MENU

外国の政治制度比較 - 日本・イギリス・アメリカ・中国・韓国・ロシアなど

当ページのリンクには広告が含まれています。


目次

はじめに - 政治制度とは?外国と日本で異なる政治のしくみ

政治制度とは、ある国家における政治的諸制度の総体のことです。

政治制度にはさまざまなバリエーションがあります。複数の制度を組み合わせたような政治制度を採用している国もあり、一見似たような制度を採用している国でも、詳細を見ると違いがある場合も多いです。

今回は、一部の外国の政治制度の例として、イギリス・アメリカ・中国・韓国・ロシアの政治制度についてまとめました。

外国には、日本と似ている政治制度を持つ国と、そうでない国があり、特に外交の際に誰と会談することが有効なのかは、国によって微妙に異なりますので、よく確認しておきましょう。

日本の政治制度は「議院内閣制」

まず、外国の政治制度についてご紹介する前に、日本の政治制度について解説します。日本の政治制度は「議院内閣制」であり、主権者は日本国民です。

「議院内閣制」の「議院」は、日本では「国会」を意味します。内閣のトップである内閣総理大臣は、国会によって国会議員の中から選ばれます。閣僚の過半数も、国会議員の中から選ばれます。

そしてご存じの通り、国会議員は日本国民の中から選挙によって選ばれます。

つまり、内閣は国会を元に構成されていますが、その国会議員を選んでいるのは主権者である日本国民というわけです。

これを、「議院内閣制」と呼びます。

なお、日本には「天皇」がいますが、天皇は国政に関する権利はなく、「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」とされており、「国事行為」のみを行います。これを「象徴天皇制」と呼びます。

日本の政治体制については、以下の記事もご参照ください。


》日本の政治システム「民主政治」とは? 民主主義や三権分立

民主主義や三権分立といった言葉は、公務員を目指す人のみならず日本国民であれば知っておきたい知識です。これらは日本の政治の基本である「民主政治」のシステムの1つ。学生時代に必ず学ぶことではありますが、ここで改めて「民主政治」とは何かを簡単におさらいしてみましょう。

外国の政治制度1)イギリスの政治制度は「議院内閣制」

はじめに、イギリスの政治制度についてご紹介します。

イギリスの政治制度「議院内閣制」について

イギリスの政治制度は、議会で選出された首相により内閣が組織される「議院内閣制」です。日本の政治制度は、イギリスの政治制度を採用しています。

ただし、イギリスの政治制度では、憲法として文章化された法律はありません。これを「不文憲法(ふぶんけんぽう)」または「非成典憲法(ひせいていけんぽう)」といいます。イギリスでは、長い歴史のなかで作られてきた慣習や慣行が、憲法としての役割を果たしているのです。

イギリスの内閣は、聖職者、世襲貴族、一代貴族からなる「上院(貴族院)」と、英国民の代表として一般人からなる「下院(庶民院)」で構成されています。上院の議員は国王によって選出されるのに対し、下院の議員は国民の投票によって選出されます。上院はシンボル的な存在で、実際の権限は下院にあります。

党首は国王となりますが、日本の天皇と同じく名目的な地位に留まり、実際には総選挙によって第1党の党首に選ばれたものが内閣を組織します。つまり、日本と同じくイギリスでも、党首は議員によって選出されています。

このほかにも、日本とイギリスの政治制度には通じるものがあります。日本でいう「国会」は、イギリスでは「議会」と呼ばれ、日本の「衆議院」とイギリスの「下院」は同じものになります。

イギリスの政治制度:上院と下院はフロアの作りや装飾が異なる

イギリスの上院と下院では、明らかに議場の装飾が異なっているという点で、日本とは異なるようです。

例えば、貴族からなる上院は、国王が国会の宣言を行うための玉座やシャンデリア、壁画があしらわれるなど豪華絢爛な作りとなっています。対する下院は、木材がむき出しで無機質な作りとなっています。

外国の政治制度豆知識:イギリス政治制度の「上院」について

上院は別名「貴族院」とも呼ばれる貴族・聖職者からなる議院です。

国王が任命するため、選挙で選ばれた議員ではありません。上院の議員は終身制のため、解散がありません。そのため、一度任命されれば生涯を通して議員として議席を持つことができます。

1999年以降は世襲貴族(爵位を世襲できる貴族)の議席が制限され、現在は一代貴族(一代限りで貴族となった者)が上院の大半を占めています。上院はイギリスの内閣における最高法院ですが、2009年に最高裁判所としての権利を失ってから(祭宇高裁判所が設立)実質的な決定権は下院にあります。

