「ウクライナ」ってどんな国?
「ウクライナ」の正式名称は、ウクライナ語で「Україна」で、英語での表記は「Ukraine(ユークレイン)」です。
日本語での正式名称は「ウクライナ」で、漢字による当て字は「宇克蘭」、または「烏克蘭」と表記します。
「ウクライナ」の国名の由来は2説あり、1つは中世ルーシ語で「国」を意味する「ヴクライナ」からきているという説、もう一つは近世のポーランド語で「辺境」を意味する「オクライナ」からきているという説です。
面積・場所について
「ウクライナ」の国土の広さは、約60万4,000平方キロメートルで、これは日本の約1.6倍の大きさです。
「ウクライナ」の場所は、東ヨーロッパにあり、国境が接しているのは、東が「ロシア連邦」、西が「ハンガリー・ポーランド・スロバキア・ルーマニア・モルドバ」、北が「ベラルーシ」であり、南は黒海に面しています。黒海を隔てた対面には「トルコ」があります。
都市について
「ウクライナ」の首都は「キエフ」で、その位置はドニプロ川の中流辺りにあります。「ウクライナ」最大の都市であり、東ヨーロッパ有数の世界都市でもあります。政治や経済、文化の中心地としての役割を果たしています。
「キエフ」という市名の由来は、「キエフ」を創建したといわれている伝説上の公爵キーイからきています。
人口について
「ウクライナ」の人口は約4,250万人で、これは日本の人口の3分の1程度に相当します。
成り立ちについて
「ウクライナ」の地には、紀元前10世紀頃から多くの遊牧民族が生活していました。
8世紀になると、この地に「ルーシ」という国が誕生し、東スラヴ人であるポリャーネ族が住んでいた町キエフが、「ルーシ」の首都になりました。
1240年、モンゴル帝国軍が「ルーシ」に侵攻してこれを滅ぼし、首都キエフを攻略しました。
14世紀末、「ウクライナ」の地域は他国の支配を受けるようになります。「リトアニア」がキエフ地方を中心とする北部・中部を、「ポーランド」がハーリチ地方とポジーリャ地方からなる西部を、「クリミア汗国」が南部を、「モスクワ大公国」が東部を、それぞれに統治しました。
1648年、この地に軍事的共同体であるコサックが誕生し、コサックは「ポーランド」からの独立戦争を起こし、「ウクライナ」の中部に「コサック王国」を建国しました。
1764年、「ウクライナ」は「ロシア」からの独立を目指して独立戦争を起こしますが、「ウクライナ」は敗れました。
第一次世界大戦でロシア政府が崩壊すると、1917年、この地の人々は「ウクライナ人民共和国」を樹立し、その翌年には独立を果たしました。
1917年~1921年、この地の支配をめぐり、ウクライナ・ソビエト戦争が起こり、「ソビエト」が勝利、1922年に「ウクライナ・ソビエト社会主義共和国」が成立しました。
1941年、独ソ戦が始まり、一旦は「ソビエト」に変わり、「ドイツ」が「ウクライナ」を占領しましたが、独ソ戦が「ソビエト」の勝利に終わると、「ウクライナ」は再び「ソビエト」に占領されます。
1991年、「ソビエト」が崩壊すると、「ウクライナ」は国家として独立し、現在の形になりました。
「ウクライナ」の国民・宗教・言語について
国民について
「ウクライナ」の国民は、約80%がウクライナ人です。その他、ロシア人が約20%、ベラルーシ人が約1%、そしてごく少数のモルドバ人、クリミア・タタール人、ユダヤ人が生活しています。
宗教について
「ウクライナ」の宗教は、ウクライナ正教及び東方カトリック教です。その他、ローマ・カトリック教、イスラム教、ユダヤ教などを信仰している人々もいます。
言語について
「ウクライナ」の公用語はウクライナ語ですが、ロシア語を話す人も多いです。
2001年ウクライナ国勢調査によると、国民の約70%がウクライナ語を使用し、約30%がロシア語を日常的に使っています。なお、「ウクライナ」の東部・南部と、首都キエフ市では、ロシア語を話す人の割合が比較的高くなっています。
「ウクライナ」の経済状況について
「ウクライナ」の通貨はフリヴニャで、GDPは約1,100億ドル、世界第61位です。一人当たりのGDPは約2,700ドル、世界では第132位で、これは世界平均の約40%程度の水準であり、「ウクライナ」は欧州の中でも貧困国の1つです。
「ウクライナ」の主要な産業は鉱工業、農林水産業、建設業、サービス業です。
