アメリカを賑わすニュースに隠れた問題 #Me too movement

SNSを通して「#Me too movement」と呼ばれる性的被害を受けたことに対して声をあげる行動が話題となっています。これが別の問題を浮き彫りにしたという見方がされています。

今回は「#Me too movement」から見えてきたアメリカが抱える潜在的な問題について解説していきます。


「#Me too movement」とは?

「#Me too movement」の始まりとなったのは、2017年10月にアメリカ人女優のアリッサ・ミラノさんがツイッター上で、セクハラ被害を受けた人たちに「Me too.」と声をあげるように投稿したことです。

そもそも、セクハラ被害が発覚したのは「恋におちたシェイクスピア」や「シカゴ」などを手がけた、ハリウッドの有名プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインが出演者や女優たちにセクハラを行っていたとニューヨーク・タイムズが報じたことにあります。

この報道を受けた出演者や女優たちがアリッサ・ミラノさんの呼びかけに応じて「Me too.」と声をあげたことが一気に広まり、世界中で別の人物によるセクハラ問題やセクハラ疑惑までも暴かれていきました。

ハーヴェイ・ワインスタインは自身の会社を解雇され、アカデミー賞を主催している団体である米映画芸術科学アカデミーからも会員資格を剥奪され、実質的に職を失い、映画界からも追放されました。おまけに、妻からは離婚されてしまいます。

この流れにはレディー・ガガ、シェリル・クロウ、ビョークなどアメリカを代表するアーティストたちも賛同しており、怖くて声を上げられなかった人たちも一斉にセクハラを訴えるようになりました。

この流れは映画界だけでなく、アメリカの企業や大学などの教育機関も対象に次々と広がってセクハラ問題が暴かれていき、アメリカでは毎日のように誰かがセクハラをしたと報道され、大きな問題になっています。

この「#Me too movement」とは別に、セクハラ被害を訴えるケースも相次いでおり、CBSのニュースの顔とされていたチャーリー・ローズ、強豪チームとして知られるアリゾナ大学のアメリカンフットボールのヘッドコーチであるリッチ・ロドリゲスなどもセクハラの告発を受けて失職しました。

政治の世界にも影響は及び、アメリカの民主党下院議員でアメリカ政府のなかで議員歴が最も長いジョン・コンヤーズも元スタッフからセクハラを訴えられ、委員を辞任する事態になり、栄えある政治家生命に自身で泥を塗るかたちになりました。

このようにアメリカでは「#Me too movement」を始めとして、セクハラ問題は社会の大きな関心事になっていることは事実です。これほどまでに隠れていたセクハラ問題や、女性への性的嫌がらせはアメリカの恥ずべき実情と言われています。

同時に、セクハラ疑惑をかけられた男性は社会から完全に追放されてしまうという、異様なほどの厳しい社会の目に、一抹の不安を抱く声もあるのが事実です。アメリカでの「#Me too movement」の裏側には、感情論に流されすぎているアメリカ国民のモラルという問題が潜んでいるのです。

「#Me too movement」の影響

決して許されることではないセクハラ問題ですが、アメリカでは連日のように報道されるセクハラ問題に対して懐疑的な目を向ける世論もあります。


具体的には「#Me too movement」などのセクハラ告発、否応なしの社会的制裁の風潮に便乗し、誰かを陥れようとしている人がいるということです。とくに「#Me too movement」の熱が上がっている頃にそれが集中し、セクハラ疑惑が浮上した時点で、疑いをかけられた人が解雇などの制裁を受けるということが頻発しました。

セクハラ被害を訴えた人は「#Me too movement」に賛同するメンバーを中心に社会から守られる対象となり、逆に訴えられた人は弁明の余地もなく悪者に仕立てられてしまいます。実はこのような問題が一般人レベルで多発しているのです。

正義感が強いアメリカでは、ときに事実よりも感情の方が先行し裁かれることがあるため、無実の人であっても疑いをかけられた時点でアウトになってしまう風潮があります。

この問題は深刻化しており、先に紹介したアリゾナ大学のアメリカンフットボールのコーチの娘は父親の無実を主張し、訴訟を起こす姿勢です。

「#Me too movement」に隠れた問題

加熱している「#Me too movement」以降、しきりに話題になっているキーワードがあります。それが「ナルシスト」です。日本では格好をつけているキザな人に対して用いますが、アメリカでは自己の内面に執着する人のことを指すことが一般的です。

「#Me too movement」では、訴える側と訴えられる側に別れますが、訴える側にナルシストが集中していると言われています。このケースのナルシストは、他者の言い分を聞くことはせず、自己の中だけですべてを扱うタイプのため、誤解や勘違いがあったとしても、相手の言い分は一切考慮しないことがほとんどです。

「#Me too movement」がそうであるように、誰かが声をあげると、その主張が一気に力を増して絶大な影響力で相手に襲いかかります。セクハラの事実がなくても、対象になった時点で社会的な制裁は免れないのが実情です。

アメリカで頻発している、魔女狩りのようなこの風潮は非常に危険な状況であるとされています。この流れを利用して、誰かを陥れることが容易にできてしまうため、アメリカ人のモラルが問われているのです。

「#Me too movement」の影に、聞く耳を持たない自己中心的なナルシストが多く隠れていることが新たな問題として注目されています。

アメリカ・日本の「#Me too movement」との比較

正義感が強いアメリカでは、時に事実よりも感情が先行することがあるとお伝えしました。このアメリカ独特の風潮は法律を超えることもあるため、時に恐ろしいと感じる風潮でもあります。

具体的には、企業が労働環境を巡り、黒人やヒスパニック系の少数派から訴えられることに代表されるでしょう。企業は法を遵守していても、少数派が声をあげると企業が負けることがあります。この背景には、事実よりも感情が先行するということがあるのです。

アメリカ社会から虐げられてきた黒人たちに同情し、本来は平等である法律を超えて、感情論で裁判が進んでしまいます。「#Me too movement」もこの典型と言えるでしょう。セクハラの事実よりも、被害に合ったと声をあげた人への同情が勝り、事実を問わずに決着を迎えることが起きてしまうのです。

また、アメリカでは事実よりも感情の方が優先されがちで、アメリカとは対照的に日本では「事実」が重要視されているようです。

まとめ

世界中で広がっている「#Me too movement」ですが、アメリカでは正義感に依存し感情に流されすぎているという問題、事実に目を向けず感情で人を裁く問題、そしてナルシストと呼ばれる内向きな自己への執着など、モラルの問題が表面化しています。

セクハラは絶対に許される問題ではありませんが「#Me too movement」を通じて、アメリカ国民の歪んだモラルの問題が浮き彫りになり、今後のアメリカにどのような影響を与えるのか懸念されています。


本記事は、2018年7月4日時点調査または公開された情報です。
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