はじめに
岩手県で働く、男性の「消防士」によるキャリアレポートです。
公務員としての職業・勤務先:消防士 / 岩手県
性別:男性
雇用体系:正規雇用
所有資格:普通自動車運転免許、大型自動車免許、無線従事者、危険物取扱者
「消防士」を目指した理由
公務員試験を受けて合格しましたが、配属が消防となり、結果的に消防士となりました。当時は、一般事務と消防職の区別なく受験しなければなりませんでした。
「消防士」の仕事内容について
地方の小さな消防署の消防士の仕事は、救急から火災対応まで、全てこなします。その日によって、何の業務を担当するかが決まっています。
救急の時は、救命士として救急対応を行います。救命士にしかできない医療行為があるので、搬送先の病院の医師の指示の元、現場や車内で救命措置等を行います。救命士を取得していなかったときも、隊員として救急対応の補助や、救急車の運転等を行いました。
救助や火災の際は、タンク、ポンプ、救急車といった、その日の担当車両で現場出動します。警察などと連携して対応します。火災の際は、鎮火後に現場調査も行います。
救急・救助・火災対応のほか、警防・管理・予防といった係があり、消防計画の作成、消防団配備の消防車の管理、火災予防の啓発活動なども行っています。事務量もかなり多いです。
台風、地震、津波などの突発災害への備えや対応も行います。管轄内での対応はもちろんですが、他の地域で災害が発生した場合は、緊急援助隊として派遣されることもあります。また、非番召集と言って、当番の隊員だけでは足りないような場合は、休日でも出勤します。
「消防士」の1日の仕事の流れ
7:45 自宅から車で出勤
8:00 到着
8:15 前の隊から申し送り
8:30 勤務交代・勤務開始
9:00 訓練や市内事業所の施設点検など
11:45 お昼休憩
12:45 市内事業所の施設点検や事務作業
17:45 夜休憩
18:30 トレーニングなど
22:00 仮眠(この間、1時間交代で電話当番を行います。訓練のない夜間帯に事務を行う場合が多いです。)
6:00 起床
7:00 点呼・車両点検
8:15 次の隊へ申し送り
8:30 帰宅
操法大会や消防演習、幼年消防といったイベントの打ち合わせは、午前・午後の日勤者がいる時間帯で行います。
また、すべての時間帯において、救急など出動要請があった場合は、予定したとおりに作業はできません。
「消防士」の給料・残業・有給休暇について
給料は約33万円で、時間外手当は時期によりますが、1万5,000円~4万円です。夜間勤務手当や特殊手当(救急出動時の手当)が約7,000円で、この他、扶養手当や通勤手当があります。
ボーナスは夏・冬ともに約80万円です。そして、勤務交代時に救急等で複数台出動している場合は残業がありますし、休日も非番召集で呼ばれることもあります。
有給休暇は、年間20日間ありますが、研修で長期不在の職員や、防災ヘリなどに長期派遣されている職員もいて、人数がぎりぎりなため、休めないことも多くあります。その場合は、勤務交代で、他の隊の職員に代わってもらうこともあります。
この仕事で、働いているときに困ったこと
私の職場は、男性のみの職場です。24時間一緒にいますし、分署もありませんので、ほぼ同じメンバーで仕事をしなければなりません。家族のような存在であると同時に、パワハラに近い、嫌な思いをすることもあります。
馬が合う・合わないといったこともあるかもしれませんが、雰囲気が悪くなると事務効率が落ちたり、業務に支障が出るので、できるだけ気持ちよく仕事できるよう、声がけをしなければならないと感じています。
自分が入職したときの厳しさは、今の若い職員には理解してもらえないのだろうと、ジェネレーションギャップを感じています。
この仕事や職場でよかったこと
公務員の特徴として、やはり給料面と福利厚生かと思います。全体的に給料の安い田舎の中にあって、給料はやはり恵まれていると思います。安定性もありますが、今は公務員でも人事評価の対象となっているので、頑張ればさらに評価してもらえます。
職種の関係上、平日休みも多いので、子供の学校行事には私が参加したり、突発的な通院には私が対応したりできました。また、子供を消防署に連れていって、車両を見せたりして喜ばれたりもしました。
「消防士」の仕事エピソード
感動するとは言えませんが、自分たちの姿に、子供たちが喜んでくれることは、非常に士気が上がります。
大変なことは、やはり、生命・財産を守ることの難しさです。特に東日本大震災では、自分自身も自宅が被災しながら、震災対応に当たりました。いつかは起こると覚悟していたとはいえ、やはり想定外の規模で、通信網は遮断され、家族の安否すら確認することができないまま、昼夜なく情報を集め、考え、体を動かさなければなりませんでした。
幸いにも家族は全員無事でしたが、市民を守るために働かなければならないことと、家族を守ることは別物であることを痛感し、自分の無力さを感じました。
「消防士」の職場恋愛について
今のところ男性のみの職場のため、職場内恋愛は考えられない状況ですが、この先はありうるのかもしれません。私自身は、同僚の設定した飲み会で知り合った、今の妻と結婚しました。
職場内での出会いはないので、同僚の友人を交えて飲み会をする、遊ぶ機会で出会うなどといったケースが多いと思います。
なぜか保育士の仕事をしている奥さん、彼女がいる人が多いです。最近は「結婚するつもりはない」とのことで、特に出会いを求めていない若い子もけっこういます。
まとめ -「消防士」を目指す方へメッセージ
意外に事務業務も多く、レスキューといった派手な仕事ばかりではありません。自分自身を危険にさらす、家族のことが後回しになるといったこともありますが、士気の高い方の入職をお待ちしています。頑張ってください!
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