就学前で一番大きい学年になる年長組。
その年長組の担任になるということは、就学前の大切な1年間を受け持つということなので初めて受け持つ際には特に不安に思う方もいるかもしれませんね。
年少や年中の時に比べ、子ども達の心、身体、理解する力も年長児として大きく育ってくるので、保育者の方も、年少や年中向けの関わり方でなく『年長に対する関わり方』に変えていかなくてはなりません。
(特に、年中から年長にクラスが持ち上がった場合は、年中の延長にならないよう、担任の方が『年長の担任になった』という自覚を持つよう心がけなくてはなりません)
今回は、年長組の担任として普段の生活の中でどのようなことを意識して子ども達に関わっていくとよいのかについてご紹介していきたいと思います。
自分達でやろうとする気持ちを大切にする・保育者は縁の下の力持ち的な立場で
年長組は友達やグループの仲間と相談したり、協力したりしながら色々なことができるようになります。
特に行事に関しては、年度始めにはある程度年間計画の中で決まっているものも多いと思いますが、発表会や運動会など、子ども達が『自分達でやった』『自分達で考えた』という気持ちが残るようにしていくことが大切です。
「先生が言ったからやる」「先生が決めた」では、子ども達の育ちに繋がりません。
子ども達が「僕たち・私たちで進めていこう!やっていこう」という気持ちを持てるよう、年長組の保育者は、保育者自身が前に前に出ていくのではなく、子ども達のことをそっと陰から見守るような、さりげなくサポートしていくような存在であるよう意識することが大切なのです。
もちろん、子ども達同士の話し合いの中で行き詰ることや、子ども達の知識の中から出てくることの限界はあります。
その時には、さりげなくヒントやきっかけになる言葉を掛けるようにしたら良いでしょう。
子どもが自信を持てるようにしていく
年長児になると、生活面や当番活動、下の学年の子ども達の世話など『年長組だからこそ』できることが増えていきます。
「さすが年長組だね!」「自分達でできたね!」といった言葉をかけて、子ども達が『年長としての自覚と自信』を持てるようにしていきましょう。
就学に向けた環境づくりと子ども達への関わり方
就学前の大切な1年間ということで、小学校に入ってから子ども達が困らないような環境づくりや関わりをしていくことが必要です。
時間を意識した生活
1日の生活の中でも「長い針が〇になったら集まろうね」と知らせたり、時計の掲示をしたりしていました。
例えば、長い針が10になったらクラスのみんなで集まる設定になっているのであれば、戸外でたくさんの遊具を出して遊んでいる子たちは8には片付けを始めなくては間に合いません。
室内で絵本を読んでいる子たちなら9に片づければ間に合うでしょう。
自分達の状況から、自分達で時間を意識して行動していくことができるように、日々積み重ねていくことが大切です。
また、1日の時間だけでなく、年長の2学期以降は1週間の見通しや1ヶ月の見通しについても掲示をすることをオススメします。
年長組になると自分達が中心となって準備していく行事も増えていきますよね。
子ども達が主体的に生活を進めていくことができるよう、見通しカレンダーを掲示しておくことで、『〇日になったら発表会がある!だから、そろそろ~を準備していこう」と子ども達自身が意識を持てるような環境を作っていきましょう。
文字や数字を遊びや保育室の環境に取り入れる
文字の読み書きや数字の理解は、兄弟関係や本人のやる気、家庭で取り組んでいるかどうかによっても個人差があります。
文字については、年長組の保育室の中はネームシールなどは使用せず、ひらがなでの表記のみにしていきましょう。
室内にひらがなが沢山あることで、文字に囲まれた生活をしているのが当たり前になり、自然と文字に親しんでいきます。
また、数字に関しては集団遊びの中で数を数えたりする遊びを積極的に取り入れていきましょう。
チーム対抗のしっぽ取り、金貨ゲーム、大型オセロなどがオススメです。
同じことは繰り返し言わない
小学校に入ると、先生の話を聞いて授業を受けていくようになりますよね。
人の話を聞くという姿勢を身につけておく必要があり、幼児期の間に『聞いておかないと自分が困る』という体験をしておくことも大切です。
時々、1つの話の中で何度も同じことをいう保育者がいますが、その必要はあると思いますか?
(または無意識に同じことを繰り返し言っていませんか・・・?)
私が年長担任だった時の話になりますが、私は話の中で同じことを繰り返し言わないようにすることを心がけ、大切な話をするときには「私は今からみんなに大切な話をするね、1度しか言わないからよく聞いていてね」と前置きしてから話をするようにしていました。
そうすると、子ども達は「よく聞いておかなきゃ!!」と耳を傾けてくれるようになります。
しかし、中には近くに座っている友達とおしゃべりをしていて話を聞いていない子もいます。
話を聞いていた子ども達は次にすることが分かっているのに、話を聞いていなかった子ども達は全く違うことをしています。
次にすることが分からなくなり困っているところで「私さっき話をしたよ、ちゃんと聞いていたかな?」と声をかけると、話を聞いていなかった子は「しまった・・・」というような顔をしています。
『私は1回しか言わない』と言った以上、自分が言った言葉には責任を持ち、「分からなければお友達に自分で聞いてごらん」と声をかけるようにしていました。
同じことを繰り返し言わないようにすることで、話を聞く姿勢も育ち、困ったら自分で確認しなくてはならないということも、子ども自身が学べるようにしていくことが大切ですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は年長組の学級担任として意識すべき子ども達への関わり方とポイントについてご紹介してきました。
年長児の担任は、色々なことができるようになっている子ども達の力を信じて任せ、子ども達が主体的にやり遂げていくようある意味しむけていくことがコツだと思います。
困っているときにはさりげなくサポートしたりヒントを与えたりして、子ども達が自分達の力で前に進んでいけるよう見守っていけると良いですね。
また、就学についても意識しながら、子ども達が安心して入学に向かっていけるような環境づくりや関わり方の参考になれば嬉しいです。
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