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わかる政治経済シリーズ 第36回

日本の国会、「二院制」の基本

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目次

「二院制」とは?

衆議院 参議院
465人※
選挙区 289人
比例代表176人
定数 242人
選挙区146人
比例代表96人
4年 任期 6年
25歳以上 被選挙権 30歳以上
小選挙区比例代表並立制
小選挙区289、
比例ブロック11
比例代表は拘束名簿式
選挙区 選挙区比例代表制
選挙区(都道府県)、
比例区1
比例代表は非拘束名簿式
あり 解散 なし
あり 内閣不信任決議権 なし(問責決議あり)

*2015年、参議院の定数是正を定めた改正公職選挙法が成立。都道府県単位で行われてきた選挙区選挙で初めて、「合区」を実施。「徳島・高知」「島根・鳥取」を1選挙区とした。

日本の「国会」は「衆議院」と「参議院」の2つの議院から構成されています。これを「二院制」または「両院制」と言います。

「国会」の構成は、憲法42条で次のように規定されています。

第四十二条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

引用)日本国憲法

以下で、「衆議院」「参議院」それぞれについて定数や任期、被選挙権などについて説明していきます。

各議院の定数は?

「衆議院」の定員、つまり議員の人数は、「選挙区」から289人、「比例代表」から176人の計465人。「参議院」の定員は「選挙区」から146人、「比例代表」から96人の計242人となっています。

2015年、「参議院」の定数是正を定めた「改正公職選挙法」が制定されました。それまで「参議院」の「選挙区選挙」は都道府県単位で行い、「選挙区」ごとの議員定数は人口比によって定められていました。しかし、人口の増減によって議員数の不均衡、いわゆる「一票の格差」の問題が生じるようになりました。

そのような不均衡を是正するため、人口の少ない地域において、選挙区選挙で初めて、「合区」、つまり複数の県を合わせてひとつの「選挙区」として扱う制度を実施しました。これによって「徳島・高知」、「島根・鳥取」を一つの選挙区としました。

各議院の任期は?

「衆議院」の任期は4年、「参議院」の任期は6年となっています。

ただし、「参議院」は3年に一回、定数の半分を入れ替えなければならないと憲法で定められています。そのため、3年に一度、半数を選出するために選挙を行うことになっています。


「衆議院」は「参議院」と比べて任期が短く、入れ替わりが激しいので、その時々の社会の問題や国民の意見をより素早く反映させた議論を行うことができます。逆に、「参議院」は任期が長く解散もないので、よりじっくり長期的な議論を行うことができます。

各議院の被選挙権は何歳から?

「衆議院」の「被選挙権」は25歳から、「参議院」の「被選挙権」は30歳からとなっています。

「被選挙権」とはそれぞれの議員として立候補する権利のことを言います。「参議院」の「被選挙権」のほうが「衆議院」より5歳年長に設定されています。これは、後述するように「参議院」は「良識の府」「再考の府」とも呼ばれ、「衆議院」が行き過ぎたときにストップをかける役割も持っているため、より深い思慮が求められることが理由であるとされます。

各議院の選挙区は?

「衆議院」は「小選挙区比例代表並立制」、「参議院」は「選挙区比例代表制」となっています。

「衆議院」の選挙は、「小選挙区選挙」と「比例代表選挙」を同時に行います。「小選挙区選挙」では衆議院議員の定数465人のうち289人を選出します。全国を289の選挙区に分け、そこから1人ずつ当選します。「比例代表選挙」では残りの176人を選出します。全国11のブロックから、政党が獲得した得票数に応じて議席が配分されます。

「衆議院」の「比例代表選挙」では「拘束名簿式」を採用しています。「拘束名簿式」とは各政党が提出する名簿の記載順位があらかじめ決まっており、それにしたがって上位から配分された議席数にしたがって当選を確定させていく方法です。

「参議院」の選挙は、各都道府県を単位とする選挙区から議員を選出する「選挙区選挙」と、全国を1つの単位として政党が獲得した得票数に応じて議席を配分する「比例代表制」を行います。

「参議院」の「比例代表選挙」では「非拘束名簿式」を採用しています。「非拘束名簿式」とは、政党の名簿に記載する順番を決めず、議席を得た政党内で、個人での得票数の多い候補者から当選を確定していく方法です。

各議院の解散は?

「衆議院」には「解散」がありますが、「参議院」には「解散」はありません。

「衆議院」は「解散」があることによって、そのつど選挙を行い民意を反映しやすくなっている一方、「参議院」は「解散」がないことによって、長期的な問題にもじっくり取り組みやすいというように、各議院は異なった立場から審議をおこなうことができるように期待されています。

各議院の内閣不信任決議権は?

「衆議院」には「内閣不信任決議権」がありますが、「参議院」には「内閣不信任決議権」がありません。

「内閣不信任決議」というのは、現在の内閣を信任できないと「衆議院」の議員の51人以上の賛成があった場合「内閣不信任決議案」が提出され、「衆議院」の本会議で過半数の賛成を得られれば「内閣」は10日以内に総辞職するか「衆議院」を解散しなければならないという制度です。

「参議院」も「問責決議」を行うことはできますが法的な拘束力はありません。

「二院制」の目的は?

それでは、なぜこのような「二院制」が採用されているのか、その目的を3つ紹介します。

「二院制」の目的その1:慎重な審議

「二院制」の目的の1つ目は、慎重な審議を行うことにあります。


一つの議院が決めたことを、もう一つの議員が再び議論することで、そのぶん時間や費用は多くかかりますがさらに慎重な審議を行うことが期待されています。

「二院制」の目的その2:国民の意思を多元的に表現

「二院制」の目的の2つめは、国民の意思を多元的に表現することにあります。

上で見たように「衆議院」と「参議院」では選挙などの仕組みが異なります。そのため、多様な国民の意見を広く取り入れることができると考えられます。

また、「衆議院」は任期が4年と短く「解散」があるのに対して「参議院」は任期が6年で「参議院」より長く、「解散」がないという違いがあります。

そのため、「衆議院」はよりスピーディーに国民の意思を反映してそのニーズに応えるために動くことができる一方、「参議院」は腰を据えて長期的に問題解決にあたることが期待されています。

「二院制」の目的その3:補完的役割

「二院制」の目的の3つめは補完的役割にあります。

ここまで見てきた通り、「衆議院」と「参議院」は様々な制度の面で性質が異なっています。このように性質の違う2つの議院で審議を行うことで、どちらかの議院の行き過ぎを抑制したり、足りないところを補ったりする効果が期待されます。

特に「参議院」は「衆議院」を抑制する役割を期待して「良識の府」「再考の府」と呼ばれることもあります。

まとめ

以上、日本の立法システム国会の二院制シリーズ第1回目、「二院制」について説明しました。

本記事は、2023年3月9日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

2021年に公務員総合研究所に入所した新人研究員。

好きな言葉は、「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」

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