※本記事は、2019年9月調査の内容です(今後更新予定です)。
はじめに
今回ご紹介する国立映画機関「国立映画アーカイブ」は、東京都中央区(JR京橋駅近く)にあり、2018年(平成30年)に東京国立近代美術館から独立した国立映画機関で、2017年現在で保管フィルム数は、79,509本と公表されています。
今回は、公務員として働く「学芸員」向けに国立映画機関「国立映画アーカイブ」に関する基本的な情報についてご紹介します。
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の沿革について
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の沿革についてご紹介します。
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の沿革は、国立近代美術館(東京国立近代美術館)が設置され、国立機関としては初めて映画事業(フィルム・ライブラリー)が開始された1952年(昭和27年)までさかのぼります。
その後、1967年に終戦後GHQに接収され、アメリカ合衆国議会図書館に保管されていた日本映画フィルム約1,300本の返還協定が締結され、1969年(昭和44年)に東京国立近代美術館にフィルムセンターが設置されました。
1986年(昭和61年)にフィルムセンター相模原分館が竣工し、1995年(平成7年)にフィルムセンターが新たに開館(現:国立映画アーカイブ本館)され、2001年に東京国立近代美術館が独立行政法人国立美術館の一機関となり、フィルムセンターもその一組織となりました。
2002年に東京国立近代美術館のリニューアルオープンに伴い、フィルムセンター7階展示室で行われていた写真・デザイン作品の展示が本館で行われ、2003年にフィルムセンターの美術館からの独立が掲げられました。
2009年(平成21年)に現存最古の日本映画『紅葉狩』の35mm可燃性デュープネガが、映画フィルムとして初めて重要文化財に指定され、2010年に『史劇 楠公訣別』の35mm可燃性オリジナルネガが重要文化財に指定されました。
2011年に相模原分館に増築棟が竣工され、『小林富次郎葬儀』の35mm可燃性オリジナルネガ及び上映用ポジが、重要文化財に指定されました。
2018年(平成30年)に独立行政法人国立美術館の6番目の館「国立映画アーカイブ」として設立されました。
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の概要について
国立映画機関「国立映画アーカイブ」は、独立行政法人国立美術館が運営する国立の博物館です。
本館となる「京橋本館」は、東京都中央区京橋にあり、広さは、長瀬記念ホールOZUは306平方メートル、小ホールは190平方メートルで、収蔵資料は、78,132本(日本映画69,162本、外国映画8,970本)で、職員数については確認できませんでした。
また、平成29年度の来館者数は、上映会は75,317人、巡回上映は、76,047人です。
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の施設・展示について
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の施設は、京橋本館と相模原分館があります。
このうち、展示は、京橋本館7階の展示室で開催されています。
現在、国立映画機関「国立映画アーカイブ」の京橋本館(展示室)で開催されている展示は、下記の企画展示です。
テーマ:キネマ旬報創刊100年記念/映画イラストレーター 宮崎祐治の仕事
会期:2019年4月23日~8月25日
主催:国立映画アーカイブ
特別協力:宮崎祐治
協力:株式会社キネマ旬報社
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の研究について
国立映画機関「国立映画アーカイブ」は、平成29年度は、下記の研究を行いました。
1)入江良郎
・論文「吉澤商店主・河浦謙一の足跡(2)活動写真時代の幕開き」
2)大澤浄
・論文 「佐々木史朗プロデューサーインタビュー 僕は、プロデューサーが主導する形の作家主義をやっていると、自分では思っている」
・論文 「佐々木史朗プロデュース作品一覧」
・論文 「石井岳龍監督インタビュー 理想を真っすぐ追うのではなく、リアルから近づいていくという戦いです。」
・論文 「デジタル映画を上映する/観ること」
・論文 「さまざまな映画のかたち」
3)大関勝久
・論文 「デジタル映画の長期保存と活用への取り組み」
・発表 「映画用黒白フィルムの保存性改良に関する研究」
・発表 「デジタル動画の保存について」
・発表 「写真フィルムによるデジタル映画・映像の保存」
4)岡島尚志
・論文「第3回ナイトレート・ピクチャー・ショー」
5)岡田秀則
・論文 もはや「ノンフィルム」ではない―映画図書館員会議に参加して
・論文 書評「署名はカリガリ 大正時代の映画と前衛主義」
・論文 インタビュー「岡田秀則に聞く、「アーキビストの眼で見た映画」
・論文 「終わらないロマンティック―高木隆太郎氏を悼む」
・論文 「クリス・マルケルの不死は私たちの任務である」
・論文 「光ありき、そしてスクリーンありき」
・発表 「アニメの先駆者 大藤信郎」
・発表 「国産ストップモーション動画史研究の深化に向けて 持永只仁展の経験から」
6)岡本直佐
・発表 「デジタル動画の保存について」
・発表 「フィルムセンター 図書室デジタル資料閲覧システム」
7)紙屋牧子
・論文 「会館芸術 第Ⅱ期 戦中篇 第23巻、24巻」(解説)
・論文 弛緩/硬直する骨、腐敗/蘇生する肉―鈴木清順「浪漫三部作」における裏返る生と死
・発表 最初期の「皇室映画」をめぐって
・発表 映画史から考える皇室のメディア戦略:皇太子渡欧映画(1921年)を中心に
・発表「無声期日本映画の「尖端」と映画館における語り・音楽」
8)木村智哉
・発表 「日本アニメーション映画クラシックス の反響と課題」
9)佐々木淳
・論文 「佐々木史朗プロデューサーインタビュー/僕は、プロデューサーが主導する形の作家主義をやっていると、自分では思っている」
