「イラン・イスラム共和国」ってどんな国?
「イラン・イスラム共和国」の正式名称は、ペルシア語で「جمهوری اسلامی ایران(Jomhūrī-ye Eslāmī-ye Īrān)」であり、読み方は「ジョムフーリーイェ・エスラーミーイェ・イーラーン」です。
英語の正式名称は「Islamic Republic of Iran」で、通称「Iran」です。
日本語の正式名称は「イラン・イスラム共和国」ですが、通称の「イラン」を使用する事も多いです。なお、漢字による当て字は「伊蘭」です。
「イラン・イスラム共和国」の国名の由来は、イラン人たちが、昔から自分たちの国の名を「イラン」と呼んでいたところからきています。これは、「アーリア人の国」という意味です。しかし、西洋では古くからこの地を「ペルシア」と呼んでいました。
面積・場所について
「イラン・イスラム共和国」の国土の広さは、約165万平方キロメートルで、これは日本の約4.4倍程度の大きさです。
「イラン・イスラム共和国」の場所は、西アジア・中東にあります。国境が接しているのは、北が「アゼルバイジャン」「アルメニア」「トルクメニスタン」、東が「パキスタン」「アフガニスタン」、西が「トルコ」「イラク」です。北にはカスピ海もあります。また、ペルシア湾をはさんで「クウェート」「サウジアラビア」「バーレーン」「カタール」「アラブ首長国連邦」に面しています。
都市について
「イラン・イスラム共和国」の首都は「テヘラン」で、ペルシア語では「تهران」と表記します。
「テヘラン」は「イラン・イスラム共和国」最大の都市で、人口は約1,300万人、住民の多くはペルシア人です。
また「テヘラン」は、「イラン・イスラム共和国」の文化や宗教の中心地的な役割も担っています。
人口について
「イラン・イスラム共和国」の人口は、約8,000万人で、これは日本の人口の3分の2ほどの人数です。
成り立ちについて
紀元前3000年ころ、「イラン・イスラム共和国」の地にアーリア人が侵攻し、ペルシアが興りました。
紀元前5世紀ごろ、ペルシアは周辺諸国を征服し、ペルシア帝国を建国しました。
中世に入ると、ペルシアはアラブやモンゴル、トルコなどによって征服されました。
1925年、パフラヴィ朝が成立し、1935年には、正式に国の名称をペルシアから「イラン」へと変更しました。
1979年、ホメイニの指導のもとイラン・イスラーム革命が起こり、パフラヴィ朝が倒れました。そして、ホメイニ師はイスラム共和制を採用した「イラン・イスラーム共和国」を建国し、現体制になりました。
「イラン・イスラム共和国」の国民・宗教・言語について
国民について
「イラン・イスラム共和国」の国民は、ペルシャ人が約50%、アゼルバイジャン人が約25%、クルド人が約7%、アラブ人が約4%、その他少数のアルメニア人、グルジア人、ユダヤ人、アッシリア人、タリシュ人、タート人などが住んでいます。
宗教について
「イラン・イスラム共和国」の宗教は、ほとんどがイスラム教徒です。その内訳は、シーア派十二イマーム派が約90%、スンナ派が約9%です。
また、もともとペルシアの宗教で合ったゾロアスター教を信仰している人もいます。その他、キリスト教徒、ユダヤ教徒も少数存在します。
言語について
「イラン・イスラム共和国」の公用語はペルシャ語です。その他、トルコ語やクルド語等も使われています。
少数ですが、ロル語、ギラキ語、マーザンダラーン語、バローチー語、アラビア語、トルクメン語、ドマーリー語、ガシュガーイー語、タリシュ語などを話す人もいます。
「イラン・イスラム共和国」の経済状況について
「イラン・イスラム共和国」の通貨はリアルで、GDPは約4,300億ドル、世界第27位です。一人当たりのGDPは約5,300ドルで、世界で第29位です。
「イラン・イスラム共和国」の主要な産業は石油関連産業であり、原油埋蔵量と天然ガス埋蔵量は世界有数のレベルです。また、農畜産業も盛んであり、小規模ながら商業やサービス業も行われています。
農業については国家による投資を行い、生産自由化によって農業活動は活発になりました。ナツメヤシやピスタチオ、花卉などを生産し、輸出しています。
また、「イラン・イスラム共和国」はバイオテクノロジーや医薬品製造にも重点を置いており、こういった経済の多角化によって、「イラン・イスラム共和国」政府は、石油に依存する経済構造からの打開を目指しています。
貿易について
