※本記事は、2019年9月調査の内容です(今後更新予定です)。
はじめに
今回ご紹介する国立博物館「国立民族学博物館」は、大阪府吹田市(大阪モノレール万博記念公園駅近く)にあり、1974年に開館された国立博物館で、収蔵作品数は、およそ28,432点と公表されています。
今回は、公務員として働く「学芸員」向けに国立博物館「国立民族学博物館」に関する基本的な情報についてご紹介します。
国立博物館「国立民族学博物館」の沿革について
国立博物館「国立民族学博物館」の沿革についてご紹介します。
国立博物館「国立民族学博物館」は、1935年(昭和10年)に澁澤敬三氏、白鳥庫吉博士を中心に財団法人日本民族博物館の設立が計画され、1974年に創設されました。
その後、1975年(昭和50年)に旧文部省史料館の所蔵していた民族資料28,432点が国文学研究資料館から移管され、1984年(昭和59年)に創設10周年記念式典を挙行、『国立民族学博物館十年史』が刊行されました。
1993年(平成5年)に本館増築・共同研究棟が竣功、1994年に創設20周年記念行事が実施、1995(平成7年)に阪神・淡路大震災による被害のため、展示場は全面閉鎖されました。
1997(平成9年)に開館20周年記念行事が実施、2004年(平成16年)に国立大学法人法(平成15年法律第112号)の施行により、大学共同利用機関法人・人間文化研究機構が発足されました。
2007年に開館30周年記念行事が実施、2017年(平成29年)に本館展示の新構築が完了、記念式典が挙行、開館40周年記念行事が実施されました。
国立博物館「国立民族学博物館」の概要について
国立博物館「国立民族学博物館」は、「大学共同利用機関法人人間文化研究機構」が運営する国立の博物館です。
愛称は「民博」「みんぱく」で、広さ5万2,648平方メートル、収蔵資料は28,432点で、職員が平成28年5月1日現在で96名です。
また、平成27年度の来館者数は、約20万人です。
参考URL:https://www.nihu.jp/ja/about/staff
国立博物館「国立民族学博物館」の施設・展示について
国立博物館「国立民族学博物館」の施設には、4階からなる本館があり、展示は1階と2階で行われています。
1階
特別展示館
国立博物館「国立民族学博物館」の特別展示館では、特別展「驚異と怪異ー想像界の生きものたち」が行われる予定です。
会期は、2019年8月29日(木)~11月26日(火)で、主催は、国立民族学博物館、後援は、NHK大阪放送局です。
2階(常設展)
1)Aブロック(オセアニア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、西アジア)
2)Bブロック(音楽、言語、企画展示場、南アジア、東南アジア)
3)Cブロック(朝鮮半島の文化、中国地域の文化、中央・北アジア、アイヌの文化、日本の文化)
1)は地域展示で、世界の文化と関連して日本文化を理解できるよう、オセアニアから東回りで世界を一周するように展示されています。
2)は通文化展示で、地域や民族で分けるのではなく、音楽や言語などの世界の民族文化を概観できるように展示されています。
3)は東アジア展示(朝鮮半島・中国・日本・アイヌ)と中央・北アジア展示によって構成され、衣食住などの生活用品を中心とした展示になっています。
3階
図書室
4階
1)大学院
2)第1~4演習室、大演習室、特別研究室
3)人類基礎理論研究部超域フィールド科学研究部事務室
4)グローバル現象研究部/学術資源研究開発センター事務室
5)人類文明誌研究部事務室
国立博物館「国立民族学博物館」の研究について
国立博物館「国立民族学博物館」では、特別研究と共同研究が行われています。
特別研究
国立博物館「国立民族学博物館」の特別研究は、「現代文明と人類の未来―環境・文化・人間」を統一テーマとし、2016年以降、下記の研究が行われています。
1)生物・文化的多様性の歴史生態学ー稀少動物・稀少植物の利用と保護を中心にー(2016.7~2019.3)
2)食料生産システムの文明論(2017.4~2020.3)
共同研究
国立博物館「国立民族学博物館」の特別研究は、文化人類学・民族学および関連分野の特定テーマについて館内外の専門家が共同して行う研究です。
この共同研究は一般と若手に分かれており、2019年3月までに修了した研究は、下記の通り、一般が12件、若手が1件です。
一般
1)チベット仏教古派及びポン教の護符に関する記述研究(2015.10-2019.3)
2)驚異と怪異―想像界の比較研究(2015.10-2019.3)
3)応援の人類学―政治・スポーツ・ファン文化からみた利他性の比較民族誌(2015.10-2019.3)
4)考古学の民族誌―考古学的知識の多様な形成・利用・変成過程の研究(2015.10-2019.3)
5)宇宙開発に関する文化人類学からの接近(2015.10-2019.3)
