新型コロナウイルスによるアリゾナ州フェニックスの現状

世界中で猛威を振るうコロナウィルス。アメリカでも大変な数の感染者や死者が出ていて、ロックダウンしている都市が多々あります。アリゾナ州でも自宅待機命令が発令され、生活に不安を抱える人がどんどん増えています。

本記事では、アリゾナ州在住の日本人ライターが、アリゾナ州の現在の状況について、レポートにして書いてくださいました。

はじめに

とうとうアリゾナ州でも3月30日に州知事によって自宅待機命令(Stay-at-home)が発令され、3月31日午後5時から4月30日までの間、不要不急の外出を控え、ほとんどの住民が自宅待機をするようになりました。

しかしアリゾナ州は、3月19日にアメリカで初めて州全体に外出禁止令が出されたカリフォルニア州とは違い、自宅待機命令が出たからと言って、すべての住人が一斉に自宅待機状態になり、街がゴーストタウン化した訳ではありません。

自宅待機命令(Stay-at-home)と外出禁止令(Lock-down)

自宅待機命令と外出禁止令は、似ているようで多少の違いがあります。

まずどちらの状態でも、日常生活に必要不可欠でないビジネスの営業は停止を命じられますが、生活の上での必要最低限の外出は可能です。そのため食料品を取り扱うスーパーマーケット、医療に関係のある薬局や病院、銀行やガソリンスタンドなどは、引き続き営業をしています。そして電気、ガス、水道は止まりませんし、郵便配達の車や清掃車ももちろん通常通りやってきます。

レストランはテイクアウトとデリバリーは可能ですが、店内での飲食はできません。マクドナルドなどのファーストフード店も、今はドライブスルーのみの営業になっています。

レストランにテイクアウトをオーダーして、お店に商品を受け取りに行っても、お店のカウンターではなく出入り口のドアの所で、商品受け渡しを行います。またカード以外では支払いができない場合も多く、注意が必要です。

オフィスで仕事をしていた会社員や医師達も、自宅から電話やコンピューターを使った在宅勤務に切り替えられ、スーパーやコンビニなども、普段より働いている人数を少なくし、営業時間を短縮して、社員が極力人との接触を減らせるよう努力しています。

そして外出禁止令と自宅待機命令の違いはというと、外出禁止令下ではほとんどの外出が禁止され、不要な外出が見つかると、警察などに注意されます。しかし自宅待機命令の場合、個人個人できる範囲内でなるべく外出を自粛します。しかしずっと家にいなければいけない訳ではなく、個人が必要と判断すれば、外に出て散歩やハイキング、サイクリングやジョギングなど、エクササイズをしても構いません。

自宅待機命令が発令されたアリゾナ州の市内の様子

4月7日現在、全米42州で外出禁止令、自宅待機命令のいずれかが発令されています。しかしその内容は州によってかなりの差があり、州によっては自宅待機命令の対象者(70歳以上の人や、既往症のある人など)のみを限定するところや、人口の密集している都市部のみを閉鎖している所もあります。

アリゾナ州フェニックスでは、カリフォルニアの外出禁止のニュースを受けて、すべての市立図書館と公立学校が3月21日から4月21日までの間、一般開放を停止しました。図書館職員は3月30日まで館内の清掃や本の消毒などをして働いていましたが、3月31日の自宅待機命令以降は、建物を完全閉鎖して職員の館内立ち入りも禁止しています。

学校は幼稚園から大学まで校内での授業を全て禁止して、授業はすべてオンラインに切り替わりました。現在はどの学校も、夏休みが終わるまで授業を再開する見通しはたっていないそうです。

ニューヨークやカリフォルニア州と違い、アリゾナ州はまだそんなに感染が広がっていないと思います。それでもやはり大勢で集まることは禁止されているので、今年はスポーツ観戦ができなくなりました。

いつもなら夜遅くまでみんなが利用している野球場、サッカーやバスケットボールの屋外練習場、子供同士が接触しやすい公園のプレイグラウンドなども、今年は誰も使用していません。しかし青空の下少人数で行うゴルフのプレーは禁止されていないので、老人がゴルフカートに乗り込んで、コースを回って楽しそうにプレーをしているのをよく見かけます。

自宅待機命令が発令されたアリゾナ州のスーパーの様子

2月の中旬頃から、使い捨てマスクや消毒用のジェルがWalmartや市内の大手薬局の店頭からだんだん姿を消して行きましたが、その時はまだ誰もマスクを着用していませんでした。