「ウクライナ」は「ソビエト」からの独立後、市場経済化によって混乱が生じ、1990年代はハイパー・インフレーション状態でした。経済改革によって、2000年代には経済成長率はプラスに転じましたが、鉄鋼需要の低下、世界経済・金融危機の影響によって、「ウクライナ」の財政状況は再び悪化しました。
2014年に入ると経済状況の悪化は深刻になり、2015年、「ウクライナ」は新経済プログラムに着手して、経済状況の回復を図ってきました。今後も、財政、税制、年金、エネルギー、公共サービスなど、多岐に渡る分野における改革によって、さらなる経済回復を目指しています。
貿易について
「ウクライナ」の主要な貿易相手国は、輸出が「ロシア、ポーランド、トルコ」で、輸入が「ロシア、中国、ドイツ」です。
ウクライナ国家統計局によると、2017年の主な貿易品目は、輸出が鉄・鉄鋼、穀物、油脂、鉱石で、輸入は、鉱物性燃料、機械、電子機器、自動車等輸送機器です。
総貿易額は、輸出が約433億ドル、輸入が約500億ドルであり、輸入額の方が少し多くなっています。
「ウクライナ」の政治・政策について
政治体制について
「ウクライナ」は共和制国家であり、国家元首は大統領ですが、政治体制は「半大統領制」を採用しています。
「半大統領制」とは、議院内閣制でありながら、より大きな権限を大統領に与えている政治体制のことです。
「ウクライナ」の議会は一院制であり、定数は450名、任期は5年です。議席は全て、全国区の比例代表制によって選出されます。議会は立法、首相の承認・罷免、閣僚の承認・罷免などを行います。
「ウクライナ」の大統領・首相について
大統領について
「ウクライナ」の大統領は、国家元首であり、任期は5年、国民投票によって選出されます。連続で2期まで務めることが出来ます。
大統領の権限の中に、首相・政府閣僚の任命権がありますが、これには議会の承認を得る必要があります。
現在の「ウクライナ」の大統領はペトロ・ポロシェンコ氏です。
首相について
「ウクライナ」の首相は行政府の長であり、大統領によって指名され、会議の過半数の同意に基づいて任命されます。
現在の「ウクライナ」の首相は、ヴォロディミル・フロイスマン氏です。
「ウクライナ」の国防制度・軍事制度・兵役について
「ウクライナ」の軍は、国防省管轄の陸軍・海軍・空軍・特殊作戦部隊の4軍種と、内務省管轄の国家警護隊、国境警備庁管轄の国境警備隊といった準軍事組織を擁しています。
兵士数は陸・海・空軍、特殊作戦部隊が合わせて約20万人、準軍事的組織で約11万人です。
「ウクライナ」は、東部情勢が悪化して以来、定期的な一時的動員を実施、徴兵制を復活させ、国防強化に力を入れています。
「ウクライナ」と「日本」の関係について
「ウクライナ」と「日本」は、1992年に外交関係を樹立し、1993年に「ウクライナ」に日本大使館を、1994年に「日本」にウクライナ大使館を、それぞれ開館しました。
「日本」の対ウクライナ貿易は、輸出が約500億円、輸入が約700億円です。2017年の時点で、38社の日本企業が「ウクライナ」で事業を展開しています。
「日本」は「ウクライナ」に多額の資金援助を行っており、有償資金協力が1,700億円、無償資金協力が約100億円、金融支援が約580億円、チェルノブイリ・核不拡散関連支援が約220億円、技術協力が約65億円です。
両国の文化交流も盛んです。京都市とキエフ市、横浜市とオデッサ市はそれぞれに姉妹都市であり、様々な交流が行われています。
2016年の時点で「ウクライナ」に住む日本人は約220名、「日本」に住むウクライナ人は約1,900名です。
まとめ
「ウクライナ」は、チェルノブイリ原発事故を経験し、2011年に起こった福島第一原発事故に対しても深く哀悼の意を表明するなど、「日本」との関係が深い国です。
「ウクライナ」は美男美女が多いと名高く、その理由は、人間はそもそも混血だと美人に生まれてくる可能性が高いからだという説があります。「ウクライナ」は歴史的に、複数の民族の血が混ざっている混血の種族が多く住むので、美男美女が多い傾向にあるそうです。
なお、男子サッカーの「ウクライナ」のFIFAランキングは、2018年12月では「28位」です。
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