年長組の子ども達の秋から冬にかけてオススメの遊びの1つに投げゴマがあります。
年長組は昔ながらの紐ゴマを使います。(前段階として年中組では糸引きゴマがオススメ)
紐を巻くという動作が難しいので、年少や年中ではできなかったことも、年長の頃になると手首をうまく使って紐を巻くことができるようになります。
お正月遊びとしても取り入れやすいので、年長2学期後半から3学期にかけて取り組んでいくのが一般的かと思います。
今回は投げゴマ遊びを通して、子どもにとってどのようなことが育つのか、投げゴマ遊びのねらい、技の種類や遊びの発展のさせ方、教師が援助するポイントについてご紹介していきたいと思います。
投げゴマで体験できること・育つこと
投げゴマの遊びを通して、子ども達の発達において以下のことが育つと言われています。
1)難しいことも繰り返し取り組むことで、できたという喜びを感じることができる。
2)頑張ったことが結果につながり、自信を持つことができる。
3)試したり、工夫したりしながら、より一層意欲を持って活動に取り組むことができる。
4)友達との間で互いの頑張りや努力に気づき、友達同士の繋がりを深めていくことができる。
投げゴマのねらい
投げゴマを保育活動の中に取り入れていくにあたっては、次のようなねらいをたてることができます。
1)自分の中で目当てをもち、繰り返し挑戦していく。
2)友達同士教えあいながら、できたという喜びを友達と一緒に味わう。
3)色々な回し方や難しい技を考え、友達同士で見せあうことを楽しむ。
4)コマが回ると色が混ざって見える不思議さや面白さを感じる。
5)友達に応援してもらうことで、友達がいてくれる良さを感じる。
投げゴマの遊び方
投げゴマは今や昔遊びといっても、保育者自身が子どもの頃に日常的に遊んでいたという人の方が少ないかもしれません。
投げゴマをどのようにして遊べばよいのか分からない方もいると思います。
基本的な遊び方については、他サイトや回し方の動画を参考にしていただくのが分かりやすいと思うので、今回の記事では省略させていただきます。
ここでは、基本的な回し方ができるようになった後、投げゴマの遊びをどう発展させていくのか・技の種類にはどのようなものがあるかついて、私が幼稚園で年長組を受け持っていた時の体験をもとに紹介していきます。
投げゴマ技の種類
技については、毎年学級の子ども達と遊びの中で一緒に色々な投げ方を考えていました。
子ども達が見つけた技は、一斉活動の時間に学級のみんなの前で見せてもらい「こんな回し方もあるよ!」とクラス全体で共有していました。
新しい技を見た子ども達は「僕も挑戦してみたい!できるようになりたい!」と翌日から自分なりにめあてをもって挑戦している姿がありましたよ。
年長組の子ども達の中から、毎年のようによく出てきた主な技について紹介していきます。
1)きのこ回し
コマを上下逆さまになるように回す遊び方です。
2)手のひら回し
コマを回した後、回っているコマの側の手をおき、手のひらを上にした状態で待ちます。
コマを手の上に移動させてから、そのまま手のひらの上で回し続ける遊びかたです。
3)椅子の上回し
幼児椅子の座面の上で回す遊び方です。
直接椅子の上を狙うのが難しい場合は手のひら回しのあと、椅子の座面に手のひらからそっと移動させるという方法にしている時もありました。
4)板のせ回し
コマを回したあと、段ボール板や出席簿の表紙になるような厚めの板紙の上にのせて回す遊び方です。
5)足の下回し
片足をあげて、足の下をくぐらせて投げ、コマを回す遊び方です。
6)犬のさんぽ回し
コマを回したあと、紐を両手に持ちます。
回っているコマにそっと紐をひっかけながら、コマを移動させていく遊び方です。
ベイブレード風コマバトル
個人の技だけでなく、友達同士でコマを長く回せるように競い合う遊びもありました。
床の上で長い時間、誰が長く回せるかだけでも盛り上がるのですが、ベイブレード風のコマバトル場を教師が作って用意しておくと、更に遊びが盛り上がります。
1)用意するものは、円いたらいと、大き目のボール紙です。
2)ボール紙の中心に向かって1本切り込みを入れ、たらいの円周よりすこし大きいくらいになるような非常に浅い円錐を作ります。(ホチキスでとめればOKです!)