外国の政治制度の豆知識:イギリス政治制度の「下院」について

下院は別名「庶民院」とも呼ばれる選挙によって選ばれた一般国民からなる議院です。

国民選挙(単純小選挙区制)によって選出され、議席の定数は650人と定められています。下院は上院と異なり任期が定められており、その任期は最大でも5年です。首相は国王が任命しますが、下院第1党の党首が選出されるのが慣行です。


諸外国の補足データ:「イギリス」の簡単な紹介と日英関係

イギリスは、日本では「イギリス」や「英国」といった呼び方をしていますが、正式には「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」であり、英語では「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」という名称です。

イギリスの公用語は英語、首都はロンドンにあり、242,500平方キロメートルある国土には、6500万人以上もの人口が暮らしています。イギリスは日本と同じく、海に囲まれた島国です。

そんな共通点を持つ日本とイギリスの関係は、1902年に結ばれた「日英同盟」をきっかけに強い結束を持ちます。この日英同盟は1923年には失効、世界大戦中は関係が悪化してしまいますが、1951年に結ばれた「サンフランシスコ条約」をきっかけに正常化します。

現代に入っても、日本とイギリスとでは友好な関係が築かれています。

▼参考URL:外務省|英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/uk/

外国の政治制度2)アメリカの政治制度は「大統領制」

次に、外国の政治制度として、代表的な「大統領制」について、アメリカの例をご紹介します。

アメリカの政治制度:「大統領制」について

アメリカの政治制度は、政党から選ばれた候補者のなかから、国民が大統領に相応しい人物を選出する「大統領制」です。日本やイギリスでは、党首の代表を議員が選出していたのに対し、アメリカでは国民が選出します。

大統領の候補者は、「民主党」と「共和党」という、アメリカの「2大政党」から、議院によって選出されます。これを予備選挙といいます。2016年の大統領選挙を例に挙げると、ヒラリー・クリントン氏は民主党の候補、ドナルド・トランプ氏は共和党の候補者でした。

当時のアメリカ大統領選挙の候補者はこの2人のみならず、約570名が立候補していましたが、事実上の一騎打ち状態にあり、ドナルド・トランプ氏が大統領の座を射止めました。

また、2020年に行われた大統領選挙では、共和党のトランプ氏を破り、民主党のバイデン氏が勝利しましたが、勝利の確定までには長い道のりがありました。詳しくは、大統領選特集をご覧ください。民主党のバイデン候補についても、特集しています。

「アメリカ大統領選」に関する記事一覧

アメリカの政治制度:アメリカの大統領制の特徴について

アメリカの「大統領制」の特徴は、大統領や議員を国民が選出するため国民の意見が反映されやすいことです。大統領は行政権を持ち、連邦議会が立法権、連邦最高裁判所が司法権を持つという「三権分立」の形をとっています。

そのため、大統領は議会に法案を提出することはできませんが、議会が成立させた法案への署名を拒否する「拒否権」を憲法により所持しています。

ただし、アメリカ議会では、2/3以上の多数で再議決すれば法案を成立させることができます。

アメリカの政治制度:大統領の任期は4年と定められている

また、アメリカの大統領は任期が4年と定められており、その期間中は辞めさせることができません。たとえアメリカ国民が「(大統領にふさわしいのは)やっぱりこの人じゃなかった!」と思ったとしても、大統領本人が辞任しない限りは、基本的には任期いっぱいまで大統領としての活動を行います。

日本やイギリスが採用している「議院内閣制」の場合は、国会が内閣不信任案の決議を行えば、結果としてリーダーである首相を辞めさせることが可能ですので、そこがアメリカの大統領制度とは大きく異なっています。

アメリカの政治制度:アメリカ大統領候補に立候補するための条件は?

アメリカの大統領候補に立候補するための条件は3つあります。

1つ目は「アメリカ生まれであること」です。2つ目は「アメリカに14年以上、居住していること」、3つ目は「35歳以上であること」です。

上記3つの条件を満たしていれば事実上、アメリカ大統領になることが可能です。例えば、父親はアメリカ人、母親は日本人の日系アメリカ人であっても、国民に選ばれれば大統領になることも可能ですので、将来、「日本人のアメリカ大統領」が現れることもあるかもしれませんね!