「イラン・イスラム共和国」の主要な貿易相手国は、輸出が「中国、アラブ首長国連邦、イラク、トルコ、韓国」で、輸入が「中国、アラブ首長国連邦、韓国、トルコ、ドイツ」です。
イラン税関統計等によると、主な貿易品目は、輸出が原油、天然ガス、液化プロパン、その他石油・ガス製品で、輸入は、精米、大豆油かす、飼料用トウモロコシ、小麦、乗用自動車です。
総貿易額は、輸出が約460億ドル、輸入が約640億ドルであり、輸入額が輸出額を上回っています。
「イラン・イスラム共和国」の政治・政策について
政治体制について
「イラン・イスラム共和国」は立憲イスラーム共和制です。評議会的な組織が複数あり、これらの評議会は、選挙で選出される議員によって構成される民主主義的なもの、宗教的立場によって選出されるものなどがあります。
「イラン・イスラム共和国」の国家元首は、最高指導者と呼ばれます。また、行政府の長として、大統領職も存在します。
「イラン・イスラム共和国」の議会は一院制で、定数は290議席、任期は4年です。
「イラン・イスラム共和国」」の最高指導者・大統領・首相について
最高指導者について
「イラン・イスラム共和国」では、国家元首は最高指導者です。
この最高指導者は、行政・司法・立法の三権の上に立ち、軍の最高司令官であり、「イラン・イスラム共和国」の諜報機関および治安機関を統轄し、国で唯一宣戦布告の権限を持つなど、様々な権限が与えられています。
単独の最高指導者がいないときは、合議体という複数の宗教指導者によって構成された組織が、最高指導者の役割を果たします。
「イラン・イスラム共和国」の現在の最高指導者は、セイエド・アリー・ハメネイ師で、任期はなく、終身制です。
大統領について
「イラン・イスラム共和国」の大統領は、行政府の長として、憲法に従って政治・政策を執り行います。国民による直接普通選挙によって選出され、任期は4年です。連続で2期まで務めることが出来ます。
「イラン・イスラム共和国」の現在の大統領は、ハッサン・ローハニ氏です。
首相について
「イラン・イスラム共和国」の首相職は、1989年の憲法改正によって廃止され、現在その役職はありません。
「イラン・イスラム共和国」の国防制度・軍事制度・兵役について
「イラン・イスラム共和国」の軍は、陸軍、海軍、空軍の3軍種を擁しており、これら国軍とは別に、イスラム革命防衛隊と治安維持軍いう準軍事組織を有しています。
兵士数は国軍と準軍事組織を合わせて約52万人で、軍事予算は約160億ドルです。
「イラン・イスラム共和国」の兵役は、徴兵制です。18歳の男性に対して課せられ、その期間は1年半です。大学へ進学する場合のみ、入隊を延期する事が出来ます。
「イラン・イスラム共和国」」と「日本」の関係について
「イラン・イスラム共和国」」と「日本」は、1929年に国交関係を樹立しました。この年、「イラン・イスラム共和国」に日本公使館が開設され、1930年に、「日本」にイラン公使館が開設されました。1942年、一度国交が断交しましたが、1953年に再開されました。1955年、お互いの公使館が、大使館に昇格しました。
2009年には、日・イラン外交関係開設80周年を記念した文化行事などが開催されました。
2011年の東日本大震災では、当時の「イラン・イスラム共和国」大統領からのお見舞いメッセージが送られ、要人たちが在イラン日本国大使館に、弔問記帳に訪れました。
経済面では対日貿易が盛んで、文化面でも、多くのイベントを通して両国は良好な交友関係を維持しています。
「日本」から「イラン・イスラム共和国」へは、無償資金協力や技術協力などの援助も、盛んに行われています。
なお、「イラン・イスラム共和国」に住む日本人は約680人で、「日本」にすむイラン人は約4,000人です。
まとめ
「イラン・イスラム共和国」は、ペルシア帝国の歴史を受け継ぎつつ、独自のイスラム文化を形成してきた国で、ペルシャ絨毯に代表される装飾工芸品などが有名です。
しかしその反面、「イラン・イスラム共和国」はウラン濃縮活動再開などの、核問題も抱えています。同国は、これらの活動は核兵器開発ではなく、核エネルギーの生産を目指すものとしていますが、国際社会からは厳しい目が向けられています。
なお、男子サッカーの「イラン・イスラム共和国」のFIFAランキングは、2018年12月では「第29位」です。
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