はじめに
東京都の美術系ギャラリーで働く「学芸員」のキャリアレポートです。
職業・勤務先:学芸員 / 都内商業施設内のギャラリー
性別:女性
雇用体系:非常勤
所有資格:学芸員資格、教員免許
「学芸員」を目指した理由
両親が芸術系の大学に入っていて、父親が美術系(工業デザイン)専攻だったため、子供の頃から美術に親しんでいました。進路を決める頃になっても美術への興味が一層深くなり、この仕事を目指しました。
「学芸員」の仕事内容について
青山にある商業施設も入っているギャラリーです。そこでの美術担当をしていました。今どんな作品が求められているのか、逐一チェックをし、海外ともやり取りをしておりました。人々の往来の多い土地柄、時勢も捉えた作品群を揃えつつ、様々な年代、また、日本だけでなく海外の方にも自由に、気楽な気分で楽しんでいただけたら、と思い、肩の凝らないアート展を続けてきたつもりです。
「学芸員」の数は4人程度、一番トップに主任がいてチームをまとめていました。時々若い学生たちに声をかけ、アート展の手伝いもしてもらっています。
私自身の仕事としては、展示が「楽しいものである」ことを念頭に、作品群に傷などがつかないように絶えずチェックを行うこと、また作品が出来上がっていく背景、歴史的なことをまとめ上げること。そして、まとめ上げたものを映像化したり、文章やパンフレット等にして、観に来てくださるお客様に興味を持っていただけるように気を配る仕事でした。
「学芸員」の1日の仕事の流れ
その日によって異なりましたが・・
主に8時前に家を出て、電車で通勤、8時30分に到着、仕事場ですぐに仕事開始
内容については日によって異なります。会議は水曜の朝9時からありました。主任との打ち合わせが主です。
お昼休憩もその日の仕事によって時間は前後しますが、大体12時から13時の間の30分間。それが終わり、13時から午後の仕事、終業は18時以降。
作品の搬入、搬出があるとき、または海外との交渉ごとがあるときは夜遅くまで待っていることもあり、22時ごろ終わることもありました。
帰宅はもちろんそういったことに左右され、早い時では19時でしたり、遅くなりますと22時半、23時ということも。フレキシブルでもあり、仕事によって日程が大きく変化しました。
「学芸員」の給料・残業・有給休暇について
月給は45万程度です(残業代込)。ボーナスは80万で、620万程度だったと記憶しています。残業は比較的多いです。
有給休暇はあまり取れなかった記憶が・・。でも仕事が楽しいと思っていたので、苦になりませんでした。
この仕事で、働いているときに困ったこと
困ったことと言えば(色々とあるのですが)、アート展を開く上で、学生ボランティアをまとめ上げることがなかなか大変でした。とは言え私もその頃、まだ学生気分の抜けない年頃で、彼らとそんなに年齢が離れていた訳ではないのですが・・・。
途中で無断でボランティアを辞めてしまう人がいたり、報酬が出ないゆえに気の緩みが出てしまう人がいたので、展示をしていく上で、彼らの力が非常に必要なこと、そして重要な仕事であることを再確認するよう、日々口を酸っぱくして教えていました。
この仕事や職場でよかったこと
上司に恵まれていたと思います。様々な世代の方に楽しんでいただける展示の企画を比較的多くやらせて貰えました。美術館とは異なり、商業施設の中のギャラリーですので、色々な方がふと「面白そうだな」と思い、フラリと足を運んでいただけるような企画・・つまり肩の凝らない、楽しい企画を色々とやらせていただきました。
また、「学芸員」の年齢が皆近いこともあり、お互いに気を遣わずにそれぞれの仕事に邁進できたことも恵まれていたことの一つだったように思います。
「学芸員」の仕事エピソード
青山という土地柄、海外の方が比較的多く来てくださったこと、日本のギャラリーに興味を持ってくださり、色々と質問を投げかけてくださったことについて感動した記憶があります。
日本人の方ですと、もちろん興味を持って入って来てくださるので有難く思うのですが、お国柄と言いますか、シャイな方が多かったり「アートを観るときには静かに」という方が多かったかもしれません。質問を受けたことは滅多に無かったように思います。
大変だったのは、作品の搬入、搬出が一番気を遣いました。大切な作品群を扱う上で、細心の注意を払いながらの仕事だったので、最大限に気を張っていました。
「学芸員」の職場恋愛について
「学芸員」が4人でしたので、職場恋愛は無かったですね。他の商業施設の方と知り合いになって飲みに行ったりすることはありましたが、友人関係です。大体が皆、学生時代のパートナーとの恋愛が続いていたと記憶しています。
仕事柄、職場にいることが多かったので、特に恋愛に発展するような出会いはありませんでした。でも様々な方とお会いすることも仕事の内でしたので、もしかしたら同僚の中では、恋愛に発展しているような人もいたのかもしれないです。
まとめ – 「学芸員」を目指す方へメッセージ
「学芸員」は意外と体力勝負なところがあります。もちろん作品についての広範囲な知識も必要なのですが、「人間力」・・人と人とをつなぎ、まとめ上げると言った仕事もあります。でも皆それぞれ、「初めての経験」から始まっているので、プレッシャーを感じすぎず、大いにチャレンジしていってください。
コメント
コメント一覧 (2件)
学芸員という仕事に興味があり、たどり着きました。すごくためになる記事でした。
学芸員て、なかなか表立って仕事内容を詳しく知ることができなかったので実際に現場の声が聞けて参考になります。
美術館や博物館などよく行くのですが、ギャラリーで働いている学芸員の仕事内容や1日の流れの他、恋愛事情などはとても面白かったです。コロナでなかなか美術館など行けてませんが、この記事を楽しく拝見しました。ありがとうございました。