幼稚園では学期末に保護者と担任が話をする個人面談を設けているところが多いと思います。
私が幼稚園教諭として勤めていた頃の経験から、どの学年やクラスを受け持っても保護者から受ける質問には共通する質問が多いように思います。
今回は、個人面談ではどのような質問が多いかについて、私の実体験からランキング形式で紹介していくとともに、質問に対する回答や対応例についても紹介していきたいと思います。
個人面談で保護者からされる質問にはどんなことがある?
子どもから保護者に園生活に関することを頻繁に話す子もいれば、家庭に帰ってからは保護者に全く幼稚園でのできごとを話さない子もいます。
そのため、園生活の様子がよく分からないといった理由から、個人面談で保護者からされる質問に関しては、主に幼稚園でしている遊び・集団生活・友達関係に関することが多いと言えます。
第5位 先生からみて気になるところはありますか?
子育てに対する意識が高い保護者から多い質問です。
家庭で過ごす様子からは見えない子どもの姿はどのようなものなのかを知りたい、第3者から見た我が子の様子を教えてもらうことで子どもの新たな一面を知りたいという保護者の思いが感じられますね。
子どもが家庭以外の社会の場でも困らないように、我が子の課題を知ることで家庭でできることや努力していけることはやってみよう!という保護者の気持ちが表れています。
第4位 何をして遊んでいることが多いですか?
園生活の話をあまりしない子どもをもつ保護者から多い質問です。
好きな遊びの時間に「どのような遊びが好きなのか?」「室内ばかりで遊んでいないか?」といった遊びの内容についてもよく聞かれます。
第3位 給食をちゃんと食べていますか?
家庭でも子どもの食事の様子について困っている・偏食がある・食事に時間がかかっている保護者から多い質問です。
家での我が子の食事に関する様子から、幼稚園ではきちんと食べられているのかどうかについて心配しているようです。
第2位 先生の話を聞いていますか?集団行動ができていますか?
家庭とは異なる集団生活の場で我が子が周りの子ども達と一緒に行動できているかどうかを心配している保護者はとても多いです。
特に、先生の話を聞いているか・聞いたことを理解しているかについての質問が多いです。
第1位 友達と仲良くできていますか?
友達関係に関する質問が圧倒的に多い質問です。
具体的には「特定の仲のよいお友達はいますか?」「誰と遊んでいることが多いですか?」「ケンカはしていますか?」「~ちゃんが苦手みたいなのですが・・・」といった質問がよくあります。
よくある質問に対する回答・対応例は??
個人面談でよく保護者から受ける質問に対して、どのような回答をしたら良いのか、どういった対応をとれば良いのか私が実際に対応していた実体験も含めながら紹介していきたいと思います。
「先生から見て気になるところはありますか?」に対する回答・対応例
1)特に気になることがない子どもの場合
大きく気になる点はないことを伝えた上で「あえてあげるなら・・・」と小さな課題についても触れておくと、『先生は自分の子どものことをちゃんと見てくれている・我が子に向き合って考えてくれている』といった信頼にも繋がると思います。
「これからも幼稚園では~のように対応していきますね」と園での指導方針・対応方法についても伝えておきましょう。
2)気になる子ども・グレーゾーンの子どもの場合
子どもの『気になる姿』に関しては、デリケートな話題になるため、先生側からも話を切り出すタイミングや伝え方は慎重にしていかなくてはなりません。
保護者の方から『子どもの気になる姿』に関する話題が出た場合には、先生側からも話をしていくチャンスになります。
(保護者が全く気にしていないタイプだった場合、掘り下げて話をしていきにくいものです)
普段の園生活の子どもの様子・実際に気になった行動の場面を具体的に伝えていくのですが、伝え方には配慮しなくてはなりません。
気になる行動によって、「先生が困っていること」ではなく、「子ども自身が困っていること」という視点で話をしていくようにしましょう。
「何をして遊んでいることが多いですか?」に対する回答・対応例