6)放射線影響をめぐる「当事者性」に関する学際的研究(2015.10-2019.3)
7)医療者向け医療人類学教育の検討―保健医療福祉専門職との協働(2015.10-2019.3)
8)個ー世界論―中東から広がる移動と遭遇のダイナミズム(2015.10-2019.3)
9)確率的事象と不確実性の人類学―「リスク社会」化に抗する世界像の描出(2015.10-2019.3)
10)もうひとつのドメスティケーション―家畜化と栽培化に関する人類学的研究(2016.10-2019.3)
11)会計学と人類学の融合(2016.10-2019.3)
12)「障害」概念の再検討―触文化論に基づく「合理的配慮」の提案に向けて(2016.10-2019.3)
若手
1)消費からみた巣料研究の新展開ー野生獣肉の流通と食文化をえぐる応用人類学的研究(2016.10-2019.3)
このほかに、国立博物館「国立民族学博物館」には、各個研究、日本財団助成手話言語学研究部門プロジェクト、文化資源プロジェクトがあります。
キャッチコピー・シンボルマークについて
国立博物館「国立民族学博物館」のシンボルマークは、勝井 三雄さんによってデザインされました。
このマークは、輪の中に花びらのような波打つ円を配したデザインとなっており、地球と世界の諸民族がイメージされ、色彩の青色は文化が表現されています。
国立博物館「国立民族学博物館」の館長について
現在の国立博物館「国立民族学博物館」の館長は、「吉田 憲司(よしだ けんじ)」さんです。
「吉田 憲司」さんの経歴は、1977年(昭和52年)に京都大学文学部哲学科を卒業、1987年に大阪大学文学部助手に就任、1988年(昭和63年)に国立民族学博物館助手に就任しました。
その後、1989年に大阪大学大学院文学研究科博士課程を修了、「チェワ社会における仮面と変身信仰の研究」で学術博士を取得されました。
1993年(平成5年)に大阪大学文学部助教授に就任、1999年に「文化の『発見』」でサントリー学芸賞を受賞、2000年に大阪大学教授に就任、2015年に国立民族学博物館副館長に就任した後、2017年(平成29年)に国立民族学博物館副館長館長に就任しました。
なお、「吉田 憲司」さんは、国立博物館「国立民族学博物館」の第6代目の館長です。
国立博物館「国立民族学博物館」のアクセス・営業時間について
国立博物館「国立民族学博物館」は、大阪府吹田市にあり、最寄り駅は、「万博記念公園駅」です。
開館時間は、10:00~17:00です。
休館日は、水曜日(終日の場合は翌日)と年末年始(12月28日~1月4日)です。
詳細な情報については、国立博物館「国立民族学博物館」のホームページなどをご確認ください。
参考URL:http://www.minpaku.ac.jp/museum/information/basis
国立博物館「国立民族学博物館」の入館料について
通常展示普通入館者は、一般は580円、大学生は250円、団体入館者は、一般は490円、大学生200円です。
なお、高校生以下は無料です。
詳細な情報については、国立博物館「国立民族学博物館」のホームページなどをご確認ください。
参考URL:http://www.minpaku.ac.jp/museum/information/basis
国立博物館「国立民族学博物館」の職員数
国立博物館「国立民族学博物館」の職員数は、平成28年5月1日現在で96人です。
参考URL:https://www.nihu.jp/ja/about/staff
国立博物館「国立民族学博物館」の採用人数
現在、国立博物館「国立民族学博物館」では、下記の職員を募集しています。
1)非常勤職員(研究協力課・事務補佐員)(応募締切:2019年7月17日)
2)契約職員(研究協力課・事務補佐員)(応募締切:2019年7月17日)
なお、詳細については、国立博物館「国立民族学博物館」のホームページで、ご確認ください。
参考URL:http://www.minpaku.ac.jp/offer
国立博物館「国立民族学博物館」の財務状況について
平成27年度の国立博物館「国立民族学博物館」を運営する大学共同利用機関法人人間文化研究機構の運営費は、128億7,600万円でした。
その主な内訳は、運営費交付金、施設整備費補助金などです。
参考URL:http://www.nihu.jp/sites/default/files/kh29.pdf
なお、上記は、国立民族学博物館、国立歴史民俗博物館、国文学研究資料館、国立国語研究所、国際日本文化研究センター、総合地球環境学研究所との合算です。
まとめ
いかがでしたか?
国立博物館「国立民族学博物館」は、博物館機能と大学院教育の機能を兼ね備え、世界で唯一、文化人類学・民族学の研究所でもある博物館です。
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