コーナー保育のメリットは?コーナー保育の環境構成のポイントとは?(幼児クラス向け)



コーナー保育とは、様々な遊びの場を設け、子ども達が自由に自分でやりたい遊びを決めて取り組んでいく保育方法の1つです。

保育者にとって「保育室のどこにコーナーを作ったら良いのだろう?」「どのような遊びのコーナーを作ったら良いのだろう?」とコ―ナー保育の環境設定については、最初迷うところだと思います。

今回はコーナー保育のメリットや各コーナーの具体例と環境づくりのポイント、コーナーを配置する際のポイントについてご紹介していきたいと思います。

コーナー保育のメリット

コーナー保育は、子ども達の育ちにとって主に3つのメリットがあります。

1)自分で好きな遊びを選んで決めることができることから自己決定力や主体性が育まれる

2)自分で考えて行動できるようになる

3)自分が興味あることややりたいことに没頭し、集中して遊ぶことができる

各コーナーの具体例と環境づくりのポイント

様々な遊びの中から子ども達が自分で遊びを選んでいけるように、複数のコーナーを設定していく必要があります。

ここでは一般的によく設定されるコーナーについて、私が年中・年長クラスを受け持った時の体験や設定していたものも具体例として含めながら、環境づくりのポイントについて紹介していきます。

製作コーナー

製作コーナーは、子ども達がイメージしたものを自由に様々な素材から選んで形にしていくことができる場です。

私が受け持っていたクラスでは、ままごと遊びをしている子ども達が遊びの中で足りない物が出てくると、自分達で紙を使った食べ物やメニュー、かばんなどを作ったりしていました。


そして、作ったものを持って再びままごとの場に戻っていく姿がよく見られ、他の遊びとの繋がりもあるコ―ナーになっていました。

製作コーナーに用意しておくもののポイントとしてはしては、最初から全ての素材や用具を出すのではなく、一斉活動で学級の子ども達全員が用具の使い方を知ったり、新たな素材に触れたりした後に、同じものを子ども達が自由に使えるように製作コーナーに用意しておいてあげると製作の幅も徐々に広がっていきます。

【設定しておくものの例】

1)素材
・画用紙・広告紙・紙テープ・スズランテープ・リボン・廃材(ティッシュ箱・プリンカップ・ペーパー芯・牛乳パック・ペットボトルキャップ・テープの芯)等

2)用具
・はさみ・のり・セロテープ・ホチキス・マジックペン・マーカー等

ままごとコーナー

ままごとコ―ナーは、子ども達の生活体験を再現しながら遊ぶことにより、イメージの世界を広げたり友達同士なりきってごっこ遊びを楽しむことができる場です。

ままごとコ―ナーについては2つのポイントがあります。

ポイント1:食べ物は既成のものから子ども達が製作したものへと変化させていく

入園当初は既成の食べ物で良いのですが、少しずつ子ども達と遊びの中で製作したものを取り入れながら既成のままごとを減らしていくのがオススメです。

いつまでも既成の食べ物を使っていては遊びの発展になりませんし、自分達が作ったものをままごとコ―ナーで使うことで物を大切にする愛着もわきます。

私がクラス担任を持っていた時は、年少年中は平面のもので紙の素材を使って作る食べ物、年長になると立体で『より本物らしい』食べ物を様々な素材を経験しながらよく作っていましたよ。

【製作でオススメの食べ物】

年少・年中→紙の切り落としでピザやお好み焼き・紙の連続切りでそばやうどん・画用紙を使ってハンバーガー・お花紙をカップに丸めて入れてゼリー等

年長→紙粘土でミートボールや卵焼き・ウインナー・ちぎったトイレットペーパーに絵の具とボンドを混ぜてプリンやたこやき等

ポイント2:保育室内にこだわらない

施設の環境にもよりますが、ままごとを保育室内のみに限らず廊下やテラスまで場を広げても良いようにすると、遊びやごっこのイメージも広げていくことができます。

また、保育室と保育室の外を行き来してままごとの場を作ることを良しとできる園であれば、ままごとコ―ナーは保育室の入り口側に設定しておくのが個人的にはオススメです。


私が受け持っていた5歳児達は、保育室内のままごとコ―ナーは家の設定にし、「家族みんなでピクニックに出かけよう!」ということになるとシートを持って廊下に行き、その場でピクニックごっこをよく楽しんでいました。

もちろん、廊下は他の友達の通り道でもあるので、シートを広げる場所を考えることについても知らせていくことも必要なことです。

【設定しておくものの例】

・食べ物・食器類・調理道具・エプロン・三角巾・かばん・人形・シート・ござ・牛乳パックの囲い(しきりにできるもの)等

保育者がその日に子ども達に経験をしてほしいと思って設定するコーナー

その日、子ども達に1番経験させたいことや、子ども達にとって1人1つは作ってみようという課題の製作物等がある場合は、保育室に入った時に対角線上の位置に設定するのがオススメです。

子ども達にとって1番目が届きやすいところになると同時に、保育室の奥の場に設定することで落ち着いて活動に取り組むことができます。

絵本コーナー

絵本コーナーは、その名の通り子ども達が絵本に触れられる場所です。

絵本コ―ナーは自分が絵本や図鑑を見るだけでなく、特に入園当初や学期はじめなど、自分のしたい遊びが見つかりにくい子ども達が安心して過ごせる場となり、遊びの合間にちょっと一息つける場にもなります。

