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【警察官としての始めの一歩】「警察学校」の初任科教養について

都道府県警察本部の警察官採用試験に合格すると、警察官として配属する前に警察学校に入学し、警察官としての基礎を学びます。ここでは、警察学校の初任科教養におけるスケジュールや学ぶ内容、行事について解説しています。

2018年05月14日更新

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目次
警察学校と初任科教養について
警察学校初任科教養の一日のスケジュール
初任科教養で行う授業について
初任科教養で行う訓練・演習について
警察学校の行事について
まとめ
【警察官としての始めの一歩】「警察学校」の初任科教養について

警察学校と初任科教養について

警察学校とは

警察学校とは、各都道府県に設置されている警察官や警察職員の訓練や教育を行うための施設です。「学校」という名称がついていますが、小学校や中学校などの「学校教育法」に定められた教育施設ではなく、警察官養成のための職業訓練校のひとつという扱いですので、警察学校に入校中でも地方公務員法に基づいた給料が支払われます。

警察学校は全寮制なので、平日の外出及び自宅通学は禁止されています。ただし、土日は休日のため届け出を出せば、土日の外出や外泊は許可されています。

警察学校で行っている教育・研修には、警察官としての始めの一歩を踏む「初任科教養」のほか、巡査部長や警部補、警部の昇任試験に合格すると受ける「幹部研修」や捜査やSPなどの警察官の中でもスペシャリストになるための「専門教養研修」などがあります。

初任科教養とは

警察官採用試験に合格すると、まず警察学校に入って警察官としての基礎を学ぶための「初任科教養」を受けます。初任科教養の期間は、採用試験方法によって異なり、大卒程度採用者なら6ヶ月、大卒以外は10ヶ月となっています。

初任科教養の入校時期は、4月・10月の年二回以上設けている警察本部がほとんどです。警察官の採用人数は各都道府県によって異なりますが、特に採用人数の多い警視庁警察学校では一年で7回(7期)2,000人以上の警察官を受け入れています。

警察学校初任科教養の一日のスケジュール

6:00 起床・各部屋にて点呼後朝食(朝食は8時までに済ませる)
8:00~8:30 寮から学校へ移動後、ホームルーム
8:50~11:45 1時限目、2時限目の授業
11:45~12:45 昼食休憩及び授業準備
12:45~17:45 3時限目~5時限目の授業
17:45~ 自主トレーニングや部活動などの課外活動、寮の部屋の清掃、夕食や入浴など
23:00 消灯

初任科教養で行う授業について

座学

一般教養や警察官としての任務遂行のために必要な法律学などを、教室内の講義形式で受ける授業を「座学」と呼びます。

▼学科
刑法を始め、警察法や行政法、民放など警察としての職務執行の上で必要な法律の知識を学びます。

▼実務
刑事や警備、鑑識や交通などの警察活動に関する分野を学びます。

術科

警察学校の敷地内には、「術科棟」と呼ばれるプールや柔道場、剣道場、逮捕術および合気道専用道場、射撃場、体育館などの実技を行うための体育施設があります。この術科棟で行われる実技訓練のことを、「術科」と呼びます。

▼武道
受動、剣道、合気道などの武道を学びます。男性なら柔道か剣道、女性は柔道か剣道、または合気道の選択制になっています。警察官として採用される人の中には、既に武道の経験者や有段者もいますが、ほとんどの学生が初心者のため、武道の礼法から基本技まで丁寧な指導が行われます。

また、警察官ならではの専門的な武道である「逮捕術」も学びます。防具を装備して、徒手や警棒などで攻撃を行います。逮捕術は、相手を傷つけるのではなく制圧するのを目的としているので、与えるダメージも必要最小限にしなければいけません。打つ・突き・蹴り・投げ・制圧の5つの技術を学び、犯人を確保する時には、自分はもちろん相手も怪我をしないように心がけます。

さらに、「事案対処」として、実際に相手が襲い掛かってきた場面を想定して行う逮捕術もあります。自分よりも大柄な相手を制圧する、刃物や鉄パイプなどを持っている、などのケースを想定して、適切な逮捕術で制圧を行います。

▼教練
警察官の正しい敬礼の方法や、気を付け・回れ右・休めなどの基本的な動作、足並みをそろえての行進、拳銃や警棒などの装備の点検方法などを学びます。部隊で行動することも多い警察官の、統率を取るために必要な基本動作を学びます。

