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鋼の肉体を作ろう!「消防士」が行っているトレーニング

火災現場や事故、災害現場に駆け付け、消火、救助、救急活動を行っているのは言わずと知れた消防士です。日々過酷な現場で迅速かつ確実な活動ができるように、消防士はトレーニングを行っています。今日は、地方公務員として活躍する「消防士」のトレーニングについて解説します。

2017年10月15日更新

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目次
自分も仲間も守る、強い体
これが消防士の基本的なトレーニングだ!
ペアになって行う消防士のトレーニング
消防士オリジナルのトレーニング
強い体つくりに大切な事
まとめ
鋼の肉体を作ろう!「消防士」が行っているトレーニング

自分も仲間も守る、強い体

体力勝負の消防士のトレーニングとは

消防士は、火災現場には重さ10キロにも及ぶ防火服やヘルメット、酸素呼吸器を背負って消火活動を行います。大災害の時には、高所や瓦礫から要救助者を助け出します。救急要請があった時には救急車を出動させ、どんな大きい体を持っている傷病者の方でも医療機関へ搬送します。時には、重い装備を身に付けたままで、要救助者の体を支えたり、持ち上げたり必要もあります。

これらの活動の中で一番大切なのが体力、そして過酷な状況にも負けない屈強な体つくりです。また、強い体を持つ事は、消防士としての活動を円滑に行うだけでなく、重い装備や資機材を使いこなす為、自分や仲間を守る為の武器にもなります。

強い体を作る為に行う事

強い体を作る為に大切なのが、体力や筋力を向上させるためのトレーニングです。日夜消防署で消防士たちは、日々の業務と共に訓練やトレーニングを行っています。

比較的新しい消防署の場合、専用のトレーニングルームが完備されている事が多いです。ベンチプレスやダンベルなど、トレーニングに必要な器具を備えている所もあります。

トレーニングルーム以外でも、訓練に入る前の準備運動とトレーニングを兼ねている場合があります。特に、消防士はいつ出場要請があるか分からないとても忙しい職務です。時間の簡略化のために、訓練前に準備運動をトレーニングを一緒に行う場合もあります。

トレーニングはいつ行っているか?

トレーニングを行っているのは、午後である事が多いです。けれども、時期的に忙しい場合(出初式の為の演習や、全国大会に出場する為の練習が多い、特定の消防署主催のイベントの準備をしているなど)には、トレーニングの時間が取れない事もありますので、その場合には、早朝に起床時間よりも早く起きて、トレーニングをする消防士もいます。

トレーニングに全力投球しない

消防士にとっては、体を鍛えるためのトレーニングはとても大切ですが、あくまで鍛錬のひとつという事を忘れずにしなければいけません。

消防士は、自分の所属する隊(消火隊、救助隊、救急隊)に分かれてトレーニングを行いますが、トレーニング中にも出場要請が入ります。その時にはトレーニングを切り上げてすぐに現場に駆け付ける為の準備に入ります。

もしもその時、トレーニングで全力を使い切ってしまっていると、体が疲れていて思う様に動かず、現場活動に支障が出ます。その為、すぐに現場での活動ができるような余力を残しながら、かつ効率的にトレーニングを行う様にしているのです。

特に、消防士になって日が浅い若い消防職員は、トレーニングに全力を使ってしまうなど、体力配分の面で未熟さがあります。その為、効率的なトレーニングのやり方も含めて、消防学校で消防士としての適切な体の使い方を学びます。

これが消防士の基本的なトレーニングだ!

ダッシュ

消防署内の駐車場や庭で行う、短距離(20m)の比較的短めのダッシュです。6本で1セットとなっています。

1本目は普通に走りますが、2本目以降から様々な負荷が加わった上でダッシュをします。2本目はその場で10回ジャンプをしてからダッシュ、3本目は腕立て伏せ10回をしてからダッシュします。

4本目以降は走り方にアレンジが加わります。4本目は行きは普通にダッシュし、帰りは後ろ向きの状態でダッシュします。5本目と6本目は、約5mごとにコンクリート舗装やカラーコーンなどで区切りを作り、2区間ずつ進み、バックで戻り、最後にゴール、を繰り返します。

消防署内のスペースは、消防署の敷地の大きさによってさまざまですが、工夫をすれば比較的狭い都市型の消防署などの敷地内でも効率よくダッシュのトレーニングができます。

腕立て伏せ

トレーニングは、消防士の班単位で行われる事が多いです。腕立て伏せは1班が5人の為、1人ずつ10呼称をカウントし、5人×10呼称で合計50回行います。

腹筋

頭を抱えるように後頭部に腕を回して腹筋を行います。こちらも10呼称×5人で合計50回行います。

背筋

膝を立てた状態で足と胸から上を浮かせた状態で行います。こちらも合計50回です。

体幹トレーニング

通常の腹筋ではなかなか鍛えられない体幹を鍛えるのが、体幹トレーニングです。

まず、地面に対して横向きの状態になり、肘と足で体を支えます。この状態で、足を開閉します。左右で各20回、合計40回行います。

ジョギング

訓練に入る前の準備運動の一環として行われている事が多いトレーニングです。おおよそ5キロから10キロの消防署内や訓練施設内を2列になって声を掛けながら行います。訓練前に体を温める上でも大切です。

縄跳び

縄跳びをつかってトレーニングを行う事もあります。室内・室外問わず行える、トレーニング中に出場要請が入っても、短時間でもすぐに切り上げられるトレーニングとしても活用されています。

