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大統領選で敗れても辞めないつもり?トランプ大統領の狙いとは

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目次

はじめに - 「敗れても辞めない」トランプ大統領の発言

アメリカのトランプ大統領は、2020年11月に控えている大統領選を巡るテレビインタビューにおいて、仮に敗北した場合でも辞めない姿勢を見せたことから、アメリカ国内では不穏な空気が流れ、ちょっとした騒動になっています。

近年のアメリカ大統領選では必ずと言っていいほど「不正選挙」という言葉が出てきます。直近では、2016年の大統領選でトランプ大統領を勝利させるためにロシアが関与したとされる「ロシアゲート」が知られています。

2020年の大統領選は、新型コロナウイルスの影響によって「郵便投票」を採用する州も出てきており、これまで以上に「不正選挙」が起こりやすい状況になりつつあります。

この点に目をつけたのが劣勢と囁かれるトランプ陣営です。トランプ大統領は、万が一負けたとしても「不正選挙」を理由にして、結果を受け入れない可能性が浮上してきたのです。

そこで今回は、トランプ大統領が大統領選で負けても辞任しないかもしれない問題について解説します。

公務員や公務員志望の方は、波乱間違いなしとされている2020年のアメリカ大統領選をよく理解するうえで参考にして下さい。

トランプ大統領のインタビュー内容

はじめに、騒動の発端となったテレビインタビューの内容をご紹介します。

トランプ大統領が所属する共和党寄りの報道方針で知られているアメリカのFOXニュースは、7月19日に放送された番組のなかでトランプ大統領にインタビューを実施しました。

インタビューのなかで「次の大統領選で敗れた場合はどうするか?」という問いに対して、トランプ大統領は明確な返答を拒んだのです。

また「選挙結果を受け入れるか?」という問いに対しては「単純にイエスとは言えない」と答えました。

そして「選挙で不正が起きた場合は辞めない」と付け加え、終始曖昧だった一連の言動が、反トランプ派の人たちに不安を与え、思わぬ反響を生んでいます。


一般論としては、仮に選挙で敗れた場合は潔く身を引くことを表明するのが常ですが、トランプ大統領の場合、明言しなかったことや不正選挙の可能性を指摘したことから不評を買ってしまったのです。

一方で、トランプ大統領を支持する人たちからすれば、強力なリーダーが不正に負けずに戦い続けようとしていると映ったようで、応援する声が高まっているのも事実です。

トランプ大統領の主張の真意

インタビューの中で、トランプ大統領が態度を明確にしなかった背景には「大統領選後の対応」があります。

トランプ陣営は「負けた場合」のことも考慮しており、仮に負けた場合は不正選挙を理由に裁判に持ち込む計画と考えられています。不正選挙を打ち出す際に争点となるのが「郵便投票」です。

とくに、2020年の大統領選は新型コロナウイルス感染に配慮した郵便投票によって投票される流れになりつつあるため、トランプ陣営は「郵便投票による不正の可能性」を裁判の理由として利用可能と考えていると見られます。

過去に大統領選の選挙結果を巡って裁判になったケースは、2000年の大統領選です。(ブッシュ対ゴア事件)フロリダ州での選挙結果を巡る裁判で、僅差だった票の数え直しとその有効性について最高裁判所が判決を下して大統領が決定しました。

この時は、当初から不利だったゴア陣営が負けた結果になりましたが、大統領選であったとしても裁判に持ち込んで、主張が認められれば結果が覆る可能性があることを示した事例と言えます。

トランプ陣営はこの「シナリオ」を準備しているかもしれないと見られているのです。

これまで、大統領選で郵便投票が結果に大きな影響を与えたことはなく、その影響力について国家レベルで議論される機会はありませんでした。(投票所での投票が当たり前だったから)

このことから、郵便投票の正当性や信頼性について、法の抜け穴が生じている可能性があります。(本当に本人による投票かどうかを証明する方法など)敗者がこの「法の抜け穴」を裁判で指摘した場合、裁判の結果によっては選挙結果が覆るかもしれないのです。

アメリカ大統領選挙、郵便投票の拡充

現時点で全面的な郵便投票を実施しているのはコロラド州、ハワイ州、オレゴン州、ユタ州、ワシントン州の5州ですが、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために大票田のカリフォルニア州や、アリゾナ州などが郵便投票を採用することを表明しています。(郵便投票と投票所のハイブリッド式)

また、テキサス州やフロリダ州などトランプ陣営にとって非常に重要な州で感染拡大が止まらないことから、これらの州も郵便投票方式に移行する可能性があります。伝統的に共和党が強い州で郵便投票が導入された場合、支持政党の逆転が起きるかもしれません。

そもそも、アメリカの若者層は投票率が低い傾向があります。これには「投票日が平日」ということが影響していると考えられ、仕事や学業に忙しい若者層は選挙どころではないと考えている風潮です。

アメリカの国勢調査局が発表した18歳から29歳の投票率を見てみると、2014年の中間選挙では19.9%、2018年は35.6%で、他の年齢層よりも15%以上低い傾向です。

