地方自治体特集「中核市」シリーズ

中核市シリーズ第47回「呉市」について(2020年8月情報)

地方自治体特集「中核市」シリーズ、第47回は「呉市」です。

広島県にある「呉市」の人口は2020年4月1日現在で約21万人と、群馬県太田市に次いで国内96番目です。そんな「呉市」とはどんな都市なのか解説します。


※本記事は、2020年8月調査の内容です(今後更新予定です)。

「呉市」について

「呉市」は、広島県の南西部に位置し、瀬戸内海に面した陸地部と倉橋島や安芸灘諸島などの島で構成される臨海都市です。

この「呉市」は、海軍の拡張とともに都市を形成してきたため、終戦によって存立基盤を失いましたが、旧軍用財産の活用を図ることで造船や鉄鋼等の重工業や精密加工機械製造等が発展し、「ものづくりのまち」として全国的に有名になりました。

最近は、阿賀マリノポリス地区埋立地や苗代工業団地等、産業拠点の創出にも力を入れ、瀬戸内海有数の工業都市として広島県の製造業の発展をけん引しています。

さらに、海軍と歩んだ歴史や、産業技術と戦艦「大和」のふるさとであることを国の内外に発信することで観光振興にも力を入れ、2005年には呉の歴史とその近代化の礎となった科学技術を紹介する「呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)」が開館されました。

これによって、「呉市」は、年間300万人以上が訪れる観光都市に成長し、「呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)」は、開館して11年の間に来館者数1,100万人を達成し、「呉市」の観光の核となっています。

そんな「呉市」は、2016年には文化庁に「鎮守府・横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~」の日本遺産として認定されました。

「呉市」の気候は、温暖な瀬戸内海式気候で、夏は短く、暖かく、蒸し暑く、湿度が高く、ほぼ曇りで、冬は非常に寒く、ほぼ晴天で、広島市と比べて雪が少なく積雪することは滅多にありません。

>呉市のホームページ
https://www.city.kure.lg.jp/

「呉市」の成り立ち

「呉市」の成り立ちは、1686年(貞享3年)に安芸郡宮原村の呉浦を呉町と呼ばれるようになったことにさかのぼります。

その後、1886年(明治19年)に第2海軍区鎮守府の位置を安芸郡呉港に設定、1889年広島県に市町村制が施行、安芸郡和庄村、宮原村、荘山田村、吉浦村が成立、1889年に呉鎮守府開庁、1892年に安芸郡和庄村が町制施行し安芸郡和庄町になりました。


1902年に安芸郡吉浦村から安芸郡二川町が分立、1902年安芸郡和庄町、宮原村、荘山田村、二川町が対等合併し安芸郡呉町となり、即日市制施行し呉市になりました。

1928年(昭和3年)に安芸郡警固屋町、吉浦町、賀茂郡阿賀町が編入、1941年に賀茂郡仁方町、広村が編入、1956年に安芸郡天応町、昭和村、賀茂郡郷原村が編入、
2000年(平成12年)に特例市に昇格しました。

2003年に安芸郡下蒲刈町が編入、2004年に豊田郡川尻町が編入、2005年に安芸郡音戸町・倉橋町・蒲刈町、豊田郡安浦町・豊浜町・豊町が編入、2016年に中核市に昇格しました。

呉市長「新原 芳明」(しんはら よしあけ)さんはどんな人?

2017年11月から呉市長を務める「新原 芳明」さんは、1950年3月27日に広島県呉市に生まれ、1972年(昭和47年)に東京大学法学部を卒業、大蔵省に入省しました。

その後、伊勢税務署長、外務省在ベルギー日本国大使館一等書記官、大蔵省主計局運輸係主査、広島国税局直税部長、在フランス日本国大使館参事官、大蔵省証券局企業財務課長などを歴任し、1995年(平成7年)に富山県副知事に就任しました。

金融企画局兼東京証券取引所監理官、総理府PFI推進室長、総務省大臣官房審議官、証券取引等監視委員会事務局長、社団法人信託協会専務理事などを歴任し、2008年(平成20年)に独立行政法人造幣局の理事長に就任した後、2015年同職を退任、
2017年に呉市長選挙に出馬し、市長に就任しました。

座右の銘は、「君子は和して同せず、小人は同じて和せず」だそうです。

>呉市長公式ホームページ
http://shinharayoshiake.net/

「呉市」の行政プラン

「呉市」は、少子高齢化に伴い、住生活環境などを通じて若年層の市内定着や出生数の増加を図り、活力あるまちづくりを推進するため、「呉市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しました。

この戦略は、呉市の特性を活かした地方創生を目指し、4つの柱を掲げました。

1)働きやすさの向上(しごとづくり)
2)育てやすさの向上(ひとづくり)
3)暮らしやすさの向上(まちづくり)
4)地方創生の実現に向けて

働きやすさの向上(しごとづくり)

「呉市」は、「働きやすさの向上(しごとづくり)」において、呉市の産業や消費を支える若い世代の定着等の活性化を図るため、3つの実施方針と、その実施細目を推進しています。

1) 産業の競争力強化
・農水産品のブランド力向上
・ものづくり技術の高度化促進
・サービス産業の魅力向上
・6次産業化の推進

2)人材の発掘・育成
・新規農業・漁業就業者の支援
・ものづくり人材の育成
・サービス産業人材の育成

3)情報発信の強化
・呉らしさの発信


育てやすさの向上(ひとづくり)

「呉市」は、「育てやすさの向上(ひとづくり)」において、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえ、子育て・子育ちしやすい環境作りを目指して下記の3つの実施方針と、その実施細目を推進しています。

1)切れ目のない支援
・結婚の応援
・妊娠・出産サポートの充実
・子どもの健やかな育ちの応援
・子育て世代包括支援センターの整備

2)子育て支援
・子育て家庭の応援

3)教育環境の充実
・小中学校教育の充実
・高等学校教育の充実

暮らしやすさの向上(まちづくり)

「呉市」は、暮らしやすさの向上(まちづくり)において、呉市の特色を幅広く情報発信することによって魅力的な住環境を創出するため、下記の3つの実施方針と、その実施細目を推進しています。

1)総合的な定住サポート
・定住・移住サポート機能の強化

2)定住・移住促進
・定住・移住支援
・空き家の利活用促進

(3)生活環境の充実
・健康寿命の延伸
・地域生活拠点の機能充実

地方創生に向けて

「呉市」は、地方創生に向けて、下記の3つの実施方針を推進しています。

1)地域との連携の推進(地域の拠点の形成推進)
2)大学・医療機関・企業・金融機関との連携の推進
3)都市間連携の推進

▼参考URL:呉市|呉市まち・ひと・しごと創生総合戦略の概要
(https://www.city.kure.lg.jp/uploaded/attachment/16931.pdf)

まとめ

以上、地方自治体特集「中核市」シリーズ、第47回は広島県の「呉市」についてご紹介させていただきました。

本シリーズの他の都市は下記よりご覧いただけます。

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本記事は、2020年11月28日時点調査または公開された情報です。
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