ペアになって行う消防士のトレーニング

足持ち腕立て

2人1組のペアになります。普通の腕立て伏せとは違い、バディ(ペアになった人)に足を持ち上げられた状態の、「手押し車」の姿勢で30回の腕立て伏せを行う、ハードな腕立て伏せです。

ペア背筋

まず、補助をする人が手を差し出し、背筋トレーニングをする人は左右交互に、体をねじるように腹筋を実施し、自分の肩甲骨が補助をする人の手にタッチするように行います。

逆立ち腕立て

逆立ちをして、補助をする人に足を支えてもらい、その状態で腕立て伏せを10回1セットで行います。逆立ち状態で腕立てをするので、自分の全体重が腕にかかる、とても負荷の高いトレーニングです。

抱き腹筋

バディは立った状態で実施者のふくらはぎ部分を抱きかかえ、その状態で腹筋15回を行います。実施者はもちろん、ずっと実施者を持ち上げている状態のバディにも高い負荷がかかります。

足上げ腹筋

補助者が足を開いた状態で立ち、実施者は開いた足の間に頭を挟み、補助者の足を両手でつかみ、上半身は地面にある状態で、足を高く上げます。思い切り足を上げて、補助者が上げた足を押し返す事で腹筋を鍛えるトレー二ングです。30回行います。

段差を使って行う背筋

実施者は段差のある場所で背筋トレーニングの姿勢を取ります。段差の高い部分に下半身、低い部分に上半身が来るようにして、常に体が浮いた状態の、高い負荷を掛けながら背筋を行います。

補助者は、段差の高い部分に正座し、実施者の背中より高い所に手の平を伸ばします。実施者は、補助者の手の平に背中がつくように背筋を行います。

消防士オリジナルのトレーニング

署名呼称腕立て

消防士ならではのオリジナルのトレーニングもたくさんあります。

例えば、東京消防庁・府中消防署では、「署名呼称腕立て」をトレーニングに取り入れています。つま先と腕だけで体を支える腕立ての状態を保ち、隊員が順番に東京消防庁管内にある消防署の名前を呼んでいきます。もしも、すでに出てしまっている消防署の名前を言ってしまった時には、続けてもう一回言います。ちなみに、東京消防庁管内には81の消防署があります。

いつ終わるのか分からないトレーニングの為、想像以上に負荷がかかります。また、腕の筋力トレーニングとなるだけでなく、だれがどの消防署の名前を呼んだかの注意力や、つらい態勢の上、つまり肉体的な極限状況における記憶力も試す事ができます。

消防車のはしご部分にぶら下がってスクワット

ポンプ車やはしご車についているはしごの部分にぶら下がった状態でスクワットをするのも、消防士オリジナルのトレーニングです。丈夫なはしごは、掴んでスクワットするのにも最適です。

お互いの顔を見ながら、円になって腕立て伏せ

腕立て伏せをする時に、横一列になる部隊もありますし、円になってお互いの顔が見えるようにする部隊もあります。特に、救助隊員はチームワークが大切な為、お互いに変化がないのかを見る為に、結束を強める為に円になって腕立て伏せをする事も多いです。

また、救助隊員は体に不調が合ったり、気分が落ち込んだりしていてもそれを表に出さないようにしている「我慢強い」隊員が多いです。その為、救助隊の隊長は、少しの表情の変化から隊員が我慢をしていないか、体調が悪かったり無理をしたりしていないか見極める目的で、円でのトレーニングを取り入れている事もあります。

強い体つくりに大切な事

しっかり食べて、しっかり寝る

消防士の体つくりに大切なのは、トレーニングの他にも普段の食事や睡眠も関わっています。

食事については、バランスよく取る事、食事を取れそうな時にはすぐに取るようにする事、など工夫を行っている消防士が多いです。強い体を作るにはタンパク質、活動の元になる炭水化物、体を整えるビタミン類のバランスの良い食事が欠かせません。既婚の消防士なら、奥さんにお弁当を作ってもらう事も多いですし、独身の消防士も、バランスの良い食事を取る為に消防署で食事当番を決めて消防署内での食事は皆で作る所もあります。

また、昼食の時間は決められていますが(だいたい11時から13時の間で設定されている)この時間に出場要請があれば、もちろん昼食を取り損ねてしまう事もあります。食べられる時にすぐに食べるようにするのも大切です。

睡眠についても、24時間勤務の交代制で眠る消防士にとっては、十分に取れる事はあまりありませんが、短い時間でもすぐに眠れるようにするなど、できるだけ短い時間でも睡眠を取れるように工夫をしています。

イライラに対する工夫も

食事が取れずに空腹になると、人間の気分はイライラしがちです。イライラした気分になると、仲間との衝突が起きてしまってチームワークが乱れ、現場での活動に支障がでる可能性もあります。

そうならない様に、消防署内で携帯食やお菓子など、空腹を感じたらすぐに食べられるものが用意されている事も多いです。無駄な間食はしませんが、24時間勤務で空腹を感じ、イライラを押さえる為の工夫はされているのです。

ちなみに、消防署内で用意されている携帯食やお菓子などは、月に一度お茶代として消防職員同士が出し合って、購入している事が多いです。

まとめ

消防士のトレーニングは、決まった時間に行う場合もありますし、忙しい場合には部隊ごとで自分の空いている時間を利用して行っている事が分かりました。強い体つくりには食事や睡眠も大切です。消防士を目指す人で、偏食がある方は今のうちに克服しておいた方が良いでしょう。
(文:千谷 麻理子)

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