▼情操教養
華道や茶道、書道などの情操を育む術学も行われています。

初任科教養で行う訓練・演習について

警ら訓練

警察学校の中では、学生自らが安全のために交代制で学校内の警ら活動を行っています。無線機や警棒、防刃チョッキなど拳銃以外の実際の警察官の装備を身に着けて、校内をパトロールします。通常2~3名で不審なところのチェックや侵入者の有無の確認、正門では来訪者がいた場合に案内も行い、万が一異常があればすぐに無線で連絡を取ります。

警備訓練

大規模な暴動やテロが起きた時には、警察組織では機動隊員が出動して現場の対応に当たります。警察学校では、ヘルメットやプロテクターを身に着け、大楯を携帯して任務にあたるための大楯操法など、機動隊員としての基本的な動作を学ぶための警備訓練を行っています。

警備訓練では、暴徒からの投てき(何かを投げて攻撃してくること)に対処する訓練や、デモ隊が集団で接近してきた時に阻止する訓練のほか、大楯を携帯したままランニングをしたり、災害発生時には被災者の救出も任務に加わるため、人間の大きさほどの麻袋や人形を抱えての救出手順確認や訓練を行ったりもします。

射撃訓練

日本の警察官は拳銃の携帯が認められています。自分自身や市民を守るために持つ拳銃は、使い方を間違えると自分や相手を傷つけるだけでなく、最悪死に至る危険性も持っています。よって正しい取り扱いと管理ができるように、警察学校でも拳銃の使用方法を厳しく・正しく指導しています。

射撃訓練は、術科棟にある射撃訓練場で行われます。教官は「拳銃安全規則」にのっとり、丁寧かつ慎重な拳銃の取り扱い方法を指導します。警察組織で使用されている拳銃にも幅広い種類がありますが、警察学校では使用するのは基本的な回転式の拳銃です。イヤープロテクターと呼ばれる耳当てをつけて、構え方や薬きょうの拳銃への装填方法、遅撃ちや高撃ちなどの射撃方法、安全確認を行った上での拳銃の収納などを学びます。

射撃訓練では、「武器を構えた犯人に対して威嚇射撃を行う」など、実際に拳銃を使用する場面を想定して行う「実践実射訓練」なども行います。実践実射訓練では、拳銃を単に撃つだけでなく、「威嚇射撃を行う前に犯人に何と声をかけるか」など、実践で冷静な判断ができるようなシミュレーションも行います。さらに、現場では「犯人を追跡した後に射撃する」という状況も生じるため、実際に学生を射撃場内で走らせたり、腕立て伏せをさせたりして疲労を蓄積された状態で射撃を行う訓練も行います。

ほかにも、弾を装填せずに絡内で一連の動作の確認を行ったり、発砲のタイミングや狙う個所が画面に映し出され、より的確な訓練ができる映像射撃シミュレーターを使った模擬射撃を行ったりしている警察学校もあります。射撃訓練後は、使用後の拳銃を分解して残った火薬を専用の清掃器具を使って取り除くなどの拳銃の整備方法も学びます。

職務質問演習

警察官は、「警察官職務執行法第2条1項」を根拠に、犯罪の未然防止や進行中の犯罪の発見のために職務質問を行います。職務質問を行う際には、警察官の判断力や観察力のほかにも、一般市民の協力が前提となるため、職務質問を行う相手に対して配慮をするなど、適切な職務質問を行うための演習も警察学校で行っています。

警察学校の配置されている都道府県警察本部によって異なりますが、職務質問演習は、初任教養の中でも実技の総合試験のような位置づけにあるため、卒業が近い時期に行われることが多くなっています。

職務質問演習は、職務質問対象者を教官が行い、学生は制限時間内に対象者への職務質問の実施と犯罪予防・発見に繋がる情報を得なければいけません。なお、職務質問は用意された模擬交番の中で行われますが、オープンスペースのため職務質問の内容や学生の対応などを、全員が見られるようになっています。

二輪車訓練

全国の警察学校の中には初任科教養の中で二輪車訓練を行っている所もあります。例えば、大阪府警察学校では、管轄区域が広い警察署や交番が多く、現場に駆け付ける時には機動性を重視してパトカーではなく二輪バイクを使用することが多いため、現場に配属になってもすぐに二輪バイクを取り扱えるように、初任科教養の中で二輪車訓練も行っています。

初任科教養で使用する二輪車は、交番にも配備されているホンダ・スーパーカブです。原動機付自転車のため、普通自動車運転免許で運転できますが、スーパーカブは原付でありながらマニュアルクラッチバイクのため、オートマチックの原付とは異なった操作を学ぶために訓練を行います。

