そもそも入園して間もない頃の子ども達の実態とは?
幼稚園に入園してすぐの子ども達は、兄弟の有無、入園前の経験、本人の性格などによって幼稚園にすぐ馴染める子と母子分離までに時間がかかる子、最初は元気に登園していたのに数日経ってから登園しぶりがはじまる子と様々です。
入園直後の子ども達への関わり方のポイント
では、保護者と長い時間離れて過ごすようになる集団生活が初めての子どもたちを受け入れるにあたり、保育者としてどのようなことを意識して子どもたちに関わっていくとよいのか、4つのポイントがあります。
入園直後の子ども達への関わり方のポイント その1:子どもにとって保育者は安心・頼りになる存在という実感をもてるようにする
幼稚園に入る前までの子どもたちにとって、困ったり悲しいことがあるとすぐに受け止めてくれていたのは基本的にずっと側にいてくれた保護者です。
その保護者とも幼稚園にいる間は離れて過ごすようになり、子どもにとって日中自分の近くにいる大人は保育者になります。
子どもたちにとって、保育者は『楽しいことをしてくれる・困ったことがあると助けてくれる存在』という認識を持てるようになると、子どもたちは幼稚園に通うことに安心感を持てるようになります。
幼稚園にいく事に不安感を抱いている子に対しては、特に保育者への安心感を持ってもらえるように、笑顔で接すること、沢山肯定する言葉がけをすること、困っていたら「大丈夫だよ」と寄り添うように心がけましょう。
入園直後の子ども達への関わり方のポイント その2:状況に応じ、保護者と子どもを焦って無理に引き離さない
園バス通園の幼稚園では、バスの時刻もあるので入園当初は保護者と泣く子どもを半ば強制的に引き離さざるをえないところも多いのが実態かと思います。
しかし、中には徒歩通園で幼稚園に通ってくる子ども達もいますよね。
朝、保育者が子どもたちの受け入れをしていても、なかなか保護者と離れられなかったり、保育室に入るのを泣いて渋ったりする子どももいます。
その時は、できるだけ無理に保護者と子どもを引き離さず、子どもの気持ちが落ち着くまで保護者に側にいてもらうようにしても良いと思います。
私の経験談になりますが、登園時間帯を過ぎて園門が閉まったあとも、不安定な子どもの保護者にはあえて幼稚園にしばらく残ってもらっていました。
子どもも保護者と一緒に他の子ども達が遊ぶ様子や楽しく過ごす様子を見て、気持ちが落ち着いてきたタイミングで、保育者が「~したらママが必ず迎えに来てくれるからバイバイできるかな?」と声掛けすると、案外すんなり母子分離できたりします。
また、子どもの方から「もうママはおうちに帰っていいよ」と自分から言えることもあります。
子どもたちは必ず園生活に慣れてきますから、3年間の幼稚園生活の中で最初の数日間くらい焦って無理に引き離す必要もないと思います。
(これは幼稚園の園長の考え方や方針にもよるところです)
保育者は長いスパンで見て余裕を持ち、親子に接することができると良いですね。
入園直後の子ども達への関わり方のポイント その3:子どもの好きなもの・興味を探る
保育者は子ども達が遊ぶ様子を見て、「この子は~が好きなんだな」「~に興味があるんだな」と子ども達1人ひとりが好きなものの実態把握をします。
保育者から「~ちゃんは、〇〇が好きなんだね」「これはなんていうの?(子どもが知っていそうなこと)」等の言葉がけをすることで、子どもは『先生は自分のことを分かってくれている』『先生と大好きなことの話を一緒にできた!』という気持ちを抱き、信頼感につなげることができます。
入園直後の子ども達への関わり方のポイント その4:自分から保育者に関わってこようとしないタイプの子どもへの配慮
子ども達の中には「せんせーい!!見てみて!」と子どもの方から保育者に積極的に関わってくる子もいますが、反対に子どもから保育者に話しかけることが難しい子もいます。
なかなか話しかけられない子も「本当は先生ともっと話したいのにな・・・」という気持ちが根底にはあるはずです。
保育者としては、子どもから関わってくる子とは必ず接点は持てるので、自分から関わりを持ってこようとしない子に対して、特に意識を向けて接していくことを心がける必要があります。