3)あとは、ボール紙で作った円錐をたらいの上にのせるだけ。
ゆるい坂道の上をコマが回りながら移動していく動きが子ども達にとっては楽しいようで、さらに友達とどちらが長く回せるかを競い合えるので、夢中になって遊ぶことができます。
コマの色付け着せ替え
投げゴマが回せるようになったら、自分でコマにマジックで色付けをしていました。
色は1度つけたら塗りなおしがきかないので、子どもに「塗り方やデザインをよく考えてから塗ってね」と声をかけていました。
子どもなりに丁寧に色を塗って自分だけのコマに仕上がるととても満足げな様子が見られますが、実は、コマの色の変化を更に楽しむ方法があります。
それが、コマの着せ替えです。
1)教師は、丸や三角、四角、ハート、星の形の紙を用意しておきます。
2)子どもが紙を半分に折り、真ん中に小さな切り込みを入れて中心に穴を開けます。
(コマの軸の上部分に、紙にあけた穴を差し込み、コマの上に紙を安定してのせておくため)
2)子ども達は紙に、マジックで新たな模様を書きます。
マジックで書くだけでなく、ラピーテープなどを切ってはるとキラキラゴマになるので子ども達の興奮具合もすごく、オススメです!
この着せ替えは、何個でもデザインを考え、着せ替えて楽しむことができるため、飽きずに何枚も作る子どもも出てきます。
紙の形が、星であろうと三角であろうと、回ると円になるので不思議ですよね。
子ども達もその不思議さに遊びを通して気づくことができます。
また、回った時の色の変化に気づいたり、楽しんだりすることができるようになるので、ぜひ試してみてくださいね。
投げゴマで教師が意識するポイント
では投げゴマ遊びをする子ども達に教師はどのような関わり方を意識したらよいのでしょうか。
『もっとやってみたい!』という気持ちを子どもが持てるようにする
投げゴマは、回せるようになってからが、色の変化や友達とのコマバトル、技の挑戦など楽しめることが増えていきます。
最初のうちは、回せない子どもにとっては楽しいものではありません。
自ら取り組もうとしない子もいるでしょう。
好きな遊びの時間だけでなく、一斉活動でもコマに取り組む時間を設け、教師は回せない子にたくさん関わり、まずは回すことができるように側について助言したり、紐の回し方や投げ方のコツを伝えていきましょう。
子どもができた喜びや嬉しさを感じられるようにすることで、『自分からもっとやってみよう!』という気持ちをもつようになります。
子ども達が自分なりに目標をもてる工夫をする
投げゴマは、回せるようになった後も、技に挑戦していくことを楽しむことができます。
1つひとつ技ができるようになっていく達成感をより感じることができるように、『技が1つできたらシールを貼る』などスタンプカードのようなものを作ってみると、子どものやる気もアップさせることができます。
また、こまの技を保育室内の見やすい位置に掲示しておくなどの環境づくりも考えられると良いですね。
最後に:保護者にも知らせておくと良いこと
紐巻きをする際の手首の動きの重要性を保護者にも伝えられると良いですね。
紐を巻く時の、手首の動きは字を書く動きに繋がっていきます。
これがこの時期に投げゴマに取り組んでいる1つの理由としていることを、保護者にも伝えていくと良いでしょう。
手首がやわらかくなってくると、縄跳びもうまく跳べるようになりますよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は投げゴマ遊びを通して、子どもにとってどのようなことが育つのか、投げゴマ遊びのねらい、技の種類や遊びの発展のさせ方、教師が意識するポイントについてご紹介してきました。
1人ひとりが目標を持って取り組むことができる遊びであると同時に、友達同士で長さを競い合ったり友達とも一緒に楽しめる遊びです。
ぜひ年長組後半の遊びとして取り入れてみてくださいね。
コメント