3月14日の時点で、すでにボトル入りの水やコメ、パスタや缶詰などは、スーパーの棚から消えていて、店内は非常に混雑していて、全体的に品薄状態でした。

そしてカルフォルニアがロックダウンした3月19日直後は、フェニックスのスーパーからも、ほとんどすべての冷凍食品、小麦粉やパスタなどの乾物、缶詰や瓶詰めの保存できる食料品、肉や卵、パンや牛乳、トイレットペーパーやティシュペーパーなどの紙製品、除菌ジェル、洗剤や漂白剤などが、本当にきれいさっぱりなくなりました。

3月30日にアリゾナ州知事によって自宅待機命令を出された時も、スーパーは一時期また品薄状態になりましたが、3月19日の時ほど酷くはなかったと思います。

スーパーから一時的に物がなくなってしまった理由は、外出禁止令や自宅待機命令によって、危機感を持った消費者の需要が一気に伸びて、店側がそれに対応しきれなくなったためであって、商品の流通に問題があった訳ではありません。

そのため、小麦粉やパスタなど、今でも手に入りづらい状態の商品もありますが、卵やペットボトル入りの飲料水、トイレットペーパーなど、特定の人が商品の買い占めを行わないように購入数量を制限しているので、生活に必要なものはほとんど何でも買う事ができます。

自宅待機命令が発令されたアリゾナ州のマスク使用状況

スーパーによって消費者の質が違うように、地域や店によってもマスクを使用している人の比率も違うように思います。

Walmartの客層は有色人種の低所得者層が比較的多く、マスクをしている人はあまり見かけません。しかしWhole Foods や Sprouts やTrader Joe’s などのオーガニック食材を多く取り扱うスーパーは、全体の約7割の人達がマスクや手袋をして買い物をしています。

特にTrader Joe’sやコストコでは、入場制限をして店内の人数を一定に保っています。そのため時間帯や日によっては、外に並んで中に入るまで待たなくてはならない時がありますが、一度店内に入ってしまえば、買い物客の数が少ないので、非常にスムーズに買い物ができます。

その他のごく普通のスーパーマーケットでは、マスクをしている人をたまに見かける程度なので、総合すると全体の8割ほどの買い物客は、マスクをしていないと思います。

マスクをしない人達は、トランプ大統領の『マスクは感染予防に意味がない』という意見を支持している人が多いと思います。そしてそういう人達の多くは、東洋人でマスクをしている人を、まるでバイキンを持っているかのように見る人がいて、絡まれたりしたら怖いな、と思う事があります。

自宅待機命令が発令されたアリゾナ州での人種差別について

トランプ大統領が、C O V I D−19のことをチャイニーズウイルスと呼ぶことによって、中国人に対しての偏見が増し、アジア人に対しての人種差別が増えてきていると報道されていますが、フェニックスではまだ、取り立てて大きな事件は起っていません。

古い話ですが2001年の911の時、アリゾナのテンピー市でアラブ人を恨んだ白人男性が、コンビニの店員を撃ち殺した事件がありました。しかもその時殺されたのは、アラブ人ではなくインド人でした。

色が浅黒く頭にターバンを巻いているという事で、アラブ人と間違えられ射殺されたインド人の事を考えると、今の所は大丈夫だとしても、この先この状態が何ヶ月も続くと、仕事もないお金も無いとなった時に、中国人を恨んだアメリカ人が理性を失って、銃で脅して強盗したり、東洋人をターゲットにした発砲事件が起こらないとは限りませんし、怖いなと思います。

自宅待機命令が発令されたアリゾナ州の今後の見通し

今やお店やレストランだけではなく、アメリカ経済が広範囲でシャットダウンしているため、経済活動が回復するのは一体いつになるのか予想もつきません。

休業を余儀なくされた企業は、社員が少しでも収入を得られるよう、一時解雇をして、失業保険の申請をするように促しています。そしてそんなコロナウイルスの影響で、仕事を失うかもしれない人が推定3700万人もいます。

C O V I D−19が原因で、仕事を失ったすべてのアメリカ人は失業保険の受給対象になり、再就職の努力をしなくても最長4ヶ月の給付が受けられるそうです。しかし企業に対しての財政支援は実施していないので、コロナウイルスがおさまっても、一体どれくらいの閉鎖を余儀なくされた事業主が事業を再開し、一体何人の人達が元の仕事に戻れるのか、現段階では全く予想もつきません。

まとめ

アメリカだけではなく、コロナウイルスのお陰で、今後の生活に大きな影響の出る人が世界中にたくさんいると思います。

日本でも自粛がとても長く続いて、ストレスが溜まっている人、今後の生活を考え途方に暮れている人、病院やスーパーに勤めていて、休みたくても仕事を休めず、感染の恐怖と闘っている人など、たくさんいると思います。

今が一番辛い時、そしてこの状態がいつまで続くかわかりませんが、将来誰かと、あの時は大変だったね、といつか笑って話せる日が来ることを、今は切に祈っています。

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本記事は、2020年4月9日時点調査または公開された情報です。
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