新型コロナウイルスはアメリカ人の生活を変えたのか?

新型コロナウイルスの流行によって、私たちの生活は一変しました。学校は多くが休校になり、自粛要請によって臨時休業する店が増え、多くのイベントが中止になりました。各家庭の経済的な不安も大きいと思います。

アメリカでは、人々の暮らしは変化したのでしょうか?本記事では、新型コロナウイルスによって、アメリカ人の生活がどのように変化したのかをまとめました。

はじめに

感染拡大による被害が衰える気配がない新型コロナウイルスですが、比較的感染の始まりが遅かったとされているアメリカが世界で最も死亡者数が多い国になろうとしています。経済、軍力、安全性など世界で最も優れた国と言われるアメリカですが、このままでは足元をすくわれかねません。

アメリカ人にとって大きな脅威である新型コロナウイルスは、アメリカ人の一般生活はもちろん、考え方にも影響を与えているようです。そこで今回は、アメリカで生活する筆者が感じた「アメリカ人の変化」について個人的な体験談をもとにご紹介したいと思います。

公務員志望の方は教科書やテレビでは伝わらない「リアルなアメリカ」を知るためにぜひ参考にしてみて下さい。

1,600万人のアメリカ人が失業

アメリカでは新型コロナウイルス感染拡大に関連する大きな問題とされているのが経済への影響です。とりわけ、失業者の増加は大きな問題です。事実、国家非常事態宣言が発令された3月中旬からわずか3週間(4月4日時点)で1,600万件の失業保険給付の申請がありました。

コロナ問題の前までは3.5%前後で推移していたアメリカの失業率ですが、このままだと10%を超える可能性もあるとされています。11月に大統領選を控えているトランプ政権にとってはマイナス要因になることは確実です。

一方で、2.3兆ドル(約250兆円)規模の緊急資金供給策が既に決定しており、個人に対する支援がおこなわれるため1ヶ月程度の生活は補償されます。そのせいか、いまのところ経済的な危機感はさほど感じられません。感染拡大が長引くと失業者が再就職できない状況が続くため、アメリカ経済は夏以降に再び落ち込む可能性が指摘されています。

ナルシスト化

多くのアメリカ人は「自衛」のために余念がありません。自衛のためなら多少の労力や他人の犠牲は問わないと言った印象です。一番分かりやすい例は「買い占め」です。トイレットペーパーやマスク、使い捨て手袋、消毒剤、缶詰食品、保存食、ペットボトルの水などは本当に1日でなくなりました。

この結果、買い物に行けなかったお年寄りや、日中は働いている人たちが買い物難民になってしまったのです。アメリカでも本当に必要としている人に必要な物が届かないということが問題になりました。

日本でも知られているCostcoには朝5時から大行列が出来ており、開店して30分以内にこれらの商品は売り切れてしまうほどでした。さすがに店員さんも自己中心的だと呆れていましたが、実はCostcoで働いている従業員は開店前に好きな物を自由に買える福利厚生制度があるので、結局は自分たちは何も関係ないそうです。

そんな事態に対応するべく、Whole Foods Marketなどの大手スーパーがお年寄りや病気がちな人だけが買い物出来るように開店時間を1時間繰り上げて、お年寄り専用時間を作るなどして対応しました。わずか1時間だけですが、混雑もせず在庫もある状態で買い物が出来るため素晴らしい制度だと思います。

日本人から見るとアメリカ人の「自衛」や「自分だけ」という考え方は日本人よりも一層強いと感じます。とくに若年層にその傾向が強く、むしろお年寄りは譲り合いや分け合う傾向があります。

実際に、スーパーで卵やヨーグルトなどがなく立ち尽くしている時に、通りがかりのお年寄りから声をかけてもらい、手にしていた物を譲ってもらうことがありました。また、どのお店に行けば手に入るといった情報も教えてくれる人もいました。

アメリカでは自己中心的な人を皮肉で「Me, Me, Meな人」と表現することがありますが、新型コロナウイルス問題でこのような人が若年層を中心にして多いことを再確認しました。これから先のアメリカでは「Narcist(ナルシスト)」という言葉を頻繁に耳にするようになるかもしれません。

アメリカ人がついにマスクをするようになった

アメリカではマスクをすると深刻な病気を持っていると判断されて凄く冷たい目を向けられます。日本のように風邪気味であることや花粉症を理由にマスクをすることは相当な勇気を伴います。しかし、新型コロナウイルスによってこの価値観が一変しました。

いまではマスクをしない方が冷たい目を向けられるようになったのです。実際に、スーパーに買い物に行った際、マスクをしていなかった私は酷い扱いでした。まず、恐ろしいほど冷たい目で睨まれる、露骨に避けられる、普段なら笑顔の店員も冷たいなど散々です。

短時間の買い物だったことを理由に口元を覆わなかった私が悪いのですが、アメリカ人たちの手の平を返したような対応に思わず驚いてしまいました。他国で主流の文化がアメリカで定着するかは分かりませんが、今後は新型コロナウイルスをきっかにしてアメリカ人もマスクをする習慣が根付くかもしれません。

