はじめに
神奈川県で働く、男性の「消防士」によるキャリアレポートです。現在はすでに退職済みとのことですが、当時について語っていただきました。
公務員としての職業・勤務先:消防士 / 神奈川県
性別:男性
雇用体系:退職済み(在勤時は正規)
所有資格:救急救命士
「消防士」を目指した理由
高校のラグビー部の先輩が消防士をしていて、誘われたのがきっかけです。しかし、先輩の所属していたところには入らず、勤務地の関係から、地元の消防士になりました。
「消防士」の仕事内容について
消防士として、消防隊から始まり、救急隊、救助隊、水上署、指令課、危機管理室などを歴任しましたが、もっとも長く携わったのは火災調査担当です。火災調査担当は、文字通り、火災が発生して現場に赴き、火災と認定した時点から、火災原因調査に着手します。
最終的には、火災の原因となったものについて、判定をするのですが、そこに至るまで、現場での写真撮影や実況見分、関係者からの質問調書などを得て、火災原因の究明に努めます。また、損害調査も行います。これは、火災原因同様、総務省の火災予防施策に寄与していて、火災調査書という形で報告となります。
火災調査という仕事は、時間も要し、また、時には放火殺人や民事トラブルなどの事案もあるので、地味ですが、外部機関との関わりも深いです。その外部機関とは、警察、損害保険会社、調査会社、弁護士などの職業の方です。
そして、車両火災な電気火災などであれば、メーカーさんやディーラーの方々とも接触し、場合によっては燃焼実験を行ったり、解体して個別に部品鑑定をしたりと、火災の種別によって、多種多様な調査方法を行います。
「消防士」の1日の仕事の流れ
6:00
自宅を出発(自転車通勤)
7:00
出勤
8:30
大交替をして勤務開始
車両点検や資機材の点検、体操
9:00
朝のミーティング
反対番からの申し送りや本日の予定、示達事項、各係のミーティング
9:30
訓練や点検
消防隊、救急隊、救助隊各々に分かれての訓練や消火栓点検などの出向等々
12:00
昼食
13:00~17:15
訓練
午前中と同様訓練が主、救急隊、消防隊、救助隊と合同で、救助訓練や火災救出訓練等
18:00
夕食
19:00
夜のミーティング
当日の訓練の反省点や課題などを各隊ごとに意見交換
また、事務処理や体力錬成など、昼間行えていない作業を実施
23:00
仮眠
通常、2:00ぐらいまでは個人の仕事がありますので、仮眠自体は3時間~4時間位
6:00
引き継ぎ準備や清掃
7:30
朝食
8:30
引き継ぎをして解散
「消防士」の給料・残業・有給休暇について
給料は、月給で約40万円、ボーナスは夏冬共に約150万円、年収は約800万円です。残業は時間外手当といい、非番での検査や火災調査、他組織との合同訓練など、毎月平均約10時間程度だと思います。
そして、有給休暇は年間20日間です。実態としては、半数の10日ほど取得出来ればいい方です。
この仕事で、働いているときに困ったこと
一般の方々に、認識が広まっていないのが、実状だと思いますが、消防署は何でも屋さんだ、と思われてるみたいです。
消火器を売ってほしい。水道の調子が悪く、水漏れして大変だから、すぐ来てほしい。布団をマンションのベランダから、お隣さんの屋根に落としてしまったので、取ってほしい。など。
消防署は、基本的に、緊急性のある事案にしか、対応していないのですが、明らかに緊急性云々ではなく、所管業務外のことを、当たり前のように依頼されることが多く、困っていました。
この仕事や職場でよかったこと
バブルが弾けてからは、そこまで感じませんでしたが、以前はやはり公務員ということで、自宅購入の際には、銀行からの融資額が増額されました。さらに、福利厚生は充実していると思います。家族旅行などで宿泊利用出来る施設も多く、宿探しで困ったことはありませんでした。
また、健康診断は年に二度、夏期と冬期に実施されるため、ありがたいと思っています。そして、公務という観点で、警察や海上保安庁などの機関との交流も多々あり、通常では見られない施設見学や、情報提供などが得られるのも特権であると思っています。
「消防士」の仕事エピソード
感動したことは、救助して助かった方々が、社会復帰までされて、消防署に挨拶に来られたことです。何人かの方々と、そういう機会を持たせていただきましたが、ありがとうという御礼を言われるよりも、元気な姿に感動します。
それこそが、我々が望んでいる姿だからです。
失敗は経験していません。小さな書類上のミスなどはありますが、救助出来る人を死なせてしまったり、助かるべき人を助けられなかったりという失敗は、ありませんでした。
大変だと思ったこともなく、仕事は何をしていても大変だと認識していますので、消防士が特別大変だと考えたこともありません。
「消防士」の職場恋愛について
職場内で結婚した職員たちもいます。恋愛は個人の自由ですので、好きになった相手が同業者だった、ということだと思います。
職場以外では、職業柄、看護師さんや保母さん、学校の先生などと接する機会がありますので、出会いということでは多いと思いますし、現にそういう職種の方々と結婚されている職員も多くいます。
公務員、消防士に何を求めているのか謎ですが、合コンの誘いも多く、日程調整さえ出来れば、出会いが厳しい環境下にはないと思います。
まとめ – 「消防士」を目指す方へメッセージ
志望理由は何でもいいと思います。大事なのはスタートしてからです。頑張ってください。
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