入園直後の保育室の環境構成のポイント
入園直後の保育室の環境づくりは、集団生活を初めてする子どもたちが過ごす場所ということもあって、保育室の環境設定に特徴的なポイントがあります。
家庭にあるような馴染みのある玩具を用意する
子ども達にとって、幼稚園が『安心できる場所・楽しい場所・もっと遊びたい場所』である実感を持ってもらうためにも、入園当初は既成の玩具・家庭にあるような玩具を幼稚園でも用意しておくことで、スムーズに遊び始めることができます。
すぐに遊びだせるよう遊びのコーナーをあらかじめ設定しておく
入園当初は子ども達が保育室に入室してすぐに『遊びたい!楽しそう!』という気持ちをもち、すぐに安心して遊びだせるような遊びのコーナーを朝のうちに設定しておきます。
ここでは、具体的にどのようなコーナーをつくっておくと良いのかについて、私の実体験からいくつかご紹介します。
1)ミニカー・電車
どの家庭にもあるようなトミカやプラレールなど、車や電車の玩具や、道路マップ、線路などを目に入る位置に用意しておき、子どもがすぐに遊びだせるようにしておきましょう。
具体的には、最初の数日は線路の上に電車を置いておくところまで設定しておきますが、次第に電車はカゴのなかから子どもたちが出すようにする、道路マップも子どもたちで広げるようにする等、朝のうちに準備しておくものも少しずつ減らしていくことがポイントです。
(子どもたちが自分で遊びだしの準備ができるようにしていくために)
2)ままごと
テーブルの上にお皿や食べ物、調理グッズを用意しておいたり、傍にはぬいぐるみや人形等も設定しておきます。
3)ブロック
ブロックは最初はある程度保育者が形を作っておいたもの(車やバスなど)を置いておき、子どもが「同じものを作ってみたいな」という気持ちを抱くと遊びやすくなります。
そのうち、子ども達のイメージでブロック遊びも楽しめるようになります。
4)おえかき
個人持ちのクレヨンや自由画帳などは園生活に慣れてきたあと、一斉活動で使い方を指導するので最初は使用はせず、共有のクレヨンを使うようにしていました。
子ども達が描いたものは、すぐに窓や壁に貼ってその場で飾ってあげましょう。
5)絵本
最初から玩具等で活発に遊びだすのが難しい子が、安心しやすい場になるのが絵本コーナーです。
低年齢児向けの絵本を設定し、絵本棚の前にカーペットや椅子を用意して落ち着いて座れるようにしておきましょう。
子ども達にとって絵本を見る場になるだけでなく、周りの友達がどんなことをしているか様子を見ることで気持ちを落ち着けることができる場にもなります。
絵表示を活用し、生活の仕方を分かりやすくする
幼稚園に入園すると登園してすぐ所持品の始末をしたり、身の回りの生活の流れを覚えていく必要があります。
生活の仕方において「どうしたらいいか分からない」と戸惑うことのないよう、片付け方や物の定位置は視覚的に分かりやすいように掲示しておきましょう。
例えば、帽子のイラストの下に『ぼうし』と書かれた絵カードなどを貼っておくと、目で見てどこに帽子を置けばよいかすぐ分かりますね。
子ども達が生活の仕方に慣れてきたら、絵表示は外して構いません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、幼稚園入園直後の子ども達への関わり方のポイントや保育室の環境構成のポイントについて紹介してきました。
年少の保育者は、まずは子ども達が『幼稚園って楽しいところ!先生大好き!』と思えるように、子どもに寄り添い、子ども達が遊びやすいような環境設定を考えていくことが大切です。
若い先生は、『学級として早くまとめていかなきゃ!』と焦ることもあるかもしれませんが、まずは子ども達が安心して幼稚園に通ってくることができることを1番に考えてみてくださいね。
幼稚園が楽しければ、先生が大好きになれば、子ども達は毎日元気に登園してくれるようになりますよ。
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