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実は日本もランクイン!世界の貧困率の高い国(2021年9月まとめ)

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「貧困」の2種類の考え方と貧困率

まず、「貧困」には2つの考え方があります。それが、「絶対的貧困」と「相対的貧困」です。

この2種類の貧困について、国際機関であるOECDが調査し、貧困率のランキングなどを発表しています。

OECDの正式名称は「Organisation for Economic Co-operation and Development」、日本語では「経済開発協力機構」と呼ばれています。OECDの目的は、国際経済の発展を協議することで、日本を含む先進国を中心に現在37か国が加盟しています。

貧困率

貧困率とは、所得が低く経済的に貧しい「貧困」の状態にある人が、その国の全人口に占める割合のことです。絶対的貧困率と相対的貧困率がありますので、2種類の貧困率のそれぞれの意味についてご紹介します。

「絶対的貧困」と「絶対的貧困率」

まず「絶対的貧困」とは、衣食住が充実しておらず、最低限の生活がままならない状態のことを意味しています。貧困、と聞いて多くの方が思い浮かべる状態がこの「絶対的貧困」かと思います。

世界銀行の定義では、1日あたり1.90ドル(約200円)以下で生活をすることを、「絶対的貧困」の定義としているようです。

「絶対的貧困率」は、この「絶対的貧困」の状態にある人が、その国の全人口に占める割合を示しています。

「相対的貧困」と「相対的貧困率」

一方で、「相対的貧困」というのは、「世帯所得が全世帯の平均値以下」という意味です。つまり、国の世帯所得の平均値が高い場合、絶対的貧困のような状態でなくても、その国の中では「相対的貧困」となり得ます。

「相対的貧困率」とは、この「相対的貧困」の状態にある人が、その国の全人口に占める割合を示しています。

つまり、「相対的貧困率」が高いということは、国の中で格差が広がっていることを示しています。

絶対的貧困の国は発展途上国が多い

まずは「絶対的貧困」の状態にある人の割合が多い国について、ご紹介します。絶対的貧困の国の上位5カ国は下記の通りです。


地域または国別に見た世界の貧困層の割合(2015年)
1位 インド
2位 ナイジェリア
3位 コンゴ民主共和国
4位 エチオピア
5位 バングラデシュ

以上の上位5カ国に、世界の貧困層の約半数が集中しているようです。また、地域別で見ると、南アジア地域とサブサハラ・アフリカ地域の貧困層が多いことがわかります。

▼参考URL:THE WORLD BANK|1年を振り返って:14の図表で見る2019年(外部サイト)

▼参考URL:World Vision|貧困層とは?世界の貧困層の定義と割合を調べよう(外部サイト)

キーワードチェック:発展途上国とは?

発展途上国とは「開発途上国」や「後発開発途上国」などとも呼ばれますが、国民一人当たりの所得が先進国に比べて少ないなど、経済的な発展が遅れている国の総称です。

世界銀行の分類によると、2007年時点で、世界209カ国の人口3万人以上の国のうち、149カ国が当てはまるというデータもあります。

さらに国連では、途上国のうち特に開発の遅れている国を後発開発途上国・LDC(Least Developed Country)に認定しており、LDCには2021年8月時点で世界の46カ国が含まれています。

アフリカ(33カ国) アンゴラ(2021年に卒業予定)、ベナン、ブルキナファソ、ブルンジ、中央アフリカ、チャド、コモロ、コンゴ民主共和国、ジブチ、エリトリア、エチオピア、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、レソト、リベリア、マダガスカル、マラウイ、マリ、モーリタニア、モザンビーク、ニジェール、ルワンダ、サントメ・プリンシペ(2024年に卒業予定)、セネガル、シエラレオネ、ソマリア、南スーダン、スーダン、トーゴ、ウガンダ、タンザニア、ザンビア
アジア(9カ国) アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン(2023年に卒業予定)、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ネパール、イエメン、東ティモール
大洋州(3カ国) キリバス、ソロモン諸島(2024年に卒業予定)、ツバル
中南米(1カ国) ハイチ

▼参考URL:外務省|後発開発途上国(外部サイト)

相対的貧困には日本もランクイン!先進国の中ではワースト2

次に「相対的貧困率」の高い国を、上位からご紹介します。

「相対的貧困率」の高い国
1位 南アフリカ
2位 コスタリカ
3位 ブラジル
4位 アメリカ合衆国
5位 ラトビア


13位 日本

OECDの統計によると、2018年の日本の相対的貧困率は15.7%でした。これは、日本の人口のおよそ6人に1人は、平均よりも低い所得で生活していることを示しています。

