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【日本が誇る水難救助隊】水難・水害に立ち向かう「水難救助隊」とは?

海や川、湖など水辺での事故や災害の時に出動し、人命救助や捜索を主とした活動を行っている部隊が各組織の水難救助隊です。四方を海で囲まれ、川や湖などの水源に恵まれる日本は水辺の事故も多発しやすいため、水難事故や災害に特化した活動のできる高い技術力を持つ水難救助隊を様々な組織に配置しています。

2017年12月23日更新

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目次
日本が誇る、4つの組織の水難救助隊
消防組織の水難救助隊について
東京消防庁の水難救助隊・舟艇隊について
消防との連携も多い 警察の水難救助隊について
海上保安庁に属する水難救助隊について
航空自衛隊や海上自衛隊の水難救助業務を行う部隊とは
水難救助隊になるには?
まとめ
【日本が誇る水難救助隊】水難・水害に立ち向かう「水難救助隊」とは?

日本が誇る、4つの組織の水難救助隊

日本の水難救助隊と一言にいっても所属している組織は幅広く、いずれも公務員職ですが大きく分けて消防、警察、海上保安庁や自衛隊の4つの組織に分かれています。

ここでは、各組織別に分けて水難救助隊について見てみましょう。

消防組織の水難救助隊について

消防組織の水難救助隊には主に編成形態が3つある

消防組織における水難救助隊は、「救助隊」の名前の通り省令に基づいて設置されている各自治体の消防本部に属している救助隊の中のひとつに該当しています。その中でも水難救助隊員の編成状況は大きく分けて3つのパターンがあり、各自治体の消防本部ごとに異なっています。

一つ目が、オレンジの活動服の救助隊員がそのまま兼任として水難救助隊員として活動を行うパターンです。日本全国で多くの水難救助隊員はこれに属しており、普段事故や災害での救助活動を行っている救助隊員が、水害や水難事故発生の際には水難救助隊として出場し、活動を行います。

二つ目が、救助隊員の中でも高度救助隊や特別高度救助隊員など、より高度な救助技術や知識を持っている救助隊員が水難救助隊を兼任しているパターンです。

ほとんどの高度救助隊や特別高度救助隊員は、近年多様化する水難事故や水害にも対応できるように既に国家資格である潜水士資格を取得済みである隊員も多く、例えば神戸市消防局の特別高度救助隊である「スーパーイーグルこうべ」では、通常の訓練の中に急流救助訓練も取り入れています。東京消防庁の特別高度救助隊である「ハイパーレスキュー」でも、玄倉川水難事故を教訓に急流救助訓練を行っており、かつ足立区の第六消防方面本部の部隊が震災・大規模災害専門部隊して配備され、災害対応の一環として水害や都市型の水難事故に対応しています。

これに加えて、水難救助業務自体も高度救助隊・特別高度救助隊が専任として担っている消防本部もあり、例えば新潟市消防局の特別高度救助部隊である「SART」は、平成19年4月に新潟市が政令指定都市に移行するのに伴い創設されましたが、その際に水難救助業務もSARTがNBC災害対策などと同じく専任する事になり、他の消防署では水難救助業務に携わらなくなりました。これは、新潟市自体が日本海に面している港町である事と一級河川の阿武隈川と信濃川が流れる水源に恵まれた地形である為水難事故の可能性が高い事と、新潟市内での管轄消防署間で定期的な人事異動がある為、水難救助隊員の恒久的な育成が困難である背景があります。

三つ目が、専任で活動できる水難救助隊員を育成する為に、管轄内の消防学校で水難救助教育や研修を行い、それらを修了した隊員たちで構成される水難救助の専門部隊を持っているパターンです。例えば、東京消防庁では国家資格の潜水士を取得した上で、消防学校で水難救助に関する専門教育研修を受けた水難救助隊員で構成している水難救助隊と舟艇隊を配備しています。

最後に、大災害や事故などで緊急消防援助隊を編成する場合にも水難救助隊は編成部隊のひとつとして組み込まれており、現在全国の消防組織から34隊が水難救助隊として緊急消防援助隊に登録されています。

水難救助隊特有の物も多い、所有する資機材について

「救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令」の中では、水難救助隊の持つ装備資機材として、潜水器具一式や救命胴衣、水中投光器などの装備一式、人命救助の為の救命浮環や浮標、救命ボート、水上や水中探索時にも使用する船外機や水中スクーター、水中でも場を得る為の水中無線機や水中時計そして水中テレビカメラを定めています。

水難救助隊の持つ潜水器具である水中で呼吸する為の酸素ボンベは11kg、水中で体が浮かばない為のウェイトは6kgから12kg、これに水中ライトや時計、ヘルメットやフィン、ゴーグル、そしてウェットスーツを付けて活動をします。重量がある、かつ動きを制限される装備も多く、そして陸上とは体の使い方も異なる水中、水上での活動を行う為、水難救助活動はとても過酷です。

