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【海外の保育現場レポ】ユニークな「ニュージーランド」のデイケア

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羊が人よりも多く住む自然いっぱいの国ニュージーランド。その美しく壮大な景観から、数々の映画の撮影地に起用され、観光地としての注目度も高まっています。ニュージーランドの南島に約3年住んだ経験のある筆者も、現地の美しい自然に囲まれた生活の虜になった一人。家族皆でハイキングやカヤックに挑戦したり、ファームやワインヤードを横目にドライブしたりと、毎日がパノラマの世界に居るようで、今ではニュージーランドでの日々が夢のようです。

現地で生まれた息子も他国へ引っ越すまでの約2年間、たっぷり自然を感じながら本当に良い時間を過ごすことができました。特に生後9ヶ月から1年4ヶ月通った現地デイケア(保育園)の存在は大きく、語学だけではなく、素晴らしい先生やお友達のもと、独立心や自発心も学んでくれたように思います。正直息子をデイケアへ入園させる際は不安でいっぱいでしたが、共働きだった私達夫婦の大きな助けとなり、息子自身もたくさん遊びたくさん学び、大変実りあるものになりました。

ニュージーランドの幼児教育には、「デイケア(保育園)」の他に3歳から通える「キンディ」、親も参加する「プレイセンター」などがありますが、こちらの記事ではデイケアに焦点を当て、雰囲気や子供達の過ごし方、どんな利点があるのかなど、体験談を交えながらお伝えしたいと思います。

目次

各園アピールポイントが個性的。入園前には一度見学を。

日本でもそうだと思いますが、ニュージーランドンのデイケアは、事前に予約することで園を見学することができます。園児が居る時間帯に見学させてもらうことで、先生達がどのように子供達に接しているのか、どのくらいのスペースに何人くらいの子供達が居るのかなど、具体的なイメージをつかむことができるのでとてもオススメです。

筆者自身、市内に5~6件あるデイケアのうち3件の園を実際に訪問し、ゆっくり見学させてもらうことができました。それまではどの園もそれほど違いはないだろうと思っていたのですが、現場を見ると各園個性が際立っていて感心したことを覚えています。

例えば、カトリック系のデイケアは園が教会と併設されており、教育理念やカリキュラムもバイブルに基づいていることが印象的でした。『私達は皆家族』と先生がおっしゃっていたように、園の雰囲気は温かで子供達への愛情表現も豊か。ここなら、子供達が安心して楽しく過ごせそうだと良い印象を持ちました。

次に、モンテッソーリのフィロソフィーを実践するデイケアではまず、室内での土足を禁じているという点に日本人として心をくすぐられました。また、朝登園したら自分で鞄をしまうなど、子供達自身に身の回りのことをさせることで、自発的活動を促すことを大切にしていました。他にも、屋外の遊び場に緑が多く、小さな昆虫園や菜園があることも魅力的です。

3件目に訪ねた園は、立地が町の中心地と便利だと思ったのですが、その分他の園と比べると施設が小さく、思い切り走り回れるスペースが少ないという点がネックになり、最終的には候補に入りませんでした。しかし、料金が若干休めの設定だったので、立地もあいまり人気の園だったようです。

このように、どのデイケアもそれぞれユニークで、息子をどこに入園させるかとても迷いました。主人と意見を交換しながらじっくり考えた結果、息子にはカトリック系のデイケアを選択し、我が家にとっては良い選択だったと満足しています。主人がカトリックということもありましたが、広い園内と優しくフレンドリーな先生達、自宅から車で5分以内という通いやすさが決め手となりました。

料金はそこそこするが柔軟で使い勝手良し。3歳から国の補助も。

現地デイケアを利用するにあたり、気になるのは料金だと思います。各園、地域によって微妙に変わってきますが、はっきり言って安くはありません。息子の場合、2歳以下料金のフルタイムで一日55NZ$でした。ただし、息子は毎日通っていた訳ではなく週3日のみ。ニュージーランドのデイケアは毎日通わせなくても良いので、筆者も仕事が平日休みだったということを活用し、休みの日は自分自身で息子の面倒を見ることで、保育料を抑えることができました。

小さな子供2人を持つ専業主婦のママ友は、上の子のみ週2日デイケアに預け、下の子は毎日、上の子もデイケアに行かない日は自身で面倒を見るという活用方法をしていました。身近に頼れる人が少ない中、海外で小さな子供を育てるのはとても孤独で大変。


なので、たまには手の掛かる上の子から開放されストレスを減らし、そしてデイケアを通して先生や他のママ達と交流を持つことができるという、上手な使い方をしているなと感じました。子供もお友達とコミュニケーションを取りながらたくさん遊び、思いっきり開放できる時間を持つことはとても大切だと思います。

このように、ニュージーランドのデイケアは、共働きでなくても子供を預けることができるのです。しかも、通わせたい日数を選ぶことができ、パートタイムだけ預けることも可能なので、不必要な日数、時間の料金をセーブすることができます。子供との時間を増やしたいという場合にも役立ちますね。