二輪車訓練では交通機動隊など白バイの乗務経験を持つ警察官が教官として指導を行います。ヘルメットの着用方法やミラーの位置合わせ、ウィンカーの出し方など基本的な操作に加えて、通常走行からスラローム、急制動、雨天走行など幅広い運転技術を学びます。また、安全運転を心がけるだけでなく、警察官として市民の模範となる運転をしなければいけないので、左右折の時の巻き込み確認や車両を後ろに下げる時の安全確認の徹底も行います。二輪車と自動車の運転で視点の違いによる注意や、日ごろのバイクのメンテナンスの大切さや方法まで、幅広く学びます。

二輪車訓練終了後は、学生が各自で二輪車を車庫までおしていき、車庫内では二輪車に異常がないかなどの安全確認を行い、撤収して訓練が終わります。

介護実習

警察官はご高齢の方や障害を持つ方へのサポートや、関わる機会も多くありますので、介護実習を初任科教養の中で行っている警察学校も近年増加しています。

介護実習の内容は警察学校によって異なりますが、ブレーキ方法や足置きの動かし方、段差を乗り越える時の動作や畳み方、展開の仕方などの車いすの操作方法や車いすを使った実習、障害を持つ方の役と介助役の二人一組に分かれて、警察学校内を実際に介助しながら移動していく実習などが行われています。

また、実習だけでなく高齢者介護施設や障害者施設で実際に働く職員の方や、障害者を持つ方本人及びそのご家族の方からの話を聞く座学の授業も設けられています。

警察学校の行事について

入校式

警察学校に入校する時に行われるのが入校式です。すでに入校式前から寮生活に入っている警察学校も多いですが、本格的な警察学校のスタートはこの入校式からです。

入校式は警察学校内の講堂にて、辞令の交付や学生代表の服務の宣誓、参列した父兄への挨拶などが行われます。

団結マラソン

警視庁警察学校独自の行事です。入校式当日に必ず実施されている行事で、同期と同教場の仲間たちとの団結力を深めるために行われています。警視庁警察学校の川路広場をスタート地点とし、学校の内周を4周半まわります。1周が約1kmの全工程5kmのマラソンです。

声をあげて足並みをそろえて走りますが、途中住宅街を抜ける時には近隣住民の迷惑とならないように声を上げません。また、タイムやスピードを競うのではなく、あくまで全員が一緒にゴールすることを目的としています。

初任科術科大会

警察学校の初任科教養で行っている逮捕術、柔道、剣道、合気道を競技種目として教場(クラス)ごとに技術を競い合うのが初任科術科大会です。どの期に入校しても必ず1回は大会に参加できるように、夏期・冬季の年に2回実施されている警察学校が多くなっています。なお、特定の武道に秀でている学生は、警察学校卒業後も特別訓練員(通称トクレン)として、武道技術を磨き続けられます。

体育祭

教場対応方式で体育祭を行います。警察学校によって開催時期は異なり、5月ごろの春季または9月の秋季に行われます。

学校祭

文化祭や学園祭に当たる行事です。教場ごとの課題研究や発表が行われます。

卒業式

初任科教養と警察学校での生活を締めくくる卒業式も開かれます。卒業式の内容も各警察学校によって異なります。

▼卒業式
講堂で行われる卒業式です。国歌斉唱や卒業生の氏名点呼、卒業生代表による卒業証書の授与、警視総監賞および警察本部長賞や学校長賞などの表彰、学校長の式辞、警視総監・警察本部長の訓示、来賓の祝辞、卒業生の答辞などが行われます。

▼卒業視閲
警察学校のグラウンドで通常の点呼や警察手帳、警棒などの装備品の点検を行い、警視総監や警察本部長の視閲のもとで行進を行う、卒業視閲を行います。

▼配置辞令交付式
卒業式の中で行う警察学校と、卒業式後に昼食をはさんでから配置辞令交付式を行う警察学校があります。卒業生が実際の警察官としての配置先と辞令を受けます。

▼執行実包貸与式
警察官として配置される卒業生ひとりひとりに対して、拳銃の弾薬を貸与する厳粛な式です。教官からの言葉とともに一人ずつに弾薬の入った実包を手渡し、警察官になった責務の重さを再確認する式でもあります。

卒業式を終えた卒業生たちは、そのまま配置先に向かう車両に乗って、警察官としての職務をスタートさせます。

まとめ

警察学校の初任科教養についてご紹介しました。市民の安全と平和を守るための職責を持つ警察官には、特殊な技術や知識のほかにも、市民の模範となるべき態度や心構えも求められます。また、実際に初任科教養について聞くと「厳しかったが充実していた」と答える警察官がほとんど。警察官としての基本を学ぶだけでなく、警察官としての職務を続けていく上でも初任科教養で出会った同期との絆は重要な役割を果たしているのでしょう。

(文:千谷 麻理子)

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