【世界事情】アメリカから見た海外 日本・中国・ロシアについて

日米安全保障条約をはじめ、日本と政治的にも、経済的にも密接な関係にあるアメリカ合衆国についての現地レポートです。

今回のテーマは「アメリカから見た海外」で、アメリカから見た日本や、中国、ロシアについてご紹介します。


トランプ大統領就任以降、経済は登り調子のアメリカですが、アメリカから我が国日本や主要国はどのように映っているのでしょうか。

今回は「アメリカから見た海外」ということにフォーカスして、経済や政治情勢について深く掘り下げてみたいと思います。日本にいる限り日本目線になりがちですが、アメリカからは日本を含めて主要国はこのように映っているようです。

アメリカから見た日本

アメリカから見た日本は、おおむね好評価といったところでしょう。政治、経済、観光などあらゆる面において両国の絆は強く、双方が好ましい関係と思っているようです。

その関係性を象徴しているのが、株価と安倍首相の動向です。ニューヨーク株式市場は2018年1月にダウ平均が25,000ドルを突破しました。トランプ大統領はこのニュースを受けてすぐさま自身のツイッターで祝福し、さらに減税などの経済刺激を継続することをアピールしました。

日本もまったく連動する形で平均株価が23,000円を突破し、年明け市場は1日で700円以上値上がりしました。アメリカにいるとよく分かるのですが、アメリカ市場と日本市場はシンクロしています。アメリカが良ければ、日本も良くなるといった感じです。

安倍首相の動向も両国の関係を良好なまま維持しようとしているのが伺えます。2016年11月、トランプ大統領が大統領選に当選した直後、真っ先にお祝いに駆けつけた要人が安倍首相でした。安倍首相が訪れたのはホワイトハウスでもなく、トランプ大統領の自宅という異例の対応です。

日本政府のこの対応にはアメリカのメディアも好感を表していたものの、アメリカに住む日本人としては「ひれ伏し過ぎ」という印象を持ったことも確かです。そして、この言動をきっかけにトランプ大統領は日本を「お金持ちのビジネスパートナー」と決定付けたようです。

そもそも、大成功したビジネスマンのトランプ大統領は、非常に頭の回転が良く、なんでもお金に結びつけられると評判です。政治の世界においてもビジネスの視点を持ち込んでおり「外交=ビジネスチャンス」という発想を持っていることは否めません。そんなトランプ大統領にとって、日本はちょうどいいパートナーなのです。

2017年11月トランプ大統領は日本を始めとするアジア歴訪を実施しました。各国と良好な関係性を主張していたものの、アメリカでは「営業」という見方が強かったようです。その証拠に、日本に対してはミサイル防衛システムや、最新鋭ステルス戦闘機F35Aの大量購入を促したほどです。

日本とアメリカの間には貿易赤字の問題が存在しており、ビジネスマンのトランプ大統領からすれば「赤字は嫌だ」と考えるのは当然です。さらに「アメリカ第一優先」という強い信念があるため、少しでもアメリカ国民に「アメリカは強いのだ」という姿勢を見せようしています。

結局のところ、2017年12月31日に日本政府がアメリカからF35戦闘機を数十機追加購入する意思があることが報じられました。そもそも42機のF35戦闘機を購入する予定だったところを、トランプ大統領の一声で追加購入してしまうことになったのです。


この戦闘機は1機あたり130億円ですから、戦闘機だけで少なく見積もっても当初の予算よりも1,300億円以上多く支出することになります。両国の防衛費からすれば微々たるものかもしれませんが、アメリカではトランプ大統領がお金持ちのビジネスパートナーに商品を売ってくれたと報じられました。

北朝鮮問題を抱えるなか、戦闘機購入の是非は賛否両論あります。この問題から浮き彫りになるのは、トランプ大統領は日本を良きビジネスパートナーとして見ているという点です。アメリカにいるとトランプ大統領のビジネスマンとしての外交力がよく分かります。

トランプ大統領は北朝鮮問題を大きなビジネスチャンスに変えて、アメリカに利益をもたらすという「逆転劇」を演じようとしているのではないかと考えられています。

トランプ大統領は、北朝鮮はアメリカを攻撃できないことを見越した上で、よいビジネスチャンスとして活用している気配がします。そういう意味でも、アメリカから見た日本は「お金持ちのビジネスパートナー」として見られているのです。

アメリカから見た中国

アメリカから見たアジアと言えば中国です。アメリカに住んでいると実感しますが、アメリカ人にとってアジアと言えば圧倒的に中国のようです。日常的に「ニーハオ」と声をかけられることは多く、アジアンスーパーマーケットと言えば中国の食材が大半です。

