はじめに
「金融庁」は、東京都千代田区霞が関にあり、2000年に設置された日本の行政機関です。定員は、1,373人です。
なお、前身の組織は、「金融監督庁」「大蔵省」でした。
今回は「金融庁」の公務員を目指す方に押さえておいてほしい基本的な情報と役割について解説します。
「金融庁」について
「金融庁」は、東京都千代田区霞が関に置かれた行政機関で、長は、「金融庁長官」です。
現在、「金融庁」の取り組むべき課題は、現在の経済の言わば動脈である「金融システム」について、日本経済の再生と活性化のために不良債権問題を解決して構造改革を支える、より強固な金融システムを構築することです。
さらに、「金融庁」は、この「金融システム」によって経済発展を支える投資資金が円滑に供給されるよう証券市場の構造改革を進め、「貯蓄から投資へ」の流れを加速していくことも重要視しています。
このような背景のもと、「金融庁」では、市場規律と自己責任原則を基軸とする透明で公正な行政を行い、金融制度の企画立案や民間金融機関等に対する厳正な検査・監督や、証券取引等の監視を通じて、このような金融システムに関する重要な課題に全力を挙げて取り組んでいます。
「金融庁」の役割について
「金融庁」の役割は、金融庁設置法3条において「日本の金融の機能の安定を確保し、預金者、保険契約者、金融商品の投資者その他これらに準ずる者の保護を図るとともに、金融の円滑を図ること」と定義されています。
また、加えて、金融の本質的な機能を十分に発揮させる仕組みを構築し、日本の経済や産業を活性化させ、 日本経済の根幹を支えるという役割も担っています。
上記役割のもと「金融庁」は、経済・社会の社会基盤となる「金融」が十分に機能し、世の中にお金がスムーズに回る環境にするため、あらゆる人々や企業が安心・便利に金融を利用できるようにするためのルール作りや、あらゆる人々や企業に金融サービスを提供する金融機関の検査・監督や市場での取引きの監視、公認会計士の監査といった業務を具体的に行なっています。
「金融庁」の組織構成について
「金融庁」の組織構成は、「幹部」である「内閣府特命担当大臣(金融担当:3名)」「内閣府副大臣(金融担当:3名)」「内閣府大臣政務官(金融担当)」「金融庁長官」「金融国際審議官」と、「内部部局」である「総合政策局」「企画市場局」「監督局」によって成り立っています。
「幹部」「内部部局」のほかに、「審議会等(金融審議会、証券取引等監視委員会、公認会計士・監査審議会等)」があります。
「金融庁」の改革について
「金融庁」では、2008年のリーマン・ショックで金融を適切に制御できなかったことなどを背景に、最近、ますます拡大している実体経済や、進展のめざましい様々なテクノロジーによって急速に変化する金融に対し、「金融庁」自身も改革を進める必要があると判断しました。
特に、「金融庁」が改革すべきとする課題の中心は、「ガバナンス」と「組織文化」です。
そもそも、「ガバナンス」とは、「組織などをまとめるための方針やルールを組織内で実行させる」ことを意味します。
このような「ガバナンス」を改革し、効果的に進めるには、外の意見や批判についての風通しを良くし、改めるべきことを改められるように職員の意識向上を図り、それに伴う人事の評価や任用のあり方など組織文化も改革する必要があります。
そこで、「金融庁」では、ガバナンスを改革するため、大きく3つの指針を挙げました。
1)金融行政の運営を検討する過程で民間の有職者を参画させること
2)行政の運営に関して、その質を高めるために外部の目線を導入すること
3)建設的な対話を可能とするために積極的に情報を発信すること
さらに、「金融庁」は、人事改革を定着・深化させるため、5つの仕組みの構築を掲げました。
1)組織文化を改革し、真に国民・国益のために働くという行動を定着させる
2)新たな行政課題に対し、的確に対応できるリーダーシップを図る
3)金融行政の質が向上するよう、多様で専門性の高い組織を作ること
4)職員の一人ひとりと向き合える人材政策を進めること
5)ワークライフバランスを実現できるような職場環境を作ること
「金融庁」は、このような改革を実現することにより、「国民のため、国益のため」にプロフェッショナルとして活躍し、組織内外が柔軟に往来できる開かれた新しい「金融庁」を目指しています。
「金融庁」の年間予算は約257億円
「金融庁」の平成30年度の予算は、約257億円でした。
その主な内訳項目は、大きく、人件費・物件費・東日本大震災からの復興対策に係る経費に分かれます。人件費は約183億円、物件費は約74億円、東日本大震災からの復興対策に係る経費が約3000万円です。
これらのうち、物件費は、検査監督等実施経費は約4億3千万円、金融庁行政情報経費は約27億8千万円、金融制度等調査・研究等経費は約5億円、国際会議等出席経費は約5億8千万円、経済協力費は約1億3千万円、その他が約19億1千万円で、金融庁行政情報経費が物件費の約半分を占めています。
内訳についてはこちらの予算概算要求の概要をご参考ください。
まとめ
いかがでしたか?
「金融庁」は、あらゆる人々や企業が安心して便利に金融を利用でき、お金が世の中にスムーズに回るよう、時代や地域によって変わることのない金融の本質的な機能を十分に発揮させ、金融サービスを提供する金融機関の検査・監督や市場での取引の監視等に努めています。
ちなみに、「金融庁」の英語名称は「Financial Services Agency」で、略称は「FSA」です。
「金融庁」のウェブサイトのURL
参考:そもそも「金融」について
「金融」とは、「資金の融通」であり「世の中のお金の流れ」のことです。
あらゆる人々や企業にとって、お金との関わりを完全に断ち切ることは難しいことからも、「金融」は、経済社会を支える社会基盤となっています。
参考:「金融の機能」について
「金融の機能」は、資金の余っているところ(とき)から資金を必要とするところ(とき)へ移すことです。
この「金融の機能」によって、経済・社会を発展させ、生活の質を向上させることができます。
たとえば、企業が株式を発行すると、相互に関係性のない地域に住んでいる多くの人達から資金を集めて世の中に役立つ事業を起こすことができます。
また、銀行から住宅ローンを借りると、現在、借りた人が保有している資金以上に価値のある住宅を購入したりすることができます。
さらに、「金融」には、将来の不確実性を回避するための機能もあります。たとえば、将来病気になったとき、入院中や手術で必要になる高額な医療費をカバーする医療保険などがこれに該当します。
このように、「金融」は、目に見えない私たちの社会生活の目に見えない社会基盤としてさまざまな恩恵をもたらしていますが、その一方で、金融」は予期しない事情変更が生じた場合に「その影響を受けるというリスク」を抱えることになります。
例を挙げると、投資先である企業が突然に経営破綻したことによって、購入した株式が価値を失うような場合です。そして、「金融」とはお金の流れですから、一度予期しえないリスクが生じた場合に経済・社会に与える影響は非常に大きなものとなってしまいます。
もし、一つの金融機関が破綻することによって融資を受けている企業が資金を調達することができなくってしまうと、他の企業も連鎖的に破綻すると言う現象が起きます。
このような「金融」に内在している完全に排除することは不可能であるため、リスクとうまくつきあいながら世の中にお金がスムーズに回るよう、「金融」の仕組みを整備することが求められています。
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