また、若者層の多くは民主党を支持しているとされています。仮に、郵便投票が認められると若者たちが手軽に投票できてしまい、民主党に票が集まってしまう可能性があることから、トランプ陣営は懸念しているのです。


つまり、トランプ陣営が郵便投票に否定的なのは「不正が起きやすい」ということ以前に、民主党寄りの若者たちが選挙に参加する可能性が上がることを警戒しているためなのです。

対照的に、若者層から支持されている民主党は郵便投票の導入に積極的で、郵便投票の導入が政権交代への重要なポイントになると見ているようです。

伏線を張るトランプ陣営

郵便投票によって不利な状況になる可能性が高いトランプ陣営は、既に郵便投票に関する伏線を張っています。

最も分かりやすい例が、トランプ大統領によるツイートです。トランプ大統領は2020年5月の時点で、郵便投票だと不正が起こる可能性があることを指摘しています。

該当ツイートでは「ポストは奪い去られ、投票用紙は偽造される」とし、Twitter社によって誤解を招く内容として警告を受けています。しかし、Twitter社が反応したために大きな話題になり、結果的に郵便投票だと不正が起こるかもしれないと認識した人が増えたことも事実です。

また「外国政府が数百万枚の郵便投票用紙を偽造して、大きな政治スキャンダルになる」ともツイートしており、アメリカ国民に「郵便投票=不正」というイメージを持たせようとしています。

このイメージ戦略が定着していれば、11月の大統領選で負けた後に、郵便投票によって不正な選挙になったと裁判を起こしても支持を得やすいという狙いがあると見られます。

もし、裁判で郵便投票の正当性が証明できなければ大統領選は無効になる可能性があるため、トランプ大統領は大統領の座に居座り続けることになります。

テレビインタビューのなかで「単純にイエスとは言えない」と回答したことは、このような計画があるからかもしれません。

トランプ大統領のインタビューに対する周囲の反応

今回のトランプ大統領のテレビインタビューは、反トランプ派から強い抵抗を受けています。一方で、トランプ支持派は民主党批判が止まりません。

「Protect the Resultsプロジェクト」について

アメリカの非営利団体「Stand Up America(スタンドアップ・アメリカ)」は、今回の騒動を受けて「トランプ陣営が負けと結果を受け入れない事態に備える必要がある」とし、草の根運動「Protect the Results」の周知を拡大しています。

同団体は目的を同じとする団体「Indivisible(インディビジブル)」と共同で6月の時点でProtect the Resultsプロジェクトを立ち上げており、早くもトランプ陣営の計画に備えるように呼びかけています。

両団体の代表はいずれも、トランプ大統領がアメリカの民主主義を弱体化させ、法の規律を守ろうとしないと批判しています。

民主党議員による批判

民主党上院議員で、民主党大統領候補に立候補したAmy Klobuchar氏(エイミー・クロブチャー)は、テレビインタビューで進退を明確にしなかったトランプ大統領に対して「結果が尊重されるからこそ国民は投票するのであって、そのために議会と憲法がある」とした上で「独裁体制の下で暮らしている訳ではない」と現政権を批判しています。

また、ニュージャージー州選出のBill Pascrell下院議員(ビル・パスクレル)は、共和党の上下院合計248名が、民主主義が自分たちの支配への脅威と考えていると指摘し、権威主義を支持する姿勢を批判しています。

トランプ陣営の反応

トランプ陣営の広報担当者Tim Murtaugh氏(ティム・マートー)は一連の騒動を受けて「(郵便投票に積極的な)民主党は選挙を不完全なものにしようとしており、それが目標になっている」とした上で「ペテンの王様である民主党は11月の大統領選に向けて何をするか分かったものではない」と痛烈に批判しています。

アメリカでは郵便投票がうまくいかないことを示すように、ニューヨーク州やニュージャージー州で度々問題が起きていることを指摘し、死んだ猫に投票用紙が送られた事例もあると、郵便投票の脆弱さに触れています。

まとめ

以上、「大統領選で敗れても辞めないつもり?トランプ大統領の狙いとは」でした。

11月に控えている大統領選ではトランプ大統領は不利な状況にあります。このままの風潮が続くようであればトランプ陣営は敗北する可能性があり、選挙対策組織としては負けた場合のシナリオも用意しておく必要が出てきます。


今回のテレビインタビューを通して間接的に「隠れたシナリオ」が見えたことから、トランプ陣営の焦りが露呈したと言えます。11月の投票に向けて、新型コロナウイルスを巡る「郵便投票」がどのような扱いになるかに注目しましょう。

また、トランプ陣営が「郵便投票の抜け穴」と選挙結果を結びつけて、選挙結果を法的に無効化する可能性があることも意識しておくと良いでしょう。

参考資料サイト

アメリカの国勢調査局
https://www.census.gov/library/stories/2019/04/behind-2018-united-states-midterm-election-turnout.html

本記事は、2020年7月28日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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