防署に全て置いてある

制服や活動服を始めとした制服一式は、着替えも含めて全て消防署内の隊員のロッカーや、収納で保管・管理している場合がほとんどです。勤務中は、着用していた活動服も全て自分で消防署内で洗濯・乾燥まで行っています。

消防職員は、もしも大規模な災害や事故が起きた時にはただちに現場に向かわなければいけません。場合によっては何日間にも活動が及ぶ場合もあります。長期間に及ぶ消防活動が必要な現場に駆け付ける場合にも、帰宅せず消防署内で全ての準備ができるように、活動服を始めとした制服や装備、その他の資機材も全て消防署内で管理しているのです。

装備を始めとした資機材は点検を怠らず

車両を含め、消防活動で使用する資機材は、現場で正確に使用できるように点検や管理を欠かしません。また、保管場所や収納場所についても職員同士で情報を共有し、いつでも迅速に取り出せるようにしています。

もしも、保管場所や車両にある資機材の場所を動かしたときには、必ず他の隊員や職員にも伝えます。

まとめ

警察・自衛隊・消防は三大制服職ともいわれています。この中でも多彩な制服と装備を持つ消防の、今後の活躍にも期待したいと思います。
(文:千谷 麻理子)

本記事は、2017年9月29日時点調査または公開された情報です。
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