フレンドリーではなくなった

アメリカではトランプ大統領の強い呼びかけもあり「Social Distancing」が浸透しています。他人との間隔を6feet(約2m)空けようというもので、スーパーのレジなどで徹底されています。これにより感染リスクを抑えられることは良いのですが、通常時のような「他人との会話」がほとんどなくなってしまいました。

アメリカではレジ待ちの時に他人と会話をすることが当たり前ですが、ソーシャルディスタンスによって会話しようにも出来なくなったのです。また、会話を通じて感染する恐れもあることから普段なら明るいアメリカ人もすっかりおとなしくなってしまいました。

実はこのことが問題視されており、家族がいないお年寄りや、一人で生活をしている人たちが社会との接点を失って精神的に辛い思いをすることになると考えられています。この問題に対応するためにオンラインではありますが、精神的に孤立しないように独り身の人たちをサポートする窓口がたくさん立ち上がっています。

普段はフレンドリーで明るいアメリカ人が新型コロナウイルスをきっかけにして、フレンドリーさを失ってしまわないか心配です。

挨拶のスタイルが激変

アメリカでは挨拶の際に握手をしたりハグをしたりすることが一般的ですが、コロナ問題が始まって以降は周囲でやっている人を見る機会もなくなりました。私自身も一切やらなくなりました。(たまに肘と肘を合わせる人がいる)

当然ながら感染を防ぐためには良い習慣なのですが、どんなに仲が良くても別れ際にハグもしないなんてアメリカ人らしくありません。フレンドリーさがなくなって、挨拶も気軽に出来なくなったアメリカ人を見ていると少し寂しい気持ちになります。

エクササイズは大人気

外出禁止令が出ていてもSocial Distancingを守りながらの適度な運動は許されています。部屋にいることでストレスを感じるアメリカ人は多く、1日を通して外でエクササイズをしている人を見かける量が増えました。

私がいるアリゾナ州ではランニングとサイクリングが人気で、サイクリング需要が急激に増えています。この結果、街中の自転車屋さんで自転車が飛ぶように売れていて、それに関連した修理依頼も増えたそうです。

中国で感染が流行していた時には、中国の工場で生産していた自転車のパーツが流通しなくなってしまい売上が減少してしまいましたが、いまではエクササイズ特需で売上が伸びているようです。街のどこにでもあるジムも閉鎖されているので、思わぬ特需に湧いています。

ひよこが大ブーム

アメリカでは株価が大幅に下落するような不景気や、大統領選の年になぜか「ひよこ」が爆発的に売れる現象が起こります。今回のコロナウイルス問題でもやはり「ひよこ」が売れて、アメリカ中で品薄状態になっています。

ひよこが売れる理由は明確になっていませんが、社会情勢を不安に思う人たちが癒しを求めて買っていることや、将来的な食料として確保するなどの見方があります。トイレットペーパーさながらに「ひとり6羽まで」といった数量制限が設けられるほどに加熱しています。

ペットの里親が見つからない

コロナウイルスの感染が拡大するに連れて、アニマルケアセンターの動物の引き取り手(里親)が見つからない事態が起きています。アメリカでは犬や猫などの動物を引き取って飼うことが一般的ですが、現在はその引き取り手がほとんど現れない事態になっており、シェルターは動物でパンク状態になっています。

そもそも外出が出来ないことや、動物の食事が確保できない、ペットに何かが起きても対応できないことなどが理由で引き取りを控えているとされています。アニマルケアセンターでは嘆願書の提出や寄付、里親の急募などを通じて、非常時でも動物の命を守る運動を続けています。

差別意識がなくならない

トランプ大統領は新型コロナウイルスのことを「Chinese Virus」と呼んだことから少なからず中国に対して良い印象を持たないアメリカ人がいることは事実です。残念ながらアメリカの一部では中国人差別が起きており、それが派生してアジア人差別にも繋がっています。(アメリカ人は中国人と他のアジア人を区別できない)

とくに都市部の中国系レストランは利用者が激減し、経済的な損失も受けています。多民族が集まるアメリカだけに、どの時代でも差別意識が根強く残っていることが表面化してしまいました。

暴動やデモに備える

アメリカでは新型コロナウイルスの感染が確認されてから間もなく、銃や銃弾の売れ行きが急上昇しています。インターネット上で弾薬を販売するサイトのアクセス数は2月と3月で比較した場合、80%以上もアクセスが上昇し、ミシガン州では3月時点で売上が前月比566%増になったほどです。

トイレットペーパーをはじめとする生活用品を巡る暴動や、失業者や強制的に解雇された人たちによるデモに備える人たちが多く、アジア人差別から身を守るために普段は銃とは無縁のアジア系の人が購入するなど、普段では起こり得ないようなことも起きています。

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大によってアメリカ人の4人に1人が外出を禁止されている状態のなか、アメリカ人にもご紹介したような影響や変化が少しずつ生じてきているようです。ポジティブな変化よりもネガティブな変化の方が多く、様々な制限によって精神のバランスを崩す心配もされています。影響は多岐に渡るため、一日も早くアメリカに日常が戻ることを願ってやみません。

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本記事は、2020年4月16日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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