日本の自殺者数の調査について
日本では、厚生労働省の「自殺対策推進室」と、警察庁の「生活安全局生活安全企画課」が国内の自殺の状況の調査と報告を行なっています。
2020年の自殺の状況については、下記の資料で公表されています。
▼参考URL:警察庁|令和2年中における自殺の状況(外部サイト)
2021年の自殺者数速報値では「自殺者数が2年ぶりに減少」したことが公表されました
2021年中の自殺者について、2022年1月に厚生労働省が速報値が発表され、日本での自殺者は2年ぶりに減少したことが明らかになりました。
具体的には、2021年の自殺者数の合計は2万830人であり、コロナ禍によって11年ぶりに増加した前年の2020年より251人少なく、2年ぶりに減少したようです。ただし、その減少率は1.2%にとどまっているので、横ばいという見方もできそうです。
1年間で約2万人というと、1日あたりでは約55人の方が自ら命を絶っていることがわかります。減少に転じたとはいえ、衝撃的な数字ということに変わりはないかと思います。
▼参考URL:朝日新聞|2021年の自殺者数、微減の2万830人 減少は2年ぶり(外部サイト)
2021年の自殺の原因のワーストは「生活苦」…コロナ禍が影響
2021年の自殺の主な原因について、厚労省が1月〜11月について統計をもとに分析したところ、最も多い原因・動機(複数計上あり)は、「経済・生活問題」で3038人だったようです。これは前年より114人増加しており、さらにこのうち「生活苦」を原因としている件数が990人(前年比98人増)と目立っています。
続いて、「健康問題」を原因としたのが8808人(前年比618人減)、「家庭問題」を原因としたのが2877人(前年比6人増)、仕事疲れなどといった「勤務問題」が1732人(前年比22人減)でした。
自殺者の年代別では、50歳代が最も多く、前年より161人増えて3306人に上ったようです。
読売新聞の記事によると、自殺防止に取り組む民間団体が、「コロナ禍前に比べ、生活困窮を訴える人からの相談が約3割増えた」と話しており、コロナ禍が自殺の危機につながっている可能性が指摘されています。
▼参考URL:読売新聞|昨年の自殺者、原因「生活苦」が増加…長引くコロナ禍が影響
日本の自殺者数は先進国(G7)の中でトップ
世界の国々と自殺率を比較すると、2016年のWHOのデータでは、日本は第7位で、G7(先進7カ国首脳会議)の国の中では最も高い比率となっています。
世界で最も自殺率が高いのはロシアで、10万人あたり31人、男性に限っては約56人と発表されています。
都道府県別の「自殺死亡率」で最も高いのは山梨県
2021年の人口10万人あたりの自殺者数を示す自殺死亡率は、全国では16.5人でした。都道府県別では、山梨県が23.7人で最も高く、二番目に青森県の23.6人、新潟県の21.2人が最も多い三県となっています。
10万人あたりの自殺死亡率を性別で比較すると、男性が22.5人、女性は10.8人で、男性の方が自殺者数は多いことがわかります。
自治体による対策:埼玉県の啓発動画
このような深刻な状況を受けて、自治体が自殺防止の啓発動画を公開する動きも広がっています。埼玉県の動画では、自殺によって周囲の人をどれだけ悲しませることになるのか、また周囲はどのように自殺のサインに気が付いたら良いのかなど、わかりやすく伝えています。
まとめ
このページでは、日本の「自殺者数」について、コロナ禍と関連して自殺は増えたのか?という点にも着目して解説しました。
日本の自殺者は先進国の中でも最も多い傾向にありますが、2020年についてはさらにコロナ禍が原因と見られる自殺が増えていました。しかし2021年については、微減に転じています。
このまま自殺者が減少することが望まれますが、自殺の原因として「生活苦」が上位にきていることから、コロナ禍の影響が続いている現状では、自殺の原因は取り除けず、より一層の自殺予防対策が必要な状況が続いています。
自治体ごとの取り組みの中には、YouTubeでわかりやすい啓発動画を公開するなど、さまざまな工夫が見受けられることもご紹介しました。
コメント
コメント一覧 (27件)
2021年と2022年の自殺者の数がそれほど変わりませんでした。やはりコロナウイルスによる生活苦の問題が主な自殺の原因になっているのだと認識しました。
50代の方が多いこと、G7の中でトップだったことは知りませんでした。人数が増えないことが一番良いのですが、身近にも考えている方がいるかもしれないと注意して少しでも力になれればと思いました。
自殺者が減ったとは聞いていましたが、そこまで減っていないことが意外でした。自殺者の多い県も気になってたのでよかったですが、少ない県も書いてもらえるとよかったです。
とても辛い記事ではあるが、コロナ禍と向き合うためにも自殺者が減少したことは希望の光が見えてきたと感じる。今回、参考資料の警察庁「令和2年中における自殺の状況」を拝見したが数字で見ると衝撃的でした。こんなに多いのかと驚くとともに日本は生きにくい国なのかと切なくもなりました。これを知ることで明日を生きることの意味を本当に考えさせられました。
普段、ニュースで自死を見るのは有名な方ばかりだが、実際は一般の方も自死をしているというのは理解はしていたが、1日あたり55人という具体的な数字を見て衝撃だった。
コロナ禍になったことでの自殺者は増えておらず、ほぼ変わらないことを知りました。コロナ禍でおうち時間が増えたことで鬱のような感じになり自殺者が増えていると思っていたため、そうでないことを知ることが出来てよかったです。
コロナの影響かニュースで芸能人の自殺者について取り上げられる頻度が多くなり、やはり自殺者が増えているのかな、という何となく抱いていた疑問が数字として客観視できたのでためになった。
