内閣と運営シリーズ第1回目は、「内閣」について説明します。
「内閣」とは?
「内閣」とは日本の行政機関です。「内閣」では「国会」で定められた「法律」や「予算」に基づいて国の政治に関する様々な仕事を行います。
以下で、「内閣」について紹介していきます。まずは「内閣」の地位について説明します。
「内閣」の地位
日本国憲法では「内閣」の地位について次のように規定しています。
第65条 行政権は、内閣に属する。
引用)日本国憲法
「行政権」とは政治を行う権利のことですが、その範囲は極めて広くなっているので定義することは難しく、一般的に「国の統治作用のうち、司法・立法以外の面の総称」とされています。
つまり、国家の働きのうち、「国会」が持つ「立法」つまり法律を作る働きと、「裁判所」が持つ「司法」つまり「裁判」を行うという仕事以外がすべて「内閣」の働きであるということになります。
このように「内閣」には様々な役目があることが分かります。
次に、日本における「内閣」の立ち位置を理解するために押さえておきたい「議院内閣制」について説明します。
「議院内閣制」とは?
日本はイギリスと同じように「議院内閣制」を採用しています。
「議院内閣制」とは「内閣」は「国会」の信任によって成り立ち、「国会」に対して深く連帯し、責任を負うという制度のことです。
「内閣」は「国会」の信任なしでは存続することができません。
この制度は、議会の発達とともに生まれてきた仕組みで、議会(立法)と内閣(行政)が密接にかかわっています。「国会」と「内閣」はそれぞれ「立法」「行政」を担う独立した機関ですが、完全に独立して個別に活動しているのではなく、様々な点で深く関わり合い、責任を負っています。
このような点で、日本の「議院内閣制」は「立法」、「司法」、「行政」の三権が厳格に独立しているアメリカ合衆国の「大統領制」とは異なっています。
それでは以下で、具体的にどのように「内閣」と「国会」が関わり合っていくのか、4つのポイントを紹介します。
その1「国会」の「内閣総理大臣指名権」
まずひとつ目に、「国会」には「内閣総理大臣指名権」があります。
憲法では次のように規定されています。
第67条 内閣総理大臣は,国会議員の中から国会の議決で,これを指名する。
引用)日本国憲法
わたしたち国民は「選挙」によって「国会議員」を選出します。そしてその「国会議員」の中から「国会」の議決によって「内閣総理大臣」が指名されます。
「内閣」の長である「内閣総理大臣」が「国会」の信任によって指名され、「内閣総理大臣」自身も「国会議員」です。そのうえ、「国務大臣」も半数以上が「国会議員」です。ここから「内閣」は「国会」と切り離すことができない存在であることがわかります。
その2「内閣」の「国会」に対する連帯責任
次に、「内閣」には「国会」に対する連帯責任があります。
憲法では次のように規定されています。
第66条3項 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
引用)日本国憲法
「内閣」は「行政権」の行使、つまり「立法」と「司法」を除いたあらゆる国の仕事をするうえで、その責任を「国会」に対して「内閣」が一体となって負います。
責任を負うというのは具体的にはどのようなことかというと、説明責任を求められたり、以降で説明する通り国会によって「不信任決議」「問責決議」が行われることがあるということです。
その3「衆議院」の「内閣不信任決議権」
「衆議院」には「内閣不信任決議権」があります。
「国会」の「衆議院」は「内閣」を信任できないと判断すれば「内閣不信任案」を提出することができます。この「内閣不信任案」が決議されると「内閣」は「総辞職」するか、10日以内に「衆議院」を「解散」するか選択しなければなりません。
「衆議院」を解散した場合、国民の意見を聞き新しい議員を選ぶための「総選挙」が行われ、「内閣」は総辞職し、新しい「内閣」が作られます。
その4「参議院」の「問責決議」
「参議院」は「内閣」について「問責決議」を行うことができます。
「問責決議」とは、「参議院」が「内閣」を信任できない場合にその意思を表示するために出される決議です。ただし、「衆議院」による「内閣不信任決議」とは違い、法的な拘束力は持ちません。
「参議院」は「衆議院の優越」の原則によって、「衆議院」ほど大きな権力は与えられておらず、「内閣不信任決議」を行うことはできませんが、「問責決議」によって「内閣」に対して異を唱えることができることになっています。
まとめ
以上、内閣と運営シリーズ第1回目は、「内閣」について説明しました。
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