わかる政治経済シリーズ 第27回

「参政権」とは?日本の「選挙権」の移り変わりも解説

参政権・請求権(受益権)シリーズ第1回目は、「参政権・請求権(受益権)」の中の「参政権」について説明します。


「参政権」とは何か?

「参政権」とは読んで字のごとく、国民が政治に参加する権利のことを言います。

国民が主権者として、直接意思決定を行ったり(直接民主制的な参政権)、選挙によって選ばれた代表者を通じて意思を国政に反映させることができます。(間接民主制的な参政権)

「参政権」の中で代表的なものに「選挙権」と「被選挙権」があります。「選挙権」とは国民が選挙に投票する権利のことを言います。「被選挙権」とは選挙に立候補する権利です。

以下で「選挙権」について詳しく説明していきます。

日本の「選挙権」の移り変わり

現在(2022年)では、18歳以上の男女全員に「選挙権」が認められていますが、初めからこのように広く認められていたわけではありません。

日本で「選挙」が始められた1980年(明治23年)の時点では、「選挙権」を持ってるのは直接国税を15円以上納める25歳以上の男子に限られていました。

そして、1925年(大正14年)に「普通選挙」の導入によって、納税額に関わらず25歳以上の男子であれば誰でも選挙に参加できるようになり、戦後の1945年(昭和20年)には20歳以上の男女が選挙に参加することのできる「男女普通選挙」が導入されました。

さらに2016年(平成28年)、より若い世代の意見も政治に反映できるように「選挙権」を持つ年齢が18歳に引き下げられました。

それでは次に、現代の日本の「選挙」がどのような性質をもつものなのか、5つの基本原則に触れて見ていきます。

「選挙」の5つの基本原則その1「普通選挙の原則」

「普通選挙の原則」とは人種、身分、財産、納税額、教育、性別、宗教、政治的信条などに関わらず、必要な年齢を満たした日本国民であればだれでも「選挙権」を持つという原則のことを言います。

納税額が少ないからとか、学歴が低いからとか、特定の政治的信条を持っているから「選挙権」がないということはありえないということです。ただし、犯罪を犯してなんらかの刑に処されているなどごく一部の場合は「選挙権」を失います。


憲法第15条第三項に「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」として規定されています。

「選挙」の5つの基本原則その2「平等選挙の原則」

「平等選挙の原則」とは、身分や財産などに関わらず、有権者は誰でも「一人一票」を持つという原則です。

多額の納税を行っているから複数の票を与えられるというようなことは許されていないということです。

憲法第44条に「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。 但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。」と定められています。

「選挙」の5つの基本原則その3「直接選挙の原則」

「直接選挙の原則」とは、有権者が直接候補者の名前を書いて投票する方式で選挙を行うという原則です。

「直接選挙」の反対は「間接選挙」と言います。これは有権者が一旦選挙人を選び、その選挙人が代表者を選出する方法になります。

憲法第94条第2項に「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律を定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」と規定されています。

「選挙」の5つの基本原則その4「自由投票の原則」

「自由投票の原則」とは、誰に投票するか、また投票をするかしないかは有権者の自由であるという原則です。

強制的に投票させられたり、投票をしなかったからといって罰則があったり何らかの不利益を被ったりすることはないということです。

「選挙」の5つの基本原則その5「秘密投票の原則」

「秘密投票の原則」とは、有権者が誰に投票したのかを秘密にすることができ、また誰に投票したとしても罰せられたり被害を受けたりすることはないという原則を言います。

憲法第15条第4項に「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」として定められています。

以上が「選挙」の5つの基本原則です。

次に「参政権」の具体的な内容を6つ紹介します。

参政権の内容:その1「公務員の選定・罷免権」

「参政権」の1つに、公務員を選定し、また罷免する、つまりやめさせる権利があります。

憲法第15条第一項に「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」と規定されています。


参政権の内容:その2「国会議員の選挙権・被選挙権」

「参政権」として代表的なものに、先ほど説明した「選挙権・被選挙権」があります。

必要な年齢に達した日本国民は、自分の意見を国政に反映させるための代表者である「国会議員」を「選挙」で選んだり、自ら「国会議員」に立候補することができます。

「衆議院議員」に立候補するには満25歳以上、「参議院議員」に立候補するには満30歳以上に達している必要があります。「被選挙権」を失う条件は「選挙権」と同じで、なんらかの犯罪を犯して刑に処されている場合などです。

参政権の内容:その3「地方自治体の長・議員の選挙権」

「国会議員」だけではなく、都道府県の知事や市区町村など「地方公共団体」の長や議員も「選挙」で選んだり、自ら立候補することができます。

都道府県知事は満30歳以上、都道府県議会の議員や市区町村の長と議員は満25歳以上に達した日本国民に「被選挙権」があります。

以上の3つは、国民が選んだ代表者を通じて自分の意見を政治に反映させるための「間接民主制的な参政権」です。

以下で国民が直接国家の政治に参加できる「直接民主制的な参政権」である制度を紹介していきます。

参政権の内容:その4「最高裁判所裁判官の国民審査」

「直接民主制的な参政権」を行使する方法として「最高裁判所裁判官の国民審査」があります。

すでに任命された「最高裁判所」の裁判官がふさわしい人物であるかそうでないかを有権者が自ら判断し、もし裁判官としてふさわしくないので罷免したい(やめさせたい)と考える場合、投票用紙の名前の欄にバツを書くことでその意思を表示することができます。

バツが書かれた票が何も書かれていない票数を超えた場合、その裁判官は罷免されます。

参政権の内容:その5「地方特別法の住民投票」

特定の地方公共団体にのみ適用される「特別法」を制定する際の「住民投票」も「直接民主制的な参政権」にあたります。

憲法第95条に「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」として規定されています。

参政権の内容:その6「憲法改正の国民投票」

憲法を改正するには、衆参各議員の三分の二の賛成を得たあと、「国民投票」によって過半数の賛成を得なければなりません。

日本の主権者は国民であるため、「憲法改正」にあたって国民一人一人が「国民投票」によって、直接最終的な意思決定を行うことになっています。

まとめ

以上、参政権・請求権(受益権)シリーズ第1回目「参政権・請求権(受益権)」の中の「参政権」について説明しました。

本記事は、2023年2月23日時点調査または公開された情報です。
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