アメリカの政治制度:アメリカの連邦議会について

アメリカの連邦議会は二院制(上院・下院)です。上院・下院ともに選挙によって選出され、立法上の権限は対等です。上院は定員100名、任期6年と定められており、下院は定員435名、任期2年と定められています。

諸外国の補足データ:「アメリカ」の簡単な紹介と日米関係

アメリカは、50の州および連邦区から成る連邦共和国です。正式名称は「アメリカ合衆国」であり、英語では「United States of America」と表記します。

アメリカの首都はワシントンD.Cで、経済規模は世界で一位だと言われています。国土は約960万平方キロメートルに及び、これは日本の国土の約25倍にあたります。
アメリカはグローバルスタンダードな国と呼ばれており、iPhoneで知られる「Apple」やハンバーガーを安価で購入できる「マクドナルド」など、アメリカで生まれた企業は広く世界に浸透しています。

日米関係は、1854年に結ばれた「日米和親条約」より正式に始まり、第一・第二次世界大戦後にはアメリカと日本とで「安全保障条約」が結ばれました。

現代においても友好な関係が築かれており、2012年には友好の証である「日米桜寄贈100周年」を記念して日本とアメリカそれぞれの国で様々な催しが行われました。

外国の政治制度3)中国の政治制度は「民主集中制」

中国の政治制度である「民主集中制」について解説します。

中国の政治制度:「民主集中制」について

中国の政治制度は、三権分立を否定し、全ての権利を人民に集中させた「民主集中制(権力集中制)」です。

全ての権利は人民のためであると考え、中国共産党の指導を前提に、全ての権利が人民に集中しています。そのため、共産党以外の政党も存在していますが、実際は共産党が国政を指導する一党制の形をとっています。議員の任期は5年と定められており、一党制のため解散はありません。

中国の政治制度においては、中華人民共和国主席が国家の代表となり、全人代(中国の国会)の決定に基づく法律の公布や国務院総理(首相)の任命などを行います。英語では「President of the People’s Republic of China」と表記され、中国では中華人民共和国主席が国家のトップとりなり、首相よりも上の立場です。

国家主席に立候補するためには、中華人民共和国の国民であることかつ選挙権および被選挙権を有する45歳以上のみであることが「中華人民共和国憲法」にて定められています。国家主席は全人民代表大会(議会)によって選出され、任期は5年と定められており、連続3選は禁止されています。

中国の政治制度:初代国家主席である毛沢東について

中華人民共和国は1949年10月に建国され、その際に「毛沢東」という人物が「中央人民政府主席」に選出されました。その後、1954年の憲法改正により「中央人民政府主席」は「中華人民共和国主席」に名称を変え、改めて毛沢東が初代国家主席を襲名します。

しかし、1966年から1976年まで続いた「文化大革命」により、国家主席は一時空席となってしまいます。1970年には毛沢東が国家主席の廃止を提案、1975年には憲法改正により国家主席は無くなりました。

その後、国家主席の権限は中国共産党中央委員会主席と全国人民代表大会常務委員会に与えられていましたが、1982年に「儀礼的国家元首」として国家主席が復活します。これまでの国家主席とは異なり、国のシンボル=名誉のための役職となり、権力を行使することはほとんどなくなりました。

しかし、「第二次天安門事件」をきっかけに、1993年には「江沢民」という人物が国家主席を就任します。

江沢民は「中国共産党中央委員会総書記」「中央軍事委員会主席」の役職との兼任で国家主席を就任したことで、中国共産党・国家主席・軍事委員会という国家の3つの権力が一転に集中し、事実上の国のトップとなったのです。

中国の政治制度:主席と首相の違い

国家主席は国家の代表で、アメリカの大統領と同じく、対外的に国家の君主にあたります。国家主席は、首相の任命権(人事権)、法律を公布する(法律公布権)、宣戦布告及び動員令の発布(命令権)、条約や重要協定の批准および廃棄(外交権)といった権力を持っています。

次に、中国の首相は、正式には「国務院総理」といい、日本でいう総理大臣にあたります。国務院とは中国の国家行政機関ことで、日本でいう内閣に相当します。この国務院は国家最高の行政機関であり、首相は国務院で行われる議会の代表であり行政の責任者となります。首相は国家主席によって指名され、任期は5年と定められています。

このように、中国において国家主席は首相よりも上の立場の役職となります。

諸外国の補足データ:「中国」の簡単な紹介と日中関係

中国は、中国大陸を支配する「中華人民共和国」の総称で、英語では「China」と表記します。国土は9,597万平方キロメートルに及び、アジアで一番大きな面積を持っていて、日本の国土の約25倍にあたります。また、中国には13億5千万人以上もの人口が暮らしており、世界一人口が多い国としても有名です。