また、3歳~5歳になると、一日6時間/週20時間まで国が保育料を補助してくれるという制度があります。2歳以下と比べると大きく負担が減るので、2歳までは頑張って自分自身で子供の面倒を見て、3歳からデイケアへ通わせるという家庭も多いのだそうです。

ちなみに、ニュージーランのデイケアでは、2歳以下の子供3人につき、必ず1人の先生を付けることが法律で義務付けられています。その為か、2歳以下の料金が高いのは頷けますが、裏を返せば一人一人しっかり見てもらえているという安心感がありますね。

息子の通ったデイケアでは、子供一人ひとりに成長を記録する大きなファイルが用意されており、写真などとともに先生からのコメントがびっしり。初めて歩き始めた時の様子、どんな遊びが好きでどんな風に周りを巻き込んでいるのかなどこと細かに書かれていて、先生は本当によく見ているんだなと感心しました。

のびのびとした園での一日。愛情たっぷりの食事やおやつも充実。

現地のデイケアはどんな雰囲気で、子供達はどのように一日を過ごすのか、とても重要で気になる所だと思います。まずクラス分けですが、息子の通ったデイケアは、2歳未満のクラスと2歳~5歳のクラス2のクラスのみ。2歳のお誕生日を迎えると同時に、上のクラスへ上がる仕組みになっています。なので、必然的に2歳以上のクラスは人数が多いのですが、その分部屋も広々としており、先生も充分な人数でしっかり目が届くようになっていました。

一日のスケジュールは息子の場合、9時~9時半:登園、10時:朝のスナック、12時:ランチ、14時:午後のおやつ、16時:夕方のスナック、17時~17時半:帰宅、といった感じで、合間合間に自由遊びの時間やお遊戯、お昼寝などが入ります。日本の保育園とあまり変わらない感じがしますが、お遊戯やレクリエーションは日本に比べて自由度が高いと感じました。

例えば、2歳以上のクラスでは、朝登園したらテーブルの上にビー玉や粘土、様々な画材が既に置いてあり、それらを使って自由にアート作品を作るのも良し、他のことをして遊ぶのも良しと、好きなことをさせます。ほかにも、誰か一人が歌い始めたりダンスをし始めたら、自然と周りを巻き込んでお遊戯の時間になるなど、一人一人の創造性や個性を伸ばす工夫がたくさん。

また、両クラスとも園児に年齢の幅がありますが、年齢ごとに集めて別のことをさせるということはありませんでした。年齢に関係なく皆一緒に遊んだり先生の話を聞いたりすることで、低年齢の園児は年上の園児を見て学び、年上の園児は年下の園児を助けてあげるなど、自然とお互いから学び、年齢にとらわれない友情も芽生え、すごく素敵なことだと感じました。

日本の保育園では複数のクラスに別れ、決まった時間に皆で一緒に歌を歌ったり、同じテーマの絵を描いた記憶があったのですが、それに比べると、ニュージーランドのデイケアでは皆で一緒に何かをするということは少なかったように思います。協調性よりかは、一人ひとりの個性を伸ばすことに重きを置いている点が、教育現場の違いとなって現れているのではないでしょうか。

食事に関しては園内にキッチンがあり、園児はできたての食事やおやつを食べられるようになっていました。野菜やフルーツがたっぷり使われれ栄養バランスの考えられたメニューは、大人の私から見ても美味しそう。さすがに日本食が登場することはありませんでしたが、煮込み料理のキャセロールやスパゲッティボロネーゼ、ホワイトベイトというニュージーランドでは有名な稚魚のフライなど本格的で、家では日本食の息子もよく食べていたようです。

飲み物に関しては基本的に水を与えており、子供達の肥満が心配される昨今、この点も安心できました。また、食物アレルギーのある園児に関しては、園の食事で食べられるものは食べ、足りない分は自宅から持参という対応でしたが、園によっては異なるようです。筆者の息子もいくつかアレルギーがあったので、万一の為の薬を先生に託し、アレルギーが起こってしまった際は薬を与えてもらい親に連絡が来るようになっていました。

まとめ

まるで壮大な自然そのもののように、大らかでのびのびとしたニュージーランドの幼児教育は、日本とはまた違った魅力がぎっしり。子供にとっても親にとっても、良い影響がたくさんあるのではないでしょうか。国自体も全体的に治安が良く整っているので、デイケアや自宅以外の場面でも、安心して開放的に過ごせることが魅力です。事実、現地では季節問わず裸足で走り回る子供達や、自然の中でたくましく遊ぶ子供達の姿をあちこちで見ることができます。

また、ニュージーランドは移民の国の為、デイケアに通う子供達も先生も実に多国籍です。息子の通ったデイケアには、フィリピン、ブラジル、中国、南アフリカ、インド、そしてニュージーランド人の先生が在籍しており、外国人の対応に非常に慣れていたように思います。筆者自身、日本とニュージーランドでの教育の違いに悩んだ際は、同じ外国人である先生方に相談することで、不安を軽減することができました。

このような点を踏まえ、ニュージーランドで子育てをすること、現地のデイケアを利用することは、多くの親子にとって素晴らしい経験になるのではないでしょうか。小さなお子さんとの親子留学や長期海外旅行の行き先としても、是非オススメしたい行き先です。


本記事は、2018年12月9日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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