この質問に対しては、個人面談があるということは事前に分かっていることなので、子ども1人ひとりの遊びの様子について意識的に観察し、メモをとっておきましょう。
具体的によく遊んでいること、最近夢中になっていることについて伝えていけると良いですね。
例えば「~ちゃんは、身体を動かすのが好きなのでよく外遊びに行っています。学級活動の中でしたドッジボールが楽しかったようで、好きな遊びの時間にも友達に声をかけて仲間を集めて遊んでいるんですよ」と、‟声をかけて友達を集めて遊ぶ”など、小さい頃にはなかったであろう姿、その子なりに遊びの中でも成長している姿についても保護者に伝えていきましょう。
「給食をちゃんと食べていますか?」に対する回答・対応例
食事に関することに悩みを抱えている保護者は比較的多く、幼稚園生活の中でも毎日ある食事の時間の様子を気にされている保護者は多いです。
また食事の中でも、食事にかかる時間・偏食に関する内容が主な質問です。
1)食事に時間がかかっている子どもの場合
食事に時間がかかっている子どもの場合は、園での食事時間の目安と食事を食べる速度に個人差があることを伝えたうえで、家庭で食事にかかる時間はどのくらいであるかについても保護者に聞けると良いですね。
様子を聞いていくと、「1時間以上食べている」「テレビをつけっぱなしにしている」「立ち歩き始めても食事はずっとテーブルにのったままになっている」等の声をよく聞きます。
話を聞いているだけでも、すぐに改善できるポイントはあると気づくと思うのですが、断定的に「こうしてください!」と保護者の子育てに命令するような言い方は避けましょう。
「ご飯中はテレビを消してみると変わるかもしれませんね」「幼稚園でもある程度時間を決めて食べているので、時間でおしまいにしてみるのはどうでしょう?」などと、1つの提案としてアドバイスしてみるのが良いと思います。
回答例:「幼稚園では〇分間くらいを食事の時間としています。食べる早さも個人差があるので、本人が食べたいという思いがある場合には少し時間を長めにとって食べられるようにしています。
食べるペースも成長と共に変わってくるので、本人が食事をすることを楽しめるように見守っているところです。
ご家庭で~くんの食事中の様子はどうですか?」
2)食事中、友達とのおしゃべりが多い子どもの場合
食事中の友達とのおしゃべりが多く、なかなか食事が進んでいない子どもの場合は、友達と一緒に食事を楽しむことができるのが幼稚園で食べるメリットであることを伝えつつ、食べることに集中できるように声掛けをしている等、園での対応についても伝えていました。
回答例:「お友達と一緒に楽しい雰囲気の中で食べられるのが幼稚園で食事をとる良さではありますが、少しおしゃべりが目立ちすぎている時もあります。
その時には、お口が空っぽになったらお話しようね・ご飯は進んでいるかな?と、こまめに声をかけているところです。」
3)偏食が多い子どもの場合
偏食が多い子どもの場合は、無理に食べさせると食事をすること自体が嫌な時間になってしまうので、小さいうちに『食事は楽しいものであることを実感することの大切さ』や『様々な食材に出会うことの大切さ』について知らせ、幼稚園で行っている食育活動があれば食育活動の内容についても触れていきましょう。
また、少しでも苦手なものを自分から食べてみようという気持ちを持つことができた場面があれば、大きな成長の1つとして伝えておきましょう。
回答例:「苦手なものがあるお子さんは多いですが、味覚の感じ方も個人によって人それぞれなので、今は色々な食材に少しでも興味を持って『食べてみよう』という気持ちを持てるようにしているところです。
食材も小さめに切ったり、味が変わると食べられたりするので色々な調理方法で食べてみるきっかけをつくっています。
成長と共に味覚も変わり、食べられるようになることもありますよ。」
「先生の話を聞いていますか?」「集団行動ができていますか?」に対する回答・対応例
1)話を聞いていない場面もあるが、大きな課題までではない子どもの場合
友達との会話に夢中になっていたり、次にするべきことが分からずにいる姿も事実としてあることを伝えた上で、『生活の中で小さな困った経験を重ねていくことで、話を聞く大切さに気づいていく途中段階』であることを伝えるようにしていました。
