はじめに
小学校で正規雇用(フルタイム)で働く、女性の「栄養士」によるキャリア体験談レポートです。
ちなみに、その方は、調理師、栄養士、管理栄養士、食品衛生監視員・食品衛生管理員(任用)、食生活アドバイザー2級、登録販売者の資格を持っているそうです。
「栄養士」を目指した理由
小さい頃から食べることが何よりも好きで、食に携わる仕事がしたいと思っていました。
また、食事は誰もがみんな一生涯続けなければならない行為で、幅広い年齢層の方々から必要とされる人間になれると考えたからです。
「栄養士」の仕事内容について
小学校の給食業務を教育委員会からの委託を受けて、給食提供業務を行う給食会社で働く栄養士の仕事は、主に、学校側の栄養教諭の先生との献立のすり合わせや給食の調理提供業務全般、衛生管理全般です。
献立のすり合わせというのは、献立自体は栄養教諭の先生が決めているので、献立作成はしませんが、シフトの都合や調理動線の都合、また衛生管理上の都合によって、その献立とその献立は難しいとか危険だとか、そういった意見の交換や相談をしたりします。
しっかりとした意見が言えず、無理な仕事を受けてしまうと、給食当日に提供遅れや事故の可能性が大きくなるので、すり合わせの時間は、調理以上に大切です。
調理提供業務については、作るだけではなく、納品から下処理、洗浄、切裁、調理、配缶、配膳、下膳、調理器具の洗浄、食器の洗浄、在庫管理など、給食を提供する上で必要なこと全てです。
衛生管理については、社員を始め、パートさんへの衛生管理指導などです。例えば、手の洗い方や次亜塩素酸の希釈の仕方、アルコールスプレーの効果的な使い方、手袋着用の意味、食中毒の原因など、日々の指導にプラスして、定期的な勉強会の開催などをします。
「栄養士」の1日の仕事の流れ
4時30分:起床
4時45分:家を出る
5時10分:電車に乗る
6時10分:仕事場に到着
6時15分:身支度しながら納品作業
6時30分:納品作業しながら下処理
7時50分:下処理終了、主調理室へ
7時50分:野菜の洗浄、出汁ひく
8時00分:野菜の洗浄しながら切裁
9時00分:パートさん入り、朝礼(1日の流れ確認、アレルギー確認、担当確認、衛生チェック)
9時15分:切裁しながら、調理(加熱、冷蔵)
11時30分:検食
11時40分:配缶
11時55分:配膳
12時10分:調理器具の洗浄
12時30分:休憩、昼食
13時00分:下膳しながら、残菜確認
13時10分:下膳しながら食器の洗浄、食缶の洗浄、しまう
14時30分:パートさんあがり、厨房の片付け、水きり
15時00分:翌日の献立確認、アレルギー確認、在庫確認、備品確認
16時00分:打ち合わせ
16時30分:書類仕事
17時00分:終業
18時30分:帰宅
「栄養士」の給料・残業・有給休暇について
私の場合ですが、月給は19万円(手取り17万円そのうち交通費1万円含む)で、ボーナスは年2回、合計40万円程度で、年収は230万円程度です。残業代は一切ありませんでした。
有給休暇は、取りにくく、病気や手術・入院などでしか有給休暇が取れないです。しかし、小学校が長期休みなどで給食提供がないときには、強制的に有給を消化させられます。
この仕事で、働いているときに困ったこと
働いているときに1番困ったことは、人間関係です。
パートをしてくれているおばちゃんたちは、皆さんそこそこベテランで、新入社員で入った社員の私よりも仕事ができたので、私みたいな新入社員の小娘栄養士なんか、すごく下に見られて言うことを聞いてくれませんでした。
また、社員の上司は調理人気質のおじちゃんで、私は気に入られて可愛がってもらいましたが、上手く対応できない先輩社員もいて、板挟みになっていろいろと苦労しました。
この仕事や職場でよかったこと
働いている当時は、恵まれているなんて一瞬たりとも思いませんでした。
ですが、今振り返ってみれば、小学校の長期休みのときには有給休暇の消化ができましたし、有給休暇以外の日には、他の小学校や中学校、保育園、老人ホームなどの給食業務にもヘルプという形で入って、様々な調理の仕方や技術、衛生管理の仕方などたくさん勉強させてもらいました。
そしてなにより、たくさんの人に出会うことができ、知識・技術・人、全てを私の経験値・財産にできたことは、とても恵まれていたと思います。
「栄養士」の仕事エピソード
毎日毎日、目の仕事に追われ時間に追われて、給食を食べてくれる子供たちへの優しさや愛情、思いやりを忘れかけてしまって、やっつけ仕事になっていた頃でした。
もうすぐ卒業する生徒さんの保護者の方から給食室にお手紙をいただきました。その生徒さんは食物アレルギーがあって、ちょっと複雑なアレルギー対応をしていました。普通の小学校なら事故のリスクもあるし対応しきれないからと、お弁当持参にするようなケースでした。
作り手からすると、その生徒専用のアレルギー食を別に作る手間やミスが生徒の死に直結してしまう緊張感、提供する責任など負担でしかありませんでした。
保護者の方からいただいた手紙には、6年間アレルギー対応をしてくれた給食室への感謝の言葉とともに、その生徒さんが疎外感を持たずに、みんなと同じように食べることができた給食が大好きだったこと、よく家でも給食の話をしていたこと、アレルギー給食を家庭でも参考にしていたことなどが丁寧に書かれていました。
その手紙を読んだとき、私は嬉しくて感動したのと同時に、自分が情けなくて涙してしまいました。給食を作って提供することで精一杯で、その先の1番大事な食べてくれる子供たちのことを考えられてなかったことに気づかされ、自分が情けなくなりました。どんなに忙しくても、この気持ちを忘れないようにしようと決めました。
「栄養士」の職場恋愛について
社員の割合的には男女半々ですが、パートさんは圧倒的に女性が多いので、現場では女性過多ですし、既婚者多めなので、職場恋愛はそんなに多くはないと思いますが、普通にありました。
エリアマネージャーの旦那さんと調理員の奥さんとか、チーフの旦那さんとパートの奥さんとか、同じ現場勤務はありませんでしたが、私の知っている限りでは結婚している方々がいました。
私も同じ現場の先輩社員さんとお付き合いしてましたし、お互い転職した現在でもお付き合いしています。
同じ現場で同じ大変さを経験すると、仲良くなりますし、自分がいっぱいいっぱいのとき助けてくれると、大したことない人で、大したことない事でも、良く見えるものです。
職場以外で出会いはよっぽど行動的でない限り、少ないです。仕事でヘトヘトですし、まして食べ物の臭いが染み付いている体では、仕事帰りに遊べません。
普段朝が早いぶん、休日はオシャレして遊びに行くより、寝ていたいと思う人の方が多いと思います。
まとめ ー「栄養士」を目指す方へメッセージ
しっかりと周りに目を向け、自分を客観視できれば、日々成長ができる、やりがいのある仕事です。
頑張ってください。
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