2022年7月参議院議員選挙のため、更新しました。(2022年6月28日)

【いまさら聞けない衆議院と参議院】国会議員とは?とその仕事内容や特権・年収について

国会議員とは、国会にて国に関する議決を行う議員です。選挙の時期や日々のニュースで国会議員の活動が報道されることはあれど、詳しくは知らないという方も少なくないのではないでしょうか。今回は「国会議員」の役割や仕事をご紹介します。


前回の「【法律はどうやってできるかの?】国会で法案が成立するまでのプロセスについて」では、国会で法律ができるまでをご紹介しましたが、今回は国会で働く「国会議員」に焦点をあてて、国会議員の役割とその仕事内容をまとめました。

そもそも「国会議員」とは

「国会議員」とは、国の立法府である「国会」に所属する議員です。議員とは、国会や市議会などに参加し、議決する権利を持つ人を意味します。国会に所属する議員は「国会議員」、地方の市議会に所属する議員は「市議会議員」です。

国会議員は、有権者である国民によって選出され、衆議院または参議院に所属しています。所属する議院によって任期が異なり、衆議院議員は任期は4年、参議院議員なら任期は6年です。

国会議員は、憲法48条によって衆議院または参議院のどちらかにしか所属できないと定められています。これは各議員は独立した1人の人間であり、各議院は一人ひとり違う議員で構成されなければならないため、同一人物を両方の議員に所属することは禁止しています。例えば衆議院に所属する国会議員が参議院議員に立候補・当選した場合、衆議院を退職しなければなりません。

日本の国会システム「二院制」の衆議院と参議院の違い

衆議院(しゅうぎいん) 参議院(さんぎいん)
議員数 465人
(令和4年6月28日時点:小選挙区289人、比例代表176人)
248人
(令和4年7月26日以降:選挙区148人、比例代表100人)
任期 4年間(最長) 6年間(3年ごとに半数が改選)
被選挙権 25歳以上 30歳以上
選挙区 小選挙区289区で289人 全国45区で74人
比例代表 全国を11区に分けて176人 全国を1区として98人

国会は、衆議院と参議院の二つの議院から成り立っています。このしくみを二院制といいます。
二院制の利点としては、
(1)国民の様々な意見をできるだけ広く反映させることができる
(2)一つの議院の決めたことを他の議院がさらに検討することによって審議を慎重に行える
(3)一つの議院の行き過ぎを抑えたり(抑制)、足りないところを補ったり(補完)できることなどがあります。

出典:https://www.sangiin.go.jp/japanese/goiken_gositumon/faq/a01.html

国会議員になるには? 出馬するための条件

国会議員になるには、まず選挙に出馬し合格しなければなりません。

選挙に出馬(参加)するためには、2つの条件があります。

国会議員になるための条件その1:年齢

1つ目は、「年齢」で、衆議院議員は満25歳以上であること、参議院議員は日本国民で満30歳以上であることです。

国会議員になるための条件その2:日本国民であること

2つ目は、「日本国民であること」です。日本国で生まれた人はもちろん、ハーフの者や帰化することで日本国民の国籍を持つ者も該当します。

この2つの条件さえ満たせば、選挙に出馬するための権利「被選挙権」を持つことが出来ます。学歴や経歴は関係ありませんが、国会議員の職務が「法律を作ること」がメインである以上、法律や政治に関する知識は必要です。

被選挙権があれば国会議員へ立候補することができますが、立候補のためには法務局に一時的に預ける「供託金(きょうたくきん)」が必要になります。供託金は選挙の種類によって金額が変わります。衆議院(選挙区)・参院選(選挙区)は300万円、比例代表では各党の名簿登載者数×600万円を預けます。

この供託金は、選挙にて当選または一定の得票を得た場合には返金されますが、一定の得票数が得られなかった場合は没収されます。この供託金を預ける制度があることで、無責任な立候補の乱立を防いでいます。


二重国籍問題について

国会議員になるための条件の、日本国民については、日本国民でもあるが他の国民でもある二重国籍という問題についてニュース・話題にあがります。

日本では原則、二重国籍は禁止になっているのですが、実際の問題について、どうなっているか今後特集していきたいと思います。

実際、二重国籍だった方の記事を参考までに紹介します。

私自身、二重国籍として生まれました。そして、日本でも二重国籍を認めてほしいと考えています。昨年の秋に抱いていた感情は「二重国籍の私が思うこと」で書きました。

出典)二重国籍だった私からしても、蓮舫さんは…

日本の国会議員の人数は?

日本の国会議員は2017年11月時点では、衆議院議員が465名、参議院議員が242名です。

国会議員の男女比は?

日本国民であることと満25・30歳以上であれば、誰でも国会議員に立候補する権利があります。国会の中継や日々のニュースを見ていても、男性の国会議員が多いように感じます。「内閣府男女共同参画局」によると、国会議員に占める女性割合は、平成24年12月の字典で衆議院は7.9%(38名)、参議院は18.2%(43名)となっています。

※出典:内閣府男女共同参画局
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/gaiyou/html/

女性議員が少ない背景には、国会議員という職務の忙しさから国会議員職と出産・育児との両立の難しさが挙げられます。現在、国会議員のための育休制度が整っていないことから、有権者からの支持を集められない、育児のために出馬を断念する方も少なくないそうです。

現在、育休を始めとする特別休暇については、国会議員は国民の税金である「歳費」で活動していることから、休暇中にこの歳費が支払われるか否かでも議論されています。具定例として、2017年1月には自民党の宮崎謙介衆院議員が、国会議員として初めて育休を取得しましたが

国会議員の主な仕事は3つ

国会議員の仕事その1「法律を作ること」

国会議員の主な仕事は、国会にて「法律を作ること」です。法律案(法案)の提案や提出された法案の審議、法律の制定などを行います。議会に提出された法案は、該当する委員会にて審議が行われます。

ちなみに、国会議員は常設機関である「常任委員会」または、議院の議決で設けられる「特別委員会」のうち1つ以上の委員会へ所属することになっており、議員の多くは自分の専門分野を扱う委員会に所属します。委員会には、衆議院・参議院ともに17の委員会があります。

委員会って何するところ?

