美術館で働く「女性学芸員」の一日の仕事内容や年収・給料について

「美術館」で働く「学芸員」のキャリアレポートです。

今回は、その仕事内容や一日のスケジュール、年収(給料・ボーナス)や残業状況・職場恋愛などについてインタビューしたものを編集して掲載します。


はじめに

美術館で働く女性学芸員のキャリアレポートです。

レポート者のプロフィール

パネル:レポート者のプロフィール
職業・勤務先:学芸員 / 美術館
性別:女性
雇用体系:非正規雇用(常勤)
所有資格:学芸員資格

「学芸員」を目指した理由

高校時代より芸術分野に関心があり、よく美術館や博物館を訪れていました。進学した大学には学芸員課程が設置されていたので受講し、勉強していくうちに、一つのことを突き詰めていくこの仕事は自分に合っていると思い、目指すようになりました。

「学芸員」の仕事内容について

「学芸員」の仕事内容は大きく分けて、調査研究、展覧会企画、教育普及活動の3つです。

学芸員の仕事内容その1:調査研究

調査研究では、主に館の収蔵品を研究します。自分の研究分野における作品や資料を調べ、成果は紀要にまとめたり展覧会として公開したりします。寄贈の申し入れがあれば事前調査に赴くこともあります。

学芸員の仕事内容その2:展覧会企画

展覧会企画は、基本的に研究結果を基に構成します。企画は常設展の一部展示替えという小規模なものから、企画展や特別展といった大規模な展覧会まで幅広く取り組みます。展示構成はもちろんのこと、チラシやポスターの制作ディレクション、展示業者手配、レイアウト図面の製作、図録原稿執筆など業務は多岐にわたります。展覧会がオープンすると取材が入ることもあり、その対応もします。

学芸員の仕事内容その3:教育普及活動

教育普及活動は、地域の学校への出張授業、団体見学への展示解説などがこれにあたります。大きな施設では別に教育普及担当がいる場合もありますが、小さな館では数名の「学芸員」が交代で担当していることもあります。

「学芸員」の1日の仕事の流れ

7時:自宅を出て、電車で通勤する
8時30分:到着
8時50分:朝礼
9時:展示室開室チェック
9時30分:メールチェック、電話連絡
10時:学芸会議
12時:お昼休憩(60分)
13時:メールチェック、電話連絡
14時:外部(展示業者や造作業者)と打ち合わせ(館外での場合は外出する)、または熟覧(外部の研究者や大学院生の作品閲覧)対応、あるいは他館や作家宅、事務所などを訪れて展覧会開催に向けた作品調査
16時:広報部署など館内関係者と打ち合わせ
17時:展示室閉室チェック、アンケートチェック
17時30分:終業
終業以降(残業):次回会議や打ち合わせの資料作成、紀要や展示解説の原稿作成、残業は1時間から1時間半を目途にキリをつけて終えます。

「学芸員」の給料・残業・有給休暇について

月給20万円・ボーナスなしで、年収240万円でした。

残業は月10時間~20時間が通常で、展覧会準備期間は30時間を超えることもありました。

有給休暇は法定通り付与され、大規模展覧会があまりない2月に使うことが多かったです。


この仕事で、働いているときに困ったこと

基本的に「学芸員」は専門を持っていることを求められますが、実際に働き始めると幅広く多くのことを知っておかなければなりません。

例えば、展覧会のチラシやポスターを制作する際にはデザイナーや業者とやりとりできるように印刷に関する知識が必要ですし、額装や展示を自分で行う場合はその方法や道具に関する知識も必要です。

また最近は、作品の保存管理に関する研究会やシンポジウムも行われるので、作品を守るという点ではぜひ勉強しておきたい分野です。

この仕事や職場でよかったこと

施設が古ければ古いほど伝統があり、いろいろな方とお付き合いがあるので、多くのことを勉強させてもらいました。

開館当時からずっとお世話になっている職人さんがいらっしゃり、館の特性や弱点などもよくご存知なので、新人の頃はこちらが指示しなければいけない立場でも、逆にアイデアをもらったり提案していただいたりして助けてもらいました。

展示技術や梱包技術は民間企業の方が研究が進んでいるので、それをシェアさせていただけたのは良かったです。

「学芸員」の仕事エピソード

展示を作り上げることが一番のやりがいであり、感動です。だいたいの展覧会は1年から2年、規模によっては3年かかるものもあるので、それがだんだんと形になっていき、でき上がっていくのは非常に楽しいものです。

かつ、来館者に喜んでもらえると大きな自信になります。アンケートに感想が書いてあると嬉しくなりました。

長い時間をかけて準備する分、また多くの方と関わりながら準備するので、大変なことは山ほどあります。様々な方の意見を調整していくのが最も大変かもしれませんがとても重要な仕事です。

また同じ方と一緒に仕事をするかもしれないので、良好な関係を築くことは大事です。

「学芸員」の職場恋愛について

近頃、「学芸員」は女性が多いので、あまり職場恋愛については聞きません。男性学芸員がいる職場でも既婚の場合が多く、そうした方々は、大学院生時代からの付き合いで収入が安定してきた頃に結婚するパターンが多いです。

出会いがあるとすれば、研究会や業者、習い事、知人の紹介など、職場外になります。ただ、自立している女性が多いので、そもそも結婚願望がある人が少ないと思われます。性格もサバサバした人が多いように思います。

まとめ ー「学芸員」を目指す方へメッセージ

日本の「学芸員」はマルチなスキルが必要とされるので、これだけは負けないという専門分野を磨きつつ、いろいろなことに興味を持って幅広く勉強されることをおすすめします。

本記事は、2020年4月22日時点調査または公開された情報です。
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