【公務員試験重要科目「憲法」】「日本国憲法」の全文解説 第十一章

公務員試験重要科目の一つ、「日本国憲法」について解説します。第十一回は、第十一章にあたる憲法改正について書かれた第100条から103条です。(憲法全文解説第十一回)。日本国憲法の公布から施行までの期間に関する取り決めについて書かれています。


第100条は日本国憲法の施行に向けた準備について

第100条 この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日(昭和二二・五・三)から、これを施行する。
2項 この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。

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第百条から百三条までは「補則」であり、日本国憲法の公布から施行までの期間について必要な事項を定めています。

本条では、日本国憲法の施行は、公布の日から6ヶ月後の昭和22年5月3日であることと、日本国憲法の施行にあたって必要な準備が施行前から可能であること示しています。新たに認められた権利などに関する法律は、新憲法と同時に施行できるように準備されました。

なお、現在5月3日は「憲法記念日」として祝日です。

第101条は、参議院が成立していない場合はどうするか?

第101条 この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。

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第百一条は、参議院が日本国憲法施行までに成立していない場合は、衆議院だけで国会の機能を果たすことができると定めた条文です。

衆議院は旧憲法時代の衆議院議員がそのまま引き続き議員となりましたが、参議院は旧憲法時代には存在しなかったため、新たな議員を選挙で選ぶ必要がありました。

その選挙自体は新憲法施行前にも行えるように第百条で定めてあるものの、参議院議員の選出が新憲法施行までに間に合わなかった場合に備えて、この条文が用意されました。実際には参議院議員の選出は新憲法施行に間に合ったため、この規定は使用されませんでした。

第102条は参議院第一期議員の任期について

第102条 この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。

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第百二条は、第一期の参議院の議員の半数の任期を3年とすることを定めています。

参議院の任期は通常6年で、半数が3年ごとに改選される仕組みをとっています。そのため一番最初のメンバーについては、選挙での得票数が上位半数の議員を任期6年、そのほかを任期3年と定める法律を制定しました。


第103条は、現職の公務員の処遇について

第103条 この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によって、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。

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第百三条では、明治憲法下で公務員であった者は、新憲法に移行した後もその職を奪われないことが示されています。明治憲法下では公務員は天皇に仕える立場であったものが、日本国憲法に移行することによって、国民全体の奉仕者へと変わります。

したがって、本来であれば国家体制の変革とともに、新たに公務員を選びなおす必要があるといえますが、人員の交代によって国の政治が混乱するのを避けるために、公務員はその地位を失いませんでした。

ただし、これらの公務員も、新憲法を尊重する義務があることに変わりはなく、また、新憲法によって後任者が選出された時にはもちろん退職となります。

本記事は、2017年12月30日時点調査または公開された情報です。
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