日本に対する印象は決して悪くなく、誰もが口を揃えて「日本は素晴らしい国だ」と言うほどです。少なくとも私の周辺で日本を悪く言うアメリカ人を見たことがありません。ただ単に、アメリカ人にとって「日本=アジア」という概念がないようなのです。多くのアメリカ人にとって「日本=日本」といった感じでしょう。

アメリカ政府は日本とは良好な関係を維持しつつも、経済や北朝鮮問題での結びつきを一層強化したいと考えている相手国は中国のようです。特に北朝鮮問題は、アメリカにとって中国の役割が非常に大きな意味を持つとされています。

トランプ大統領は就任後、G20や両国間の歴訪の際に何度も習近平国家主席と首脳会談を実施しています。その際にいずれも「北朝鮮への圧力」に触れています。アメリカからすれば、面倒な北朝鮮が騒ぎを起こさないように、中国が首の根っこを抑えておいてほしいというのが本音でしょう。

実際にトランプ大統領は中国に対し、北朝鮮へ石油の供給を停止することなどを打診しています。一方で、中国はあくまでも対話による解決を図ろうとしています。中国は、圧力をかけ続けると北朝鮮からの難民が自国へ流れてくることや、近所である北朝鮮から恨みを買いたくないというのが本音なのです。

ここでもトランプ大統領は「アメリカ第一優先」の信念を持っており、アメリカの力で中国を動かし、北朝鮮問題を封じ込めたとアメリカ国民にアピールしたいという狙いがあるのです。

日本との貿易赤字問題と同様に「やはりアメリカは強い」ということを自国にアピールするために中国をうまく使っているようです。これに対して中国は、あくまでも冷静かつ論理的にアメリカと対峙しており、アメリカを不機嫌にさせないように気を使っている状況が続いています。

これらのことから、アメリカから見た中国は「北朝鮮の見張り役」という様子が見てとれます。

アメリカから見たロシア

アメリカにとって、どうにも仲良くなれない相手がロシアでしょう。アメリカの日常生活でロシアを気にかけるようなことはほとんどありませんが、アメリカはロシアに対して何かと懐疑的な印象を受けます。

アメリカとロシアが抱えている問題は大きく分けて2つ。ひとつはアメリカ大統領選の際にロシアがサイバー攻撃を仕掛けたとされる件、もうひとつはシリア問題です。

2016年のアメリカ大統領選の時のサイバー攻撃は、ロシアがトランプ大統領を勝たせるために民主党陣営にサイバー攻撃を仕掛けたことを指しています。トランプ大統領は自身は関与していないものの、ロシアによる犯行が以前からあった事実を認め事態を収拾させようとします。


反トランプ派のメディアや政治家たちはいまもなお、トランプ大統領とロシアの関係を疑い、ロシアとの関係を怪しむ報道を繰り返しています。就任以降ずっとこじれているこの報道ですが、トランプ大統領はこれを「フェイクニュース」として憤慨しているのです。

両国間では、シリア問題もこじれています。2017年4月、アメリカ軍はロシアが後ろ盾のアサド政権軍の基地をミサイルで攻撃しました。さらに、シリア軍の飛行機を撃墜するなど攻撃を続けました。

アメリカがシリアのアサド政権を攻撃する理由は大きく分けて3つ。まずは、アサド軍が毒ガスを使用していることに対する制裁。ふたつめは、シリアと仲が良いロシアやイランに対する牽制。最後はシリア情勢を制圧すればシリアを支持するイランの石油や関連諸国を管理しやすくなるためとされています。

そもそもロシアとシリアの結びつきは強く、ロシアはソ連時代からシリアを始めとする中東諸国から多くの留学生を受け入れてきました。さらに、ロシア人と結婚したシリア人も多いため、ロシアにとってシリアは、多くのロシア人が生活している守るべき大切な場所なのです。

シリアには2、3万人のロシア系の人が生活をしていると言われています。プーチン大統領がシリアを擁護する理由は「同胞を守る」ということにあるのです。そんなプーチン大統領の思いをよそに、アメリカが介入して攻撃を始めたことに対しロシアは快く思っておらず、政治情勢の緊張というかたちで表面化しています。

アメリカからすれば正義をかざしていますが、ロシアからすればいい迷惑という関係になっています。アメリカから見たロシアは「正義に水をさす存在」と言ったところですが、ロシアにはそれなりの言い分があるのでした。

まとめ

アメリカから見た日本、中国、ロシアをごく簡単ですが紹介しました。アメリカにとって日本はビジネスパートナー、中国は北朝鮮の見張り役、ロシアは敵ではないもののヒーローを邪魔する存在といったところでしょう。

アメリカは正義をかざし、正義の下であれば許されるという風潮があります。政治や経済においても正義を盾に交渉を進める国ですので、アメリカの言うところの正義という主張を見極めることが大切でしょう。

本記事は、2018年2月25日時点調査または公開された情報です。
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