東京消防庁の水難救助隊・舟艇隊について

計18隊、合計80名の隊員で構成される

東京消防庁の水難救助専任部隊である、水難救助隊及び舟艇隊について見てみましょう。

東京消防庁の管轄内にて、水難救助隊は合計6隊配備されており、第一方面の日本橋署浜町出張所に浜町水難救助隊、臨港消防署に臨港水難救助隊、第二方面の大森消防署の大森水難救助隊、第六方面の足立消防署に綾瀬水難救助隊、第七方面の小岩消防署に小岩水難救助隊、第八方面の調布消防署に水難救助隊がおり、全部で各署部隊×3部体制の計18隊、合計80名の隊員が所属しています。また、第一方面の日本橋書浜松出張所、臨港消防署、高輪消防署港南出張所には合計9体の舟艇隊が配置されています。

なお、東京消防庁の救助隊は所属している部隊に応じてワッペンのデザインが変わりますが、水難救助隊にも専用のデザインが用意されています。特別高度救助隊(ハイパーレスキュー)や特別救助隊が着けているセントバーナードのバリー号がモデルになっているワッペンが元になっていますが、水難救助隊はバリー号の周りを浮き輪やロープが囲んでいるデザインとなっています。

ちなみに、専任部隊として置かれている東京消防庁の水難救助隊ですが、管轄内で火災があった時には消防車や消防艇での出場や救助や救急も行う消火隊員としての任務も行います。

東京消防庁の水難救助隊・舟艇隊の持つ車両について

第一方面の臨港消防署には、船長隊長と機関長、甲板長と操舵員、甲板員から構成している臨港第1舟艇小隊が運用する大型消防艇「みやこどり」、臨港消防署の臨港第2舟艇小隊の持つ大型消防艇「すみだ」、高輪消防署港南出張所の港南第1舟艇小隊が持つ大型消防艇「ありあけ」及び港南第2舟艇小隊の持つ「かちどき」が配置されており、水難救助だけでなく化学消防艇としての役割も持ち、水上火災や臨海工業地帯での火災、海上での重油の流出事故などにも出場します。

また、東京都内にある運河や、例えば第七方面の小岩消防署の管轄内にある江戸川、新中川、旧江戸川などの河川は幅が狭い、または底が浅い場所が多く、大型消防艇では入れない場合がありますので、そんな時に活躍するのが小型の水難救助艇です。東京消防庁の水難救助隊の持つ小型の水難救助艇は日本橋消防署浜町出張所の浜町第1舟艇小隊の持つ「はまかぜ」、同第2舟艇小隊の持つ「きよす」、臨港消防署の臨港第3舟艇小隊の持つ「はるみ」、同第4舟艇小隊の持つ「しぶき」、同第5舟艇小の持つ「はやて」があります。「はるみ」にはウォータージェット推進装置があり水深の浅い場所でも進める、「しぶき」は水深が浅い場所ではエンジン動力の軸を競り上げ(ティルトアップ)、櫂を使って航行できる、「はやて」は小型の船体を活かした高速航行が可能、などそれぞれに特化した性能を持っています。

また、大型消防艇及び小型消防艇が配備されていない第二方面の大森水難救助隊、第六方面の綾瀬水難救助隊、第七方面の小岩水難救助隊、第八方面の調布消防署に水難救助隊には、下水道や排水溝での転落事故や、貯水池やお堀での水難事故など都市型の水難事故に対応できるように水難救助車が配備されています。水難救助車には、救助工作車と同じくクレーンや救助用資機材が搭載されていますが、他にも車内後方にはシャワールームが備え付けられています。

参考:東京消防庁 消防艇
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/ts/soubi/ship/index.html

消防との連携も多い 警察の水難救助隊について

警察の水難救助隊は機動隊に配備されている

消防と同じく水辺での事故や水害の際に水難救助を行う部隊を持つのが警察の水難救助隊です。警察の水難救助隊は、各都道府県警察本部に属している機動隊に配置されていますが、ほとんどの消防の水難救助隊員と同じく、普段は機動隊員として大勢の人が集まり暴動などが起こりそうな場所での警備や、デモ活動や式典、要人のいる場所での警戒警備など、機動隊としての任務に携わり、水難事故などが発生した場合のみ水難救助隊として出動する、兼任の形を取っています。

消防は生存者を、警察はその後を

警察の水難救助隊の役割は、消防の水難救助隊の様に生存者の救出活動がメインではなく、水害や水難事故によって亡くなった方のご遺体の引き上げや、水中に遺棄された犯罪の証拠品の検索、現場検証などが主な活動となっています。

これは、消防と警察が担っている役割から来るもので、例えば大災害時に派遣される消防の緊急消防援助隊は被災地にて生存者の救出活動をメインに行いますが、警察の広域緊急援助隊はご遺体の引き上げや検視、身元確認などをメインに行っています。