・論文 「佐々木史朗プロデュース作品一覧」
・論文 「石井岳龍監督インタビュー 理想を真っすぐ追うのではなく、リアルから近づいていくという戦いです。」
10)大傍正規
・論文 色彩はよみがえる―最適な色再現を支える人と技術
・論文 第73回FIAFロサンゼルス会議報告 ハリウッド、ラテンアメリカへ行く―映画資料保存の先を見すえて
・論文 珠玉の“フィルム”が彩る、映画アーカイブ活動の深化
・論文 Limiting Colour Grading for Two-colour Film Restoration
・論文 The Restoration of The Thousand-Stitch Belt (1937)
・論文 「映画フィルムのビネガーシンドローム対策
・発表 「ジャズ娘誕生」のデジタル復元
11)栩木章(執筆・発表者名=とちぎあきら、Akira Tochigi)
・論文 「台湾で見つかった戦前日本アニメーション映画―フィルム・アーキビストはどう見たか」一章
・発表 フィルム・アーカイブの仕事~フィルム・アーキビスト的映画の向き合い方
・発表 木村白山を招喚する―台湾で見つかった『漫画 砂煙り高田のグラウンド』をきっかけに
12)冨田美香
・論文 「佐々木史朗プロデューサーインタビュー 僕は、プロデューサーが主導する形の作家主義をやっていると、自分では思っている」
・論文 「佐々木史朗プロデュース作品一覧」
・論文 「追悼:林▲土▼太郎 デンシティ一筋、“男気”の活動屋」
・論文 「特別上映会 甦る70mm上映『デルス・ウザーラ』」とその後に向けて
・論文 「石井岳龍監督インタビュー 理想を真っすぐ追うのではなく、リアルから近づいていくという戦いです。」
・論文 アートダイアリー035「映画プロデューサー 佐々木史朗」
・論文 「NFC & MPTEアーカイブセミナー」(報告)
13)中西智範
・発表 「デジタル動画の保存について」
14)三浦和己
・論文 国産アニメーション映画の生誕百周年を迎えて
・発表 「デジタル動画の保存について」
キャッチコピー・シンボルマークについて
国立映画機関「国立映画アーカイブ」のシンボルマークは、鈴木 一誌さんによって創作されました。
このシンボルマークは、光を投げかけて受けとるという双方向の運動による求心力と広がりが表現されています。
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の英語表記「National Film Archive of Japan」の頭文字「NFAJ」の部分は、文字の要素がいくつか集まって文字になる不思議さとデジタル技術への対応性がイメージされています。
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の館長について
現在の国立映画機関「国立映画アーカイブ」の館長は、「岡島 尚志(おかじま ひさし)」さんです。
「岡島 尚志」さんの経歴は、1979年(昭和54年)に日本大学総長賞を受賞、2000年(平成12年)に日本映像学会理事に就任、2003年に国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)運営委員に就任、2005年に日本映像学会主幹に就任しました。
その後、2008年にサンセバスチャン国際映画祭新人監督部門審査員に就任、2010年に東南アジア太平洋視聴覚アーカイブ協会特別会員に就任、2012年に日本映像学会副会長に就任しました。
2016年にジャン・ミトリ賞を受賞、2017年に東京国立近代美術館フィルムセンター参事に就任した後、2018年(平成30年)に国立映画アーカイブ館長に就任しました。
なお、「岡島 尚志」さんは、国立映画機関「国立映画アーカイブ」の初代館長です。
国立映画機関「国立映画アーカイブ」のアクセス・営業時間
国立映画機関「国立映画アーカイブ」(京橋本館)は、東京都中央区にあり、最寄り駅は、京橋駅です。
開館時間は、11:00~18:30で、毎月末金曜日は、11:00~20:00までです。
休館日は、月曜日、上映準備・展示替期間、年末年始です。
詳細な情報については、国立映画機関「国立科学博物館」のホームページなどをご確認ください。
参考URL:https://www.nfaj.go.jp/visit/goriyou/
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の入館料について
通常展示普通入館者は、一般は250円、大学生は130円、団体入館者は、一般は200円、大学生は60円です。
65歳以上の方および高校生以下・18歳未満の方、障がい者の方と付添者1名は無料です。
なお、無料観覧日は、5月18日、11月3日で、国立映画アーカイブの上映観賞券(観賞後の半券)を提示すると、1回に限り団体料金が適用されます。
詳細な情報については、国立映画機関「国立科学博物館」のホームページなどをご確認ください。
参考URL:https://www.nfaj.go.jp/visit/goriyou/
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の職員数
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の職員数は、2018年現在、11人です。
参考URL:https://s.mxtv.jp/mxnews/kiji.php?date=46512758
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の採用人数
現在は募集がなく、過去の情報もみつかりませんでした。
国立映画機関「国立映画アーカイブ」の財務状況について
国立映画機関「国立映画アーカイブ」は、2018年に設立されたため、財務情報はありません。
まとめ
いかがでしたか?
国立映画機関「国立映画アーカイブ」は、2018年に独立行政法人国立美術館の6番目の館として設立された日本で唯一の国立映画専門機関です。
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