この6人に1人という数値は、G7の中でもアメリカに次いで2番目に高い水準です。また、OECDの加盟国全体で見ても平均より高い水準となってしまっています。

相対的貧困率が高い要因について、日本の場合は、非正規雇用者の数や、高齢者の一人暮らし、離婚による一人親世帯が増加傾向にあることなどが指摘されています。

》アメリカの貧困問題の原因やその実態

アメリカではいつの時代も「貧困」という問題があります。一方で、世界の億万長者トップ10のうち7割はアメリカ人が占めているという事実もあり、アメリカでは貧富の格差は広がり続けています。なぜアメリカでは貧困問題が解消されずにいるのでしょうか?さらに貧困や格差社会の実態や課題はどのようなものなのか、アメリカで暮らす筆者目線で現地の状況をお伝えします。

▼参考URL:GLOBAL NOTE|世界の貧困率 国別ランキング・推移(外部サイト)

日本では「相対的貧困」に陥っている子どもの割合が先進国中、最悪の水準

日本に多い「相対的貧困」のケースについて、近年は特に「子どもの貧困」の割合が多く、7人に1人の子どもが「相対的貧困」の状態にあることが問題視されています。


日本の課題「子どもの貧困」について

日本に多い「子どもの貧困」について、まず「子どもの貧困率」とは、相対的貧困の状態にある18歳未満の子どもの割合を指しています。

貧困状態にある子どもについて、親子2人世帯の場合は月額およそ14万円以下(公的給付含む)の所得しかないという計算になるようです。

こうした世帯で育つ子どもは、平均以上の所得がある世帯に比べて、医療や食事、学習、進学などの面で極めて不利な状況に置かれます。

このような家庭環境で育った場合将来も貧困から抜け出せない傾向があることが明らかになりつつあり、格差が広がっていることがわかってきています。

子どもが生まれた環境に左右されずに教育などを受け、将来の選択肢を広げられるような社会が求められています。

▼参考URL:日本財団|子どもの貧困対策(外部サイト)

キーワードチェック:先進国とは?

「先進国」とは、世界の国々のうち、相対的に見て国民一人当たりの所得が高いなど、経済的に発展している国のことを意味しています。

しかし、どこからが「先進国」かという線引きはあいまいで、誰もが使用している明確な基準というものはありません。

国連や世界銀行は「発展途上国」にあたる定義をそれぞれ持っているので、「発展途上国」でない国が「先進国」に当てはまるという少し回りくどい定義となります。

例えば、世界銀行の分類に従うと「一人当たりGNI(国民総所得)」が、約134万5,000円までの国は「中所得国」に含まれるので、それ以上のGNIのある国が「先進国」に含まれます。

また、日本政府の定義では「OECD(経済開発協力機構)」の加盟国を先進国としているようです。現在、OECD加盟国は、ヨーロッパを中心に、日本とアメリカを含む38カ国となっています。

▼参考URL:独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所|第5回 発展途上国と先進国を分ける基準って何ですか?(外部サイト)

▼参考URL:経済産業省|OECD(経済協力開発機構)(外部サイト)

キーワードチェック:GNI(国民総所得)とは?

GNIとはGross National Incomeの略で、国民総所得のことを意味します。GNIはその国の「居住者が国内外から1年間に得た所得の合計」を表します

過去には、国民総所得は「GNP」と呼ばれていましたが、近年、GNIに変更されました。

GNIと同じように経済の成長を計る指標として、GDPがありますが、GDPは「国内で1年間に生産されたモノやサービスの付加価値」のことです。

▼参考URL:SMBC日興証券|初めてでもわかりやすい用語集(外部サイト)

まとめ

このページでは、世界の貧困率の高い国を「絶対的貧困」「相対的貧困」の2つの指標をもとにご紹介しました。

「貧困」と聞いて、多くの方がイメージする「絶対的貧困」のケースは先進国である日本では少ないですが、日本の場合は、国全体の平均より低い所得で暮らす「相対的貧困」の割合が大きく、特に子どもにその影響が広がっていることが問題となっています。


また、「絶対的貧困率」を確認すると、世界では、貧困率の高い上位5カ国で世界の貧困層の約半数が集中しており、こちらも他の国との格差が大きいことがわかります。

貧困率は、国が発展すれば必ずしも改善するわけではなく、そこに格差があることを示しています。絶対的貧困率が減ったとしても安易に喜ばず、相対的貧困率にも着目し、そこに格差が無いかという、誰も取り残さない考え方が必要な時代になってきています。

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本記事は、2021年10月7日時点調査または公開された情報です。
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公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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