私が年少で受け持っていた子どもの中に、入園当初学級の雰囲気に慣れず、好きな遊びの時間の大半を絵本コーナーで過ごす子もいましたが、その子どもにとっては、絵本コーナーに座っていることで自分の気持ちを落ち着けることができていました。

絵本コーナーにいるからといってずっと絵本を見るわけではなく、絵本コーナーから他の友達がしている遊びを落ち着いてゆっくり見ることができていたのです。

また、絵本コーナーに来た友達と絵本を介して少しずつ関わることで、少しずつ学級の友達との関わりを持てるようになり、絵本が好きな友達と別の遊びに踏み出してみるきっかけを作ることができました。

絵本コーナーのポイントとしては、保育室内にそこまで大きな場を取る必要もないですが、保育室の四隅など落ち着いた場所に設定するのがオススメです。

絵本の棚の前にジョイントカーペットやベンチ、椅子等を用意して落ち着いて読める環境を作りましょう。

【設定しておくものの例】

絵本棚・年齢にあった絵本・季節ものの絵本・図鑑・椅子・ジョイントマット

構成遊びコーナー

構成遊びコ―ナーは遊具を使って自分達で構成していくような遊びを展開できる場です。

1人で夢中になって遊べる場でもあり、年中後半~年長にかけては友達と協力して1つの場を作っていけるようになります。

構成遊びコ―ナーのポイントとしては、子ども達の興味関心から遊具を定期的に入れ替えていくようにすることです。

子ども達の遊びを見て「最近遊ばなくなったな・・・」と思う遊具があったら、その遊具は1度保育室内の設置からは外し、新たな刺激となる遊具を出してあげましょう。


また、電車やミニカーも既成ものは年少のうちだけ、年中や年長の頃には自分達で製作できるようになり、作ったものを使って遊ぶことがメインになります。

【設定するものの例】
電車と線路・ミニカーと地図マット・井型ブロック、Bブロック、レゴ・ボールスロープ等

保育室に遊びのコーナーを配置する際のポイント

では、実際に各コーナーを保育室の場に設定しようとした時、保育室のどこに何のコ―ナーを設定したらよいでしょうか。

また、1度設定したらコ―ナーの場所はずっとその場所で良いのでしょうか。

コ―ナーを配置する際のポイントについて見ていきましょう。

ポイント1:保育室の中心はあけておく

コーナーを設定する際には、保育室の中心は開けて設定するようにしましょう。

学級にはたくさんの子ども達がいるので、できるだけ子ども達の遊びを把握しやすいような配置にしていけると良いですね。

どこでだれが何をしていても、一目で分かるように”この遊びはこのあたり”と保育者が決めていくことで、子ども達自身も遊ぶ場所を覚えて、やりたい遊びがある時にはそのコーナーで遊ぶようになり
ます。

例えばコーナーの場所が決まっておらず、子ども達がレゴなどのブロックを保育室の中心で遊び始めると、保育者が外から保育室をのぞいた時に奥の子の姿が見えにくくなってしまいます。

また、保育室の中心に空間があることで、保育者だけでなく、子ども同士も互いに誰がどこで遊んでいるのかがわかると安心すると同時に、友達から「あ!~ちゃんは△△作っているんだ!僕もやってみたいな・・・!」と刺激を受けることもできます。

ポイント2:落ち着いて取り組む遊びは室内の奥がオススメ

保育室との行き来が多くなるような遊びは保育室入口側に、落ち着いてじっくり遊ぶような遊びは保育室の奥側に設定するのがオススメです。

特に年中や年長組になると、ビー玉転がしやピタゴラスイッチ遊び等、子ども達が集中して作り上げ何度も試していくような遊びを楽しめるようになります。

その場を保育室の入口に設定してしまうと、保育室内外の行き来をする友達の動きが気になり集中して遊びにくくなったり、作っている場を壊されてしまう可能性も高まります。

そのため、集中して取り組むような遊びは保育室入り口側は避けて保育室の奥に設定してみましょう。

ポイント3:子ども達が遊びたくなる・遊びやすい環境を見直し再構成する

子ども達1人ひとりがいきいきと遊べるようにしたいという保育者の願いをこめて、環境を構成しなおしていくことが大切です。

保育者が適当に環境構成しているもとでは、子ども達の充実した遊びには繋がりません。

子ども達の姿や自分の保育を振り返り、反省した上で次にどうしてみようか考え、自分なりに環境構成を変えてみることが必要ですね。

年度の最初から最後まで保育室内のコーナーの位置が同じである必要はありません。

確かに部屋の中物を大移動させることになるので、一手間かかりますが、子ども達のためにその一手間は惜しまないでもらえたらありがたいです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。


今回はコーナー保育のメリットや各コーナーの具体例と環境づくりのポイント、コーナーを配置する際のポイントについてご紹介しました。

子ども達が夢中になっていること、興味があることは日々変わっていきます。

目の前の子ども達の実態を見ながら、子ども達が遊びやすく、遊びたくなる環境づくりの参考にしていただければ幸いです。

本記事は、2024年3月4日時点調査または公開された情報です。
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