イギリスの社会状況2022

イギリスのコロナ規制撤廃のその後(2022年6月情報)

イギリス在住の日本人による、イギリスや日本に関する記事レポートです。今回は「コロナ規制が撤廃されてからのイギリスの情勢」についてまとめました。


はじめに

日本でも6月2日~5日にかけてロンドンで行われていたエリザベス女王在位70周年の式典「Platinum Jubilee」の放映を目にした人も多いのではないでしょうか。数万人もの人がマスク無しで一堂に会して祝福する風景はコロナ禍が始まって以来の大イベントになりました。コロナ規制を撤廃してからのイギリスの情勢をお伝えします。

コロナ規制の撤廃

イギリスは2022年3月18日からすべてのコロナ規制を撤廃しました。海外から入国する外国人に対しても、一切の規制が取り外されました。コロナ陰性証明者の提示や、追跡情報提供のアプリ加入も不要になり、自由にイギリスに出入国することが出来ることが可能となりました。その反面、コロナ陽性者であっても、強制的に隔離を要請することも出来なくなったことで、一歩外に出たら、自分の身は自分で守ることが基本となったのです。

とにかくマスクを嫌うイギリス人の中で、マスクをつけて町中を歩くのは、重病化するリスクの高い高齢者か、マスクに対して拒否反応の薄いアジア人くらいです。

コロナ陽性者の減少

2021年の年末から2022年の新年にかけては、1日1万人程度の陽性者を記録していましたが、陽性者数は徐々に低下して行きました。規定撤廃前後の3月は年明けの減少から陽性者数が再度上昇に転じ、第2波の到来となったため、規制撤回の実行が危惧されましたが、有言実行されたことで国民は大いに喜びました。

当時、ボリス・ジョンソン首相が規制に違反し、自らパーティーを開催していたことが表面化し、国民の反感は高まる一方でした。そのため、陽性者数が上昇している時期でしたが、国民の怒りを抑えるために、規制廃止を遅延するわけにはいかなかったのかもしれません。しかしながら、廃止後は上昇することなく陽性者数は着実に低下して行ったことは安心材料となりました。

それに伴い、国民感情も平穏化したのか、2022年6月6日に行われたイギリス統一地方選の結果では、ボリス・ジョンソン首相が率いる与党・保守党が勝利し、首相の地位を維持することになったのです。

ワクチン接種率

12歳以上の人口に対するワクチン接種率は以下の通りです。

第1回目の接種率:93%
第2回目の接種率:86.9%
第3回目の接種率:68.3%

※但し摂取可能年齢5歳から15歳までの子供に対し、特別な疾患がない限り、イギリスでは3回摂取を認めていません。

第4回目の接種が行われていますが、摂取可能な人は、75歳以上、12歳以上で疾患がある者、老人介護にあたっている成人と限定されています。

イギリスではNHS番号(保険番号)によって健康データが管理されており、番号を告げるだけで各地に予約なしでワクチン接種ができる場所が常設されているため、接種が困難という状況は全くありません。


原因不明の幼児急性肝炎

2022年1月から原因不明の幼児肝炎がイギリスから報告され出しました。その原因がコロナと因果関係があるかどうかは未だに不明です。全体の15%の子供がコロナ陽性の反応を示したことが明らかにされました。

イギリスでは5歳未満の子供がコロナワクチンを接種することが出来ません。そのため、今回の症例では5歳未満の子供も多く報告されているため、ワクチンとの因果関係は薄いとされています。

その後ヨーロッパ、アメリカ各国に広がりをみせているため、各国と連携をとり原因解明の追求をするため協力しています。幼児がいる家庭では症状の黄疸、下痢、嘔吐、倦怠感、発熱などの症状が見られた場合はすぐに医療機関に連絡するように注意喚起を呼びかけています。

2022年5月25日現在、222人の感染が報告されていますが、幸いにも死亡報告例は1例もありません。イギリス全土の感染状況は下記のとおりです。

イングランド:158例
スコットランド:31例
ウェールズ:17例
北アイルランド:16例

第二のコロナを懸念される「サル痘」

2022年6月8日から「サル痘」は指定感染病として感染者数を届け出ることが義務付けられるようになりました。2022年6月5日現在でのイギリス全土での感染者数は302例で、その内訳は下記のとおりです。

イングランド:287例
スコットランド:10例
ウェールズ:2例
北アイルランド:3例

過去3週間にサル痘に感染した人と密接な接触があった場合や、西および中央アフリカから帰国3週間以内の人には注意喚起を行っています。

まとめ

イギリスではコロナ規制撤廃以来、国民の間ではコロナはすっかり過去のものになりつつあります。全く陽性者がいないわけではありませんが、コロナに対する恐怖心は失われつつあります。マスクを長期間つけていることに対する抵抗力の低下をマイナス作用と認識する人も多く、今では重病化リスクが高いお年寄り以外はマスクを着けている人を見かけることもありません。

参考資料サイト

England Summary | Coronavirus (COVID-19) in the UK (data.gov.uk)

Increase in hepatitis (liver inflammation) cases in children under investigation – GOV.UK (www.gov.uk)

National flu and COVID-19 surveillance reports published – GOV.UK (www.gov.uk)

Covid booster: Who can get the fourth jab and how do you book it? – BBC News

Monkeypox cases confirmed in England – latest updates – GOV.UK (www.gov.uk)

Boris Johnson no-confidence vote: prime minister wins by 211 to 148 but 40% of Tory MPs fail to back him – as it happened | Politics | The Guardian


本記事は、2022年10月12日時点調査または公開された情報です。
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