日本国憲法第43条における「国会議員」の規定
まずは、「国会議員」が「日本国憲法」でどのように規定されているのか説明します。
日本国憲法第43条では、「国会議員」について次のように規定しています。
第43条 1項 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
引用)日本国憲法
両議院、つまり「衆議院」と「参議院」は、選挙によって国民に選ばれた国民の代表者である「国会議員」で構成されているということです。
議員の権能
次に、「国会議員」の権能について説明します。
議案の発議権
「国会議員」には「議案の発議権」があります。
「議案の発議権」とは、法律案を提出・発議する権利のことです。議員が発案した法律を「議員立法法」と言います。
法律案の発議権は議員にも「内閣」にもありますが、「予算案」の提出は「内閣」のみが行うことができます。
現在、内閣提出法案(閣法)のほうが、提出数・成立率ともに「議員立法法」を上回っています。
議員の特権
「国会議員」は、誰からも干渉を受けずに国民のために独立して行動することができるようにいくつかの特権が認められています。
「国会議員」が持つ特権には「不逮捕特権」「免責特権」「歳費特権」などがあります。以下でそのような、「国会議員」が持つ特権について説明します。
議員の特権その1「不逮捕特権」
「国会議員」が持つ特権の一つ目に「不逮捕特権」があります。
「不逮捕特権」は憲法第50条で次のように保障されています。
第五十条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
引用)日本国憲法
「不逮捕特権」とは、「国会議員」は国会の会期中は逮捕されないという特権のことです。会期前に逮捕された「国会議員」は、その議員の要求があれば会期中は釈放しなければなりません。
これは、政府などが反対派の議員を不当に逮捕して活動を妨害するなどのことが起こらないようにして、「国会議員」の活動や両議院の自律性を保障するための権利です。
例外として、「現行犯」であった場合や、その議員が所属する議院の許諾があれば逮捕することができます。「現行犯」の場合、その議員が犯罪を行ったことが明らかであるため、不当な逮捕となるおそれは少なく、「国会議員」であっても例外なく逮捕することができます。
議員の特権その2「免責特権」
次に、「国会議員」には「免責特権」があります。
「免責特権」は憲法第51条で次のように保障されています。
第五十一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
引用)日本国憲法
「免責特権」とは、「国会議員」は院内での発言や表決は院外では責任を負わないという特権のことです。「国会議員」が自由に発言・議論を行い、院内での「言論の自由」を確保することが目的とされています。
院外では責任を負わないというのは具体的にどのようなことかというと、たとえ「国会議員」が議院内で行った発言や演説が他者への「名誉棄損」や「侮辱罪」に問われるようなものであったとしても法的責任を追及されることはないということです。
ただし、「免責特権」は正式な発言のみに適用されるものなのでいわゆる「ヤジ」や私語は「免責特権」の対象にはなりません。
議員の特権その3「歳費特権」
三つ目に、「国会議員」には「歳費特権」があります。
「歳費特権」は憲法第49条で次のように定められています。
第四十九条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
引用)日本国憲法
「歳費特権」とは、「国会議員」は「歳費(報酬)」や「文書通信交通滞在費」などが給付されるという特権です。
「文書通信交通滞在費」とは「国会議員」が月に100万円支給される手当です。目的は公の書類を発送したり通信をするなどのためであるとされています。2022年、「文書通信交通滞在費」は「調査研究広報滞在費」に変更され、月額ではなく日割り支給となるなどの改正がありました。
また、「国会議員」には公費による「公設秘書」がつきます。以下で「公設秘書」について説明します。
「公設秘書」とは?
次に「公設秘書」について説明します。
「公設秘書」とは「国会議員」につけられる秘書で、その給料は国庫から支払われます。
「国会議員」には国費で「政務秘書」2名、「政策秘書」1名の計3名の「公設秘書」をつけることができます。自分の配偶者を「公設秘書」としてつけることは禁止されています。
秘書には私設秘書というものもあり、こちらは給料を「国会議員」自身もしくはその後援会が支払うこととなり、人数制限はありません。
まとめ
以上、国会の地位と権能シリーズ第3回目、「国会の地位と権能」の中の「国会議員の地位」について説明しました。
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