トランプ支持者が続出と集結するSNS「Parler」とは?

Parlerとは、2018年9月に開設されたソーシャル・ネットワーキング・サービスのことで、ツイッターに代わるSNSとして、おおよそ900万人に利用されているサービスです。トランプ大統領のツイッター・Facebookアカウント凍結などをうけて、注目をさらに集めています。

*本記事は日本時間1月9日午前10時に執筆した情報です。

はじめに

2021年1月6日、アメリカのワシントンD.C.につめかけたトランプ大統領の支持者は議事堂を占拠し、選挙人投票の開票作業を妨害する最悪の事態になりました。(警官1名を含む5名が死亡)

前代未聞の事態を受けてツイッターはトランプ大統領のアカウントを一時凍結した後に永久停止、フェイスブックは政権移行完了までアカウント停止の措置を取りました。

インターネット上での主張を繰り返してきたトランプ大統領ですが、ここにきて情報発信の場を奪われる事態に直面しています。なかでも、ツイッターのアカウント永久停止措置は大きな打撃と言えるでしょう。

そんななか、ひとつのソーシャルメディアが注目を集めています。今回はトランプ支持者から支持を集めている「Parler(パーラー)」について、アメリカ在住の筆者の体験談を交えて紹介します。

Parlerの概要

はじめに、Parler(パーラー)について基本的なことを見てみましょう。

Parlerとは?

Parlerとは、2018年9月に開設されたソーシャル・ネットワーキング・サービスのことで、ツイッターに代わるSNSとして、おおよそ900万人に利用されているサービスです。(2021年1月時点)

Parler最大の特徴は「検閲なし」のSNSということです。公式サイトのガイドラインによると人種、性別、年齢、性的嗜好、宗教、政治、食などすべてのユーザーを平等に扱うとしており、ツイッターやフェイスブックのように発言に対する「警告ラベル」がありません。

「言論の自由」が確保される場所として、トランプ大統領の支持者をはじめとする人たちが利用しているのがParlerです。

Perlerといったタイピングミスや、類似サイトもでているようで、この点も注意が必要です。

Parlerが広まった背景

ParlerはアメリカのApp StoreとGoogle Playストアの無料アプリのダウンロードランキングで1位になるほど急激に利用者の数を増やしており、その大半がトランプ大統領の支持者と言われています。

この風潮は、大統領選の不正選挙を巡ってツイッターやフェイスブックが警告ラベル(ファクトチェック)を頻発するようになり、自由に発言できる場がなくなったと感じるユーザーが増えたためと見られます。

事実、トランプ大統領が郵便投票による不正行為や不正選挙に言及した投稿には必ず「警告ラベル」が付けられる状態が続いていました。

これまでトランプ大統領はツイッターの対応に不満を露わにしてきており、ツイッターやフェイスブックなどのSNS企業を法的に締め付ける報復措置(セクション230)に乗り出していました。

そして、トランプ大統領の支持者らは、より自由な発言ができる場所を求めてツイッターからParlerに乗り換えるようになったのです。

Parlerで起きていること

急激に利用者を増やしているParlerでは、トランプ支持者をはじめ保守的な共和党議員らによる自由な発言が広がっています。

Parlerらしい事例として、ツイッターでは即時削除された、トランプ大統領による動画メッセージが視聴可能(https://video.parler.com/BH/n1/BHn1egLX0DFX.mp4)です。この動画では議会に侵入した人たちのことを支持するような発言が含まれており、ツイッターやフェイスブックでは「侵入を正当化するもの」として規約違反を理由に削除されています。

他にも「#tweixt」と呼ばれるハッシュタグが目立ちます。このハッシュタグは、ツイッターの利用を控えることを意味するものとして使われてきましたが、Parler上では発言を制限するツイッターに抗議する意味や、ツイッターからParlerに乗り換える意味で使われています。

また、Parlerの機能として「インフルエンサー」と呼ばれるバッチ制度があり、根拠が乏しい主張を繰り返している人であっても申請条件を満たすことでバッチがもらえます。つまり、Parler上では不正確な情報が影響力を持つ人(インフルエンサー)によって拡散してしまいやすい訳です。

Parlerでインフルエンサーのバッチを持つ人は、共和党議員や保守的政治評論家、そして、熱狂的なトランプ支持団体プラウドボーイズ(と見られる団体)(https://parler.com/profile/theproudboys)などで、これらの投稿では民主党に批判的なコメントやトランプ大統領を支持する内容が目立ちます。

Parlerではツイッターと比較して、発言が制限されることなく自由な投稿が行なわれていることがよく分かります。一方で、根拠に乏しい内容であっても簡単に拡散され続けていることも事実です。

Parlerのファクトチェックは?