日本と中国の関係は古く、氷河期の終了によってユーラシア大陸が切り離されるまでは、元は同じ大陸にある国だったと言われています。


外国の政治制度4)韓国の政治制度は「大統領制」

韓国もアメリカと同じ「大統領制」をとりますが、再任の禁止など、独自の制度もあります。

韓国の政治制度:「大統領制」について

韓国の政治制度は、「大統領制」であり、アメリカ合衆国の政治体制を参照しています。行政、立法、司法の三権分立による政治体制を採用しており、アメリカと同様、大統領に強力な権限が与えられています。

韓国の国家元首である大統領の任期は5年で、再任は禁止されています。韓国の大統領は、行政府の長というだけでなく、軍の最高司令官としての地位も持っています。選出方法は韓国国民による直接選挙で選ばれます。

韓国の国会は単院制で、定員は約300名、任期は4年です。国会議員の選出方法は、小選挙区比例代表並立制を採用しています。

諸外国の補足データ:「韓国」の簡単な紹介と日韓関係

韓国の正式名称は「大韓民国」で、英語では「Republic of Korea」と表記します。国土は日本の約4分の1、人口は2019年時点で約5,200万人、東アジアに位置する共和制国家です。

韓国の首都はソウル、公用語はソウル方言をもとにした朝鮮語、文字はおもにハングルを用使用しています。

日韓関係は、1965年に結ばれた「日韓基本条約」より正式に始まり、これにより、日韓国交が樹立しました。日本と韓国は経済的・政治的・文化的な関係が非常に深く、地理的にも近い位置にあることから、日韓ワールドカップの頃は関係が良好だったようです。

しかし近年、慰安婦問題や徴用工問題など、歴史的な問題を背景に両国の関係は冷え込んでいます。

外国の政治制度5)ロシアの政治制度は「半大統領制」

ロシアの政治制度である「半大統領制」について解説します。

ロシアの政治制度:「半大統領制」について

ロシアの政治制度は「半大統領制」です。「半大統領制」とは、議院内閣制の枠組みを採りつつ、大統領が大きな権限を持つ政治体制のことです。議院内閣制の枠組みを採用しているので、大統領の他に首相もいます。

ロシアの大統領は国民によって直接選挙でえらばれますが、首相は下院の承認のもと、大統領が任命します。

大統領は非常に強い権力を持ち、国民によって直接選挙で選出されます。任期は2008年の憲法改正によって4年から6年に延長されました。3選禁止のため、連続就任できる上限は12年です。

ロシアの政治制度:プーチン大統領、任期延長か?

ロシア連邦議会下院は2020年3月、大統領任期の制限を撤廃する改憲案を承認しました。これによって、2024年に任期を終える予定だった現ロシア大統領ウラジーミル・プーチン氏が再出馬することが可能になりました。

ロシアの憲法裁判所がこの改憲案を合憲と判断した場合、ウラジーミル・プーチン氏は2036年まで大統領に就けることになります。

諸外国の補足データ:ロシアの簡単な紹介と日露関係

ロシアの正式名称は「ロシア連邦」で、英語では「Russian Federation」と表記します。ロシアは非常に広い国土を有しており、その大きさは日本の約45倍、アメリカの約1.7倍です。人口は2017年時点で約1億5000万人、ユーラシア大陸北部に位置する連邦共和制国家です。首都はモスクワ。


ロシアの首都はモスクワ、公用語はロシア語を使用しています。
日露関係は、1904年に日露戦争が起こりますが、1907年に第一次日露協約、日露新通商航海条約が結ばれ、1910年に第二次、1912年に第三次日露協約が締結され、両国の協力関係が強化されました。

現在の日露関係は、経済的な交流はあるものの、歴史問題を背景に、シベリア抑留の問題や北方領土問題など未解決の問題もあり、完全に良好な関係を気付いているとは言い難い部分があります。

まとめ - 外国の政治制度にはそれぞれ特色がある

以上、「外国の政治制度比較 - 日本・イギリス・アメリカ・中国・韓国・ロシアなど」でした。

日本とイギリスは「議院内閣制」を取り入れていますが、アメリカ、韓国は「大統領制」、中国は「一党独裁制」、ロシアは「半大統領制」と、それぞれに異なる政治制度を取り入れていることが分かりました。

政治制度から見ても、国ごとの特色を見てとることができますね。公務員を目指すにあたっては、諸外国の基本的な政治制度を押さえておくとよいでしょう。

(更新日:2021年1月22日)

本記事は、2017年11月20日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

コメント

コメントする

目次