委員会には、「常任委員会」と「特別委員会」の2種類があります。

「常任委員会」は、常に設けられている委員会で、衆議院・参議院ともに17の委員会があり、各委員会にて法案の審議・検討を行います。例えば教育に関する法案は「文教科学」、労働環境に関する法案は「厚生労働」にて審議します。

この「常任委員会」は、内閣、総務、法務、外交防衛、財政金融、文教科学、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通、環境、国家基本政策、予算、決算、行政監視、議院運営及び懲罰があり、必ず1つの委員会に所属しなければなりません。

次に「特別委員会」は、国会で必要だと認められた時に、特別に設けたられる委員会です。会期ごとに設けられる委員会のため、常任委員会と異なり、会期の終了とともになくなる臨時の委員会です。ですが、「北朝鮮の拉致問題」や「原子力問題」のような長年の課題の解決のため、国会が始まるごとに毎回設置される、いわば常任化している特別委員会もあります。

国会議員の仕事その2「予算を決定する」

国会議員は、日本の経済発展のための政策や予算の決定という重要な仕事を担当しています。


国の予算は内閣が作成していますが、内閣が会計年度(4月1日~翌3月31日)に予算の見積もりを国会に提出し、国会議員が見積もりを元に「国民が必要とする支出かどうか」を国会で審議・検討します。この予算の審議は衆議院⇒参議院の順番で行われ、検討した後、予算を決定します。

そして、翌年度には内閣は、国の収入・支出の決算を国会に報告します。また、国会議員は、国会にて内閣が予算に沿って経費(国のお金)を使用したかどうかを審議することや、諸外国との交渉も重要な役割です。

国会議員の仕事その3「内閣総理大臣を選出する」

国会議員は、「憲法第67条」で定められている「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名する。」という内容の通り、国会が国会議員の中から内閣総理大臣を指名し、指名に基づいて天皇が任命します。

国会議員の特権について

国会議員には、憲法により「不逮捕特権」「免責特権」「歳費を受ける権利」の3つの特権が与えられています。

1つ目の「不逮捕特権」は、国会会期中は逮捕されず、逮捕されたとしても議院が要求すれば会期中は釈放される権利です。ただし、国会議員が現行犯であった場合や議院の許諾があれば逮捕することができます。

2つ目の「免責特権」は、議院での発言・討論・表決に関して法的責任を問われないというものです。国会議員が自由に発言できなければ、議員としての使命を果たせないと考え、言論の自由が保障されています。

3つ目の「歳費を受ける権利」は、国から経費として歳費(国家が国会議員へ支給する手当)を受ける権利です。国会議員に与えられる歳費には、経費や活動費、交通機関の無料クーポン、公設秘書の給与などが含まれています。これらすべてが国民の税金で支払われています。

国会議員の年収・ボーナスは?

国会議員は、衆議院議員、参議院議員ともに月給で、およそ129万4000円の給料が支給され、 これに「期末手当」と呼ばれるボーナスが6月に約260万円、12月に約290万円の計550万円が支給されるので、年収に換算すると約2,100万円です。これに加えて前述した歳費が支払われることで、非課税で+1,200万円が加わり、合計すると3,300万円程が支払われています。(※上記の金額は2017年11月25時点の情報です。)

これは、一般企業でいうと日本の筆頭する商社の部長の年収がおおよそ1,000万円であり、それよりも高い年収です。このように国会議員の年収は、一見すると高すぎるようにも感じますが、仮に国会議員の年収がサラリーマンと同等になった場合、選挙費用が支払えなかったり、4年ないし6年で失職するという任期の問題が壁となり、裕福な家庭の人間しか出馬できなくなってしまうかもしれません。そうなると、一部の人間しか得をしない政治が行われてしまう懸念もあり、国会議員には手厚い保障が与えられている側面があります。

国会議員の退職金は?

国会議員には、退職金制度がないため、選挙で落選・辞任しても退職金が支払われることはありません。2006年までは一般の退職金に値する「議員年金」があったのですが、2006年の法改正により廃止となりました。

ただし、廃止以前の議員年金に加入していたものには、廃止前の年金から最大10%減額した年金が支払われています。そして、議員年金は私たち国民の税金から支払われています。

まとめ

今回は、「国会議員」の役割とその仕事、年収や退職金などの収入面についてもご紹介しました。

私たち国民の生活に関わる会議が行われる国会では、日夜、国会議員が審議を行っています。国会議員は、国民の代表となり国の政治を行う立場です。国民からの「生活をよくしてほしい」という要望に広く耳を傾け、必要な法律の提案や、予算を決める必要があります。
そのため、国民の代表である国会議員になるには、法律や政治に関する知識を身に着けておくとよいでしょう。

本記事は、2017年12月4日時点調査または公開された情報です。
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