じゃんけん列車とは?
音楽に合わせて自由に歩き、音楽がとまったら近くにいる相手とじゃんけんをする遊びです。
じゃんけんを繰り返し、勝った子が前になり、負けた子は勝った子のうしろについていくことで列車のように列を作っていきます。
比較的ルールも分かりやすく年中組の秋頃には発達段階的にもルールを理解して、十分に楽しめる遊びです。
じゃんけん列車の遊びをする前に経験しておくとよいことは?
じゃんけん列車の遊びをする前には、保育者対子ども達でのじゃんけんや2人組でのじゃんけんなどを経験して『じゃんけんのルール』を子ども達が理解できるようにしておきましょう。
また、友達と2人で繋がる電車ごっこを取り入れ運転手になったりお客さんになったりする(リトミックや表現遊び、ごっこ遊びの中で)楽しさも十分に味わっておけるとよいですね。
じゃんけん列車のねらい
じゃんけん列車の遊びを通して、子ども達にどのようなことを経験してほしいか、保育のねらいをたてる際にきちんと考えていますか?
じゃんけん列車を通して、子ども達は様々な体験をすることができます。
じゃんけん列車の活動をするにあたって、大きく5つのねらいがあります。
1)色々な友達と偶然に出会って、触れ合う面白さを感じる
2)じゃんけんを通して、勝ったり負けたりする面白さを感じる
3)友達と繋がり、友達の動きに合わせて動く面白さを感じる
4)思い通りに動ける面白さと、友達について動かなければならないもどかしさを経験する
5)リズムやテンポにのって動く面白さを感じる
もちろん5つのねらいを1回の活動で全て達成しようとするのではなく、学級の子ども達の実態に照らし合わせ、「今日のじゃんけん列車の活動では何に絞ってねらいをたてるか」を丁寧に考えてみてくださいね。
じゃんけん列車の遊び方
では、実際具体的なじゃんけん列車の遊び方についてですが、一般的には「じゃんけんを繰り返し最後は1列になって先頭の人が優勝になる」というルールが知られています。
確かに最終的にはその遊び方で間違いないのですが、じゃんけん列車は『ねらい』を踏まえると、遊び方も段階的に進めていくことがオススメです。
今回は基本編・応用編に分けてご紹介していきますね。
基本編
1)音楽(ピアノや歌)に合わせて個人で列車になりきって室内を歩く
歌の例♪:『10人のインディアン』のメロディーに合わせて歌います
ゴーゴーゴーゴー じゃんけん列車
だんだんだんだん 長くなる
ゴーゴーゴーゴー じゃんけん列車
さぁ あいては き・み・だ!
(ここで相手を見つけ両手を相手と合わせる)
2)友達とじゃんけんをする
3)勝ったら先頭になり、負けたら勝った子の肩に手をのせ後ろに繋がる
4)2人で繋がったまま再び(1)の音楽に合わせて、動く
5)2人組になっている電車の先頭同士で、じゃんけんをする
6)勝った列車が前になり、負けた2人は勝った列車の後ろに繋がる(4人列車になる)
ここでポイントになるのが、遊び始めの最初の段階は、4人を1番長い人数の列とすることです。
4人列車になったら、4人で列をつくったまま音楽に合わせて自由に歩き回ったあと、ピアノ等の合図で(例えば、ピアノの音を低音から高温に一気に弾くなど)、子ども達がバラバラになり、最初のスタート時のように1人になります。
そして、再び(1)から(6)を何度も繰り返していきます。
何度も繰り返すことで、じゃんけんをする機会・先頭になる機会をたくさん作ることができます!
先に挙げました『じゃんけん列車のねらい』
1)色々な友達と偶然にであって触れ合う面白さを感じる
2)じゃんけんを通して、勝ったり負けたりする面白さを感じる
を達成するための遊び方の工夫になります。
応用編
基本編を繰り返し、最初は4人で終わりにしていた列も8人列車にしてみる等して、列の人数を少しずつ増やしていきます。
そして、時期的に年長になる頃には、最終的に学級全体で長い1列をつくるようにします。
長い1列になるということは、最初に負けた子はそのゲームが終わるまで、ずっと友達の後ろにくっついて歩き続け、じゃんけんは1回負けた後はもうできないということになります。
そのため、基本編を始める最初の時期から長い1列を作る遊び方は、オススメしません。
長い1列をつくる遊び方は、基本編の遊び方を繰り返し十分に行い、子ども達が『じゃんけん列車のねらい』を達成できた後にステップアップする遊び方になります。
長い1列になるまでじゃんけんを繰り返していく遊び方は、『仲間意識』『チームの友達を応援する気持ち』『友達の勝利を自分のことのように喜ぶ』、そんな心が育ってきた頃に行ってこそ、学級全員が楽しむことができます。
子ども達がじゃんけん列車をする際に保育者が意識するポイント
では、じゃんけん列車をするにあたって保育者はどのようなことを意識しておくとよいかについて紹介していきます。
保育者が意識するポイントその1:テンポよく進めていく
遊びにおいて、ゲームの『テンポ』は大切です。
じゃんけん列車の場合は、テンポよく保育者が音楽をならすタイミングを考えながら、進めていくことで、子ども達が素早く次の相手を見つけられるようにしていきます。
保育現場でよく見る光景として、音楽がとまったらすぐに近くの相手を見つけてじゃんけんをする必要があるにも関わらず、相手を選ぶかのように、わざと遠くの友達を探す素振りを見せる子もいます。
本当に相手を見つけられずに困っている子がいる場合は援助しますが、わざと相手を見つけない場合には、保育者はあえて待たず、「早く見つけないと次の音楽がまた始まってしまう!すぐ相手をみつけなきゃ!」という意識を子どもに持たせることも必要です。
素早く相手を見つけられた子ども達にとっては、ただ待たされるだけの余計な待ち時間をつくることにもなりますからね。
保育者が意識するポイントその2:色々な子が先頭になる嬉しさを経験できるようにする
じゃんけん列車の最初の段階では、色々な子ども達が『先頭になれた!』という嬉しさを経験できるようにしていきましょう。
そのためには、最初から長い1列をつくることを目的とせず、短い人数の列車にして繰り返し何度も行えるような遊び方にすればよいのです。
友達がいる良さやみんなと一緒だからできた良さを伝える
じゃんけん列車の音楽を掛けている間、保育者は子ども達の様子をよく観察しておくよう心がけてください。
音楽がとまり、すぐに相手を見つけられた子に対しては「すぐ見つけられたね!」と『相手が見つかった時の嬉しさ』を言葉にしていくようにしましょう。
また、一瞬相手を見つけられず焦っている子に「一緒にやろう!」とペアを組んでくれた子がいたとしたら、『友達に声をかけてもらったときの喜び』を保育者が言葉にして子どもの気持ちに共感しましょう。
子ども達の動きを見て、良いことや子どもに実感してほしい感情体験ができたと思われる場面では、すかさずその場で保育者が言葉にしていくことがとても大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、じゃんけん列車のねらい・遊び方と遊びの応用編、じゃんけん列車をする際に保育者が意識するポイントについて紹介してきました。
じゃんけん列車の遊び1つとっても、子ども達の発達において必要な体験をたくさんすることができます。
保育者が、ねらいを明確にし、ねらいにそった指導を展開することで、楽しいだけでなく子ども達にとって意味のある活動になります。
ぜひ、じゃんけん列車の遊びを計画する際の参考にしていただけると嬉しいです。
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