警察の水難救助隊の持つ装備など

警察の水難救助隊も、消防の水難救助隊と同じく水難救助車を持っています。また、警視庁の警備艇「たかお」に代表する警備艇や、水上バイクを所有しています。

海上保安庁に属する水難救助隊について

海上保安庁の機動救難士および羽田特殊救難基地の特殊救難隊

日本の領域海上の安全と平和を担っている海上保安庁でも、水難救助隊の様に海上での事故や事件に対応するのが、海上保管庁の各管区に配置されている機動救難士です。「空飛ぶ海の救急隊」という異名を持ち、海上で遭難した人や海難事故での救助や救急活動の為に、ヘリコプターで海上の現場まで向かいます。

また、海上保安庁には水難救助専門の部隊として、羽田特殊救難基地の特殊救難隊があります。機動救難士は自分の所属する管区内での水難救助活動を行いますが、羽田特殊救難基地の特殊救難隊の活動範囲は日本全国です。そして、機動救難士、羽田特殊救難基地の特殊
救難隊共に全員が潜水士の有資格者であり、ヘリコプターでの空中からの救助活動に加えて、8メートルまでの潜水作業も行います。

そして、近年では消防組織と警察、そして海上保安庁の三組織合同で水難救助訓練も行われています。

航空自衛隊や海上自衛隊の水難救助業務を行う部隊とは

航空自衛隊の航空救難団の救難隊とは

航空自衛隊の役割の一つに、自衛隊の救難・救助機と呼ばれる捜索・救難活動に使われる航空機やヘリコプターで地上へ着陸、もしくは海上へ着水して行う捜索活動や救難活動がありますが、これらの航空救助及び海上救助活動を担っているのが、航空自衛隊の中の航空救難団です。

航空救難団の救難隊は救難・救助機に加えてパラシュートによる着陸・着水も行っている特徴を持ちます。また、衛生兵としての役割も担うため、救急救命活動に関する教育や研修も提供され、かつ救急救命士や准看護師など、特定医療行為が可能な有資格者も多数います。

なお、救難隊自体が日本の航空救助におけるパイオニアとされており、元来高い救助技術も備えた部隊でもあります。

海上自衛隊の降下救助員と機上救護員について

海上自衛隊の降下救助員とは、海上自衛隊のヘリコプター部隊であり、主な目的は戦闘時に最前線で機関銃の射撃員として戦闘救助を行うことを主な任務としていますが、自衛隊内の資格である機外活動が可能なHRS(Helicopter Rescue Swimmerの略)の有資格者は、ヘリコプターから降下し、前述の航空自衛隊の救難隊と同じく救急ヘリコプターでの救助活動や救急活動を行います。

一方で海上自衛隊の機上救護員は、ヘリコプターなどからの降下の上で任務を行う降下救助員とは異なり、主に潜水で救助や救急活動を行います。なお、降下救助員は衛生兵としての役割ではなくあくまで戦闘救助を目的とした部隊ですので、救急救命士や准看護師などの医療行為が可能な有資格者は少なく、逆に機上救護員は衛生兵としての役割も担っているので、医療関連資格取得者も多く、緊急時の医療行為も可能となっています。ただし、特定の状況下においては、資格のない降下救助員でも医療行為が限定的に認められる場合もあります。

水難救助隊になるには?

各組織にまずは属する為の採用試験を受ける

自分がどの組織の水難救助隊になるかで、受ける公務員試験が異なります。また、学歴相当や受けたい自治体によっても応募要項は異なりますので、自分がなりたい水難救助隊の組織に入るための採用試験を受け、合格します。

潜水士の資格を取得する

消防組織の水難救助隊を始めとして、水難救助に携わる業務を行う時にほぼ必須であるのが潜水士の資格です。潜水士とは労働安全衛生法の規定に基づく、潜水作業に従事する労働者が取得すべき国家資格です。潜水士の資格取得は、消防や警察などの各組織に所属になった後でも取得できますので、採用試験前に急いで取得する必要はありませんが、水難救助隊を目指す上では避けて通れない資格です。

選抜試験に合格する

特に、東京消防庁のような水難救助隊の専任部隊がいる場合、選抜試験が課されていることがほとんどです。また、一般的な水難救助業務を兼任する救助隊員になる場合にも、上司の推薦や選抜試験が必須となっている場合が多くなっています。

泳げないのはぜったいにNG

採用試験前に、特に水難救助隊を目指す上で心掛けておきたいのが泳ぎについてです。もちろん泳げないのは絶対にいけませんし、各採用試験の実技では、水泳が課されていることも多いです。

学生時代などで水泳に覚えがある人は、それを生かして水難救助隊として活躍したい方も少なくありません。けれども、水難救助の現場において自分の持っている水泳などの技術に決して過信する事なく、要救助者の救出救助はもちろん、自分の安全も確保した上で活動を行えるようにしなければいけません。

まとめ

水難事故といえば夏のレジャーの際に起きるイメージがありますが、近年では豪雨災害などの水害も多発しており、水難救助隊の需要も高くなっています。水資源に恵まれた日本だからこそ、水難救助隊の技術向上とともに、私たち日本国民ひとりひとりも水の怖さを自覚しなければいけません。

(文:千谷 麻理子)

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