地方自治体特集「中核市」シリーズ

中核市シリーズ第62回「一宮市」について(2021年4月情報)

地方自治体特集「中核市」シリーズ、第62回は「一宮市」です。

愛知県にある「一宮市」は人口は2021年4月1日現在で、約37万8千人と大阪府吹田市に次いで国内第27番目です。

そんな「一宮市」とはどんな都市なのか解説します。


※本記事は、2021年4月調査の内容です(今後更新予定です)。

「一宮市」について

「一宮市」は、木曽の清流と温和な気候、風土に恵まれた平坦地で、日本のほぼ中央に位置する愛知県の北西部にあり、名古屋市と岐阜市の中間に位置する市です。

ちなみに、「一宮市」という名前は、尾張国の一ノ宮である「真清田神社」があることに由来しています。

2006年まで、愛知県内に東三河地方に宝飯郡一宮町に「三河一宮」があったため、この地域と区別するために「尾張一宮」と呼ばれることもあり、面積は、113.82平方キロメートル、東西は約15.3キロメートル、南北は約13.3キロメートルです。

この「一宮市」は、織物の生産地として有名で、現在は尾州織物としてブランド化され、愛知県は毛織物の全国シェア60パーセントを占めるほどの紡績・繊維産業の一大中心地だったため、「女工の街」と呼ばれたこともあり、女性人口が多いことが特徴です。

人口は、愛知県内3位で、道路・鉄道の利便性が良いため、織物・紡績・繊維の工場跡が住宅・商業施設となり、名古屋市のベッドタウンとして発展しています。

平成17年4月1日に一宮市・尾西市・木曽川町が合併し、人口約37万人の新しい「一宮市」が誕生し、繊維産業を基盤として栄えてきました。

近年は、地場産生地「尾州」のブランド力の強化に加えて、企業誘致の推進により産業の複合化を図っています。

また、「一宮市」は、市内に高速道路の4つのインターチェンジと一宮ジャンクションがあり、東名・名神高速道路と太平洋側・日本海側をつなぐ東海北陸自動車道の結節点として重要な市でもあります。

そんな「一宮市」の産業は、織物産地としては平安時代にまでさかのぼり、江戸時代には享保年間から開かれれていた「三八市」で、一宮産の結城縞や、寛大寺縞などの縞木綿や絹織物が売買されていました。

明治以降には、毛織工業が発展し、繊維好況を受けて繊維関連の下請け業として繁栄しましたが、国外からの安価な輸入品の増大によって衰退しました。


しかし、現在も総合繊維産業都市として「ジャパン・テキスタイル・コンテスト」なども開かれ、2001年度の毛織物製造出荷額の全国シェアは約18.2パーセント、尾州ブランドは世界三大毛織物産地の1つとなっています。

さらに、「一宮市」は、ここ数十年来、繊維関連大規模工場の国内再編による再開発が進んでおり、1975年6月に東海レーヨン本社工場はユニー一宮店に、2004年4月に旧倉敷紡績木曽川工場がダイヤモンドシティ・キリオに生まれ変わりました。

農業は、冬の寒風「伊吹おろし」を利用した切り干し大根作りが有名で、市東部の千秋町ではネギや鶏卵の生産が盛んに行われており、テレビ番組でもテレビ愛知『とれたて!』や日本テレビ『どっちの料理ショー』などで紹介されたこともありあます。

この「一宮市」は、喫茶店のモーニングサービス発祥の地とされており、「一宮モーニング」の普及活動も行われています。

商業は、尾張一宮駅と名鉄一宮駅のある中心部に、古くからの商店街や百貨店があり、近年は、大型商業施設をはじめ、家電量販店などのロードサイド店舗も多く出店しています。

「一宮市」の気候は、夏は短く暑く蒸し暑く、ほぼ曇り、冬は非常に寒く、ほぼ晴れ、年間を通じて湿度が高いことが特徴で、1年を通して気温は0度から32度に変化しますが、マイナス3度未満または35度を超えることは滅多にありません。

「一宮市」の成り立ち

「一宮市」の成り立ちは、町制施行によって中島郡の一宮村と一色村が合併して一宮町となった1889年(明治22年)までさかのぼります。

その後、1921年(大正10年)9月1日に市制施行によって一宮市となり、1940年(昭和15年)に葉栗郡葉栗村・丹羽郡西成村が編入、1955年に丹羽郡丹陽村・葉栗郡浅井町・葉栗郡北方村・中島郡大和町・中島郡奥町・中島郡萩原町・中島郡今伊勢町・丹羽郡千秋村が編入されました。

2002年(平成14年)4月1日に特例市に移行され、2005年に尾西市・葉栗郡木曽川町が編入されました。

なお、「一宮市」は、2021年(令和3年)4月1日に中核市に移行されています。

一宮市長「中野 正康」(なかの まさやす)さんはどんな人?

2015年2月1日から一宮市長を務める「中野 正康」さんは、1967年(昭和42年)1月に生まれました。

経歴は、1990年(平成2年)に東京大学法学部を卒業、郵政省(現・総務省)に入省、1996年に新潟県村上郵便局長に就任、2002年にEU(欧州連合)外交官に就z任、2008年に早稲田大学非常勤講師に就任、2009年に総務省情報セキュリティ対策室長に就任しました。

2011年に株式会社博報堂に出向、2015年に一宮市長に就任、2018年に愛知県市長会会長に就任、東海市長会会長に就任、2019年に一宮市長(現在2期目)に就任しました。

趣味は、「音楽鑑賞」だそうです。

>一宮市長公式ホームページ
https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/mayor/1005549.html


「一宮市」の行政プラン

「一宮市」は、2021年(令和3年度)より2023年度までを計画期間とする「一宮市行政改革大綱」を策定しました。

これは、平成30年に策定した「一宮市財政改革対抗(第4期集中改革プラン)」などでも取り組んできた、人員や歳出削減を中心とする「量の改革」、人と予算の効率性を高めた上で質の高い市民サービスの提供を追求する「質の改革」という2つの改革の精神を引き継ぎ、更なに改革を推進することを目的としています。

そこで、「一宮市」は、以下の4つを基本方針として掲げました。

1)人に優しいデジタル化の推進
A.自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
B.市民サービスの向上
C.ICT推進の強化とジムの効率化
D.防災・災害時の情報提供

2)財政・市産の改革
A.中心市街地の公共施設・公有財産の活用検討
B.公共施設の有効活用
C.民間活力の導入

3)人材・組織の改革
A.人事制度と組織の見直し
B.職員の能力向上と人材の活用
C.組織の活性化
D.権限移譲による行政能力の強化

4)官民連携・コミュニティ力の強化
このように、「一宮市」は、地域住民、ボランティアおよび企業等と目標を共有し、お互いの役割を認識しながら信頼関係を築き協働することによって、よりよい地域づくりの実現をめざしています。

▼参考URL:https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/shisei/seisaku/1010052/1010561/1039144/1039145.html

まとめ

以上、地方自治体特集「中核市」シリーズ、第62回は愛知県の「一宮市」についてご紹介させていただきました。

本シリーズの他の都市は下記よりご覧いただけます。
 
地方自治体特集「中核市」シリーズ 記事一覧

本記事は、2021年6月14日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

気に入ったら是非フォローお願いします!
NO IMAGE

第一回 公務員川柳 2019

公務員総研が主催の、日本で働く「公務員」をテーマにした「川柳」を募集し、世に発信する企画です。

CTR IMG