自由な発言が許されるParlerですが、ガイドラインは設けられています。ただし、ツイッターやフェイスブックと異なる点は「ガイドライン違反か否かはユーザー陪審員がおこなう」ことです。

例えば、疑わしい投稿や規約違反に対しては、ユーザーの中から選ばれた5名のうち4名が同意すれば、規約違反として認定される仕組みです。つまり、Parlerは直接関与しないのです。この点がツイッターやフェイスブックの一方的な検閲と大きく異なります。

この制度は、9名で構成される最高裁を模しており公平性が高いとされています。ユーザーの間では、ツイッターやフェイスブックによる検閲は不透明な部分が多く、親トランプ派に厳しいと言われているため、ツイッターからParlerに乗り換える人が増えているのです。

ちなみに、Parlerではツイッターよりも厳しい本人確認を実施しています。パスポートや運転免許証の写真提出に加え、数回のまばたきを必要とする写真提出が必要です。これをクリアすれば「本人確認済みのバッチ」がもらえる仕組みです。

トランプ大統領はParlerにはいない

トランプ支持者を中心に注目を集めているParlerですが、肝心のトランプ大統領は利用しているのでしょうか?実は、トランプ大統領の利用を巡ってSNSらしい騒動がありました。

トランプ大統領は1月6日に起きた議会占拠事件の翌日、動画メッセージを通じて「速やかに円滑で秩序ある政権移行を誓う」と述べ、実質的な敗北宣言をしました。

同日、フェイスブック上にトランプ大統領のアカウントと見られるParlerのスクリーンショットと「ツイッターとフェイスブックは私の発言を奪った。これを一気に拡散してくれ」というコメントが投稿されました。

Parlerユーザーの多くはこれに反応して「大統領を見つけた!」や「(アカウント凍結から)どれくらいの時間がかかるか考えていたとこだ」などとコメントが寄せられましたが、後にトランプ支持者が2020年7月に作成した偽アカウントということが判明しています。

2021年1月9日時点、トランプ大統領はParlerのアカウントは作成していません。しかし、2018年12月にはトランプ支持者によるアカウント「@teamtrump (https://parler.com/profile/TeamTrump/posts)」が開設されており、Parlerのインフルエンサーバッチを取得し、これまでのところ270万人以上がフォローしています。

この騒動では、Parlerユーザーはツイッターのアカウントを永久停止されたトランプ大統領の登場を待っていることが分かった反面、偽情報が簡単に広まってしまうことが露呈しました。

Parlerは普及するのか?

2020年11月以降、Parlerの利用者は数を伸ばしているものの、ツイッターの3億3,000万人、フェイスブックの20億人には到底及ばない状態です。

また、利用者の多くはトランプ支持者、保守的思想、そして大統領選の陰謀論を信じる人など、偏りが否めません。アリゾナ州で暮らす筆者の周辺では、Parlerを知っている人や利用している人はおらず、まだまだ知名度も足りていないようです。

しかし、ツイッターのアカウントを永久停止されたトランプ大統領が発言の場を求めてParlerを利用するかどうかが注目されています。

仮に、トランプ大統領がParlerを利用するようなことになれば「共和党はParler、民主党はTwitter」の構図ができ、ここでもアメリカの分断が生じるかもしれません。

まとめ

以上、「トランプ支持者が続出と集結するSNS『Parler』とは?」でした。

1月6日の議事堂侵入事件を機にして、トランプ大統領のSNSは大幅に制限をかけられるようになりました。トランプ大統領は2024年の大統領選に向けて、言論の自由が保証されているParlerに乗り換えるかもしれません。

アカウントが永久停止される前のツイッターには「素晴らしい仲間たちとの旅は始まったばかりだ」と投稿しており、まだまだ引き下がる様相は見せていません。

*追記

2021年1月8日18時(アメリカ西部時間)現在、ParlerはApp Storeではダウンロード可能。Google Playでは削除されているようなので注意してください。

アメリカの情報サイトinputmagによると、Parler上で「過激派グループが選挙人投票を止められなかった場合に備えて次の行動を計画している」として、Parlerを注視していることを伝えています。

また、同サイトによると、App Storeを運営するAppleは「24時間以内にParlerをチェックまたは削除する」ことを公表しています。

 

<参考>
APPSTORE : https://apps.apple.com/jp/app/parler/id1402727988
Google Play: https://play.google.com/store/apps/details?id=com.parler.parler&hl=ja&gl=US

本記事は、2021年1月10日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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