「人の話を聞かないと自分が困ってしまうということに子ども自身が気づくと、子ども自ら『話を聞いておかなきゃ!ちゃんと聞いておこう!』という意識を持てるようになりますよ」という話を保護者にしておくことで、保護者は我が子の成長の見通しをもつことができます。
2)グレーゾーン子どもの場合
話を聞くのが苦手な子、衝動的な動きが多い子の場合、おそらく幼稚園での一斉活動中にも何かしら気になる行動が目立っていることが多いように思います。
保護者から「集団行動ができているか?」に関する質問が出てきたときには、園生活の中での具体的な場面をあげて子どもの様子を伝えていきましょう。
その際、子どものダメ出しの連続になるような言い方は絶対に避けることがポイントです。
『先生は敵』のように捉えられてしまうと、保護者も幼稚園側に心を開いてくれなくなります。
『先生は味方・一緒に考えてくれる存在』であることが伝わるよう、子どもの具体的な場面から、今幼稚園でどのように対応しているのかについても具体的に話をしましょう。
保護者が心をひらいてくれていると、「家庭で保護者が困っていることはありますか?」という質問に対して「実は家でも~なのです・・・」と話をしてくださいます。
家庭での様子を聞くと、年齢とはやや合わない行動をしている実態が見えてくることもあります。
保護者が困っていることを受けとめ、聞き入れることが1番です。
そして保護者の様子や必要感に合わせ、『発達に関する専門の方が聞いてくれる相談機関があること』も1つの情報として知らせてみましょう。
「お友達と仲良くできていますか?」に対応する回答・対応例
個人面談の2週間程前から特に遊びの中での友達関係を把握をしておくことが基本です。
誰とよく遊んでいるのか、友達との関わりの中で思いを強く主張する側なのか、思いを我慢してしまう側なのか、友達との間の力関係はどうであるか、トラブルの頻度はどうか等を丁寧に観察していきましょう。
事前に整理が十分であれば、保護者からの質問が出た際にも答えることができます。
1)友達に対して強く言いすぎていることが多い子どもの場合
自己主張できることの良さを伝えたうえで、相手の思いに耳を傾けられるようにすることの大切さにも気づいてほしいという願いや課題についても話をしていくとよいでしょう。
回答例:「遊びの中でちゃんと友達に思いを伝えることができていますよ、リーダーシップを発揮してくれていますよ!」とプラスの伝え方をします。
その上で、「自分の思いを相手に伝えることはとても大切なことですよね。~ちゃんそこはちゃんとできているので今度は次のステップ!相手のお友達はどう思っているのかに気づいていけるように、「~くんは良いって言ってたのかな?どう思ってるんだろうね?」と相手の思いも聞き入れられるように普段、仲介に入っているところです」
2)好きな遊びの時間に、1人で遊んでいることが多い子どもの場合
年齢にもよりますが、自分のやりたい遊びに夢中になれること、集中できることの良さについても伝え、どのような時に友達と関わっているのか、関わりの場面を具体的に取り上げて伝えましょう。
また、一斉活動の中では色々な友達と関わる遊びやゲームをしていること、その際には一緒に楽しんで参加できていることも伝えていきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、個人面談ではどのような質問が多いか、質問に対する回答や対応例についても紹介してきました。
個人面談は、幼稚園と保護者との間で子どもの情報を共有しあう貴重な機会です。
わざわざ保護者も時間を作って来てくれているわけですから、具体的な子どもの姿を保護者に伝えられるように事前に子どもの情報をよく観察し、整理しておくことが大切ですね。
また、ネガティブな内容の場合でも伝え方は慎重にし、『保護者と一緒に子どもの姿と成長を見守り、支えていきたい』というスタンスを伝えられるような話し方を意識していけると良いですね。
個人面談をむかえるにあたって、何か参考になるものがあれば嬉しいです。
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