日本は先進国で一位というのには驚いた。生活苦で、真面目で相談できる人がいない人ほど自死を選択しているような気がする。そもそも、相談しないというのが問題。他国では生活苦に対してどう対応しているのか知りたい。また、病気の苦しみで亡くなっている人も多いとは知らなかった。延命治療ばかりするのはどうかと思う。安楽死のことについても知りたい。
コロナ当初、自死が増加した事は認識していました。しかし僅かながら減っていた事は知りませんでした。ただコロナをきっかけとして生活難になり、自死を選ぶ人は今後もいると思います。物価高等さらに生活苦となることが予想される日本。自死に追いやられる前に色々と手を打つべきだと考えさせられます。日本が先進国の中で自死が多い国であった事は初耳で、ショックでした。
コロナにより生活苦が原因で自殺した人が増えました。今はすこし人数は落ち着いてきているようですが、日本が先進国のなかで最も自殺者が多い国だというのは初めて知りました。日本人は真面目すぎる人が多いため、生活が苦しくても周りの人に相談できず、問題を抱え込む人が多いのかもしれないと思いました。
自殺者が年間2万人という数字に驚きました。
過去に友人の父親が自殺して通夜と葬儀に出席したことがあり、家族の方々のやるせなさ、無念さを目の当たりにしました。自殺は本当に周囲の人々の心をえぐり取ります。
家族や友人を大事に、そしてなによりもまず自分を大事にしていかなければと思いました。
今もなおコロナに脅かされている中で、目を引くタイトルの記事でした。
実際の自殺者のデータを知り衝撃でしたし、今後も現状を発信していくべき内容だと思いました。
コロナ禍において、自殺した人が減った事は素晴らしい事だと感じました。きっとその背景にはテレワークや出社しなくても良かった点がストレスの軽減に繋がったのでしょう。生活困窮者がいまどのくらいいて、どういう生活を送っているのかもっと知りたいと思いました。
記事内の情報についてしっかりと出店が明記されており、信頼のできる情報でありました。現在の日本では一日に50人以上もの人が自殺でなくなっているという事実を知ることができました。また、経済苦で自ら命を絶つ人が多いということを知ることができてよかったと思いました。
コロナが流行ってきて貧しくなる人が増えてくるが、自殺する人が増えるっていうのはとても残酷。
仕事がないというのはあまりにも辛すぎる。自殺もコロナもなくなって欲しい。
コロナ禍により大きく生活様式が変わりました。仕事内容によっては、かなり厳しい業界もあったのではないかと想像に難くないです。コロナによる自粛生活でより孤立しやすくなり、自殺者が増えたのではと思いましたが、実は減っていることには驚きました。しかし、先進国での自殺者数はまだまだ多いので油断はできないのだなと思いました。
新型コロナの流行から自殺者が減ったという発表には安堵しました。ですが、生活の困窮や著名人の自殺など心を不安定にさせる話題は尽きません。私の周囲では病気(コロナ以外)によって亡くなった方も多く、外に出られないことで生活習慣、健康管理ができず様々な病気が引き起こされている気がします。
山梨県が自殺死亡率全国1位というのにびっくりしました。地域性や理由をもっと分析し対策することで、少しでも自殺を減らせたらと思います。昨今の芸能人の方の自死など、本当に心が傷みます。
日本の自殺者が先進国の中でトップであることは知っていましたが、その詳細まではあまり知らなかったので、今回の記事で知ることが出来良かったです。生活苦の早期改善は困難であろうと思いますが、あまり増えないことを切に願います。
よかったというか、データ的にこうしたことを知れたのは変に身構えたりとか変に悲観的にならないようにできたのでよかったです。むしろ、減っているのか、と。
いま世界的に問題となっている新型コロナウイルスの記事で親近感を覚えて読まさせていただきました。学校やニュースで日本が自殺者が多いということはしていましたが、コロナになってもなお減ってきたとはいえ、見過ごすことができない問題だと思いました。
自殺と聞くとコロナ前の傾向ではパワハラや職場のストレス、学校など外に出ることで接する何かが原因であることなどが多いのではないかと感じていたが、コロナ禍になって会社や学校へ行く機会も減り、そういった面での自殺は減っているのではないかと考えていた。すると、コロナ禍によって仕事が減って生活が困窮してしまう人の自殺が目立ってしまうようになり、世の中うまくはいかないなと思った。
日本での自殺者が先進国の中でも多いことはよく知られています。コロナ渦において精神的な疾患を抱えたり不安感が増しているのも事実なので、具体的なメンタルヘルス対策の記事もあればもっと良かったです。
記事に表や動画のリンクがあったり、具体的な数字が乗っていたのでわかりやすかった。自殺者数が減ったとはいえ、原因が生活苦なのであればやはりコロナの影響は大きいと感じた。
自殺の原因や人数の推移についてわかりやすくまとめられていてよかったです。
2019年など、コロナ以前の自殺者数と比べて自殺者が増えたのか減ったのか知りたいです。
自殺者数が2年ぶりに減少していたことがしれてよかったです。きちんと反映されているのかは分かりませんが、有名な人や芸能人の自殺が相次いでいたので、どうかなと思っていたけれど、こんなコロナで大変な時期はみんなで協力して戦わないとまけていられませんよね。
まさに2020年に、夫の兄弟が自死するという悲しい出来事があった為、興味深く読みました。この記事により自治体による取り組みがあると知ったので、国なり自治体なりで発信能力をもっと上げてほしいなと感じました。