行政にもチップは必要?アメリカのチップ文化について解説

日本にはチップを払うという文化はあまりありませんが、世界にはチップが当たり前の国も多くあり、アメリカもその一つです。

今回は、アメリカの「チップ文化」について、アメリカ在住の日本人にレポートいただきました。

公務員の方も、公務員志望の方も、是非ご参考ください。

はじめに – 誰でも悩む「チップの正しい払い方」

みなさんはハワイやグアム、ニューヨークなどアメリカの都市を訪れた際に「チップ」で悩んだ経験はありませんか?

日本人にとってチップ文化はあまり馴染みがないため、どんな場面で支払う必要があるのか、どのように支払えばいいのか、いくらくらい払えばいいのか、よくわからなくなりますよね。

アメリカで4年ほど生活している筆者も、チップの正しい払い方や、相場、タイミングで迷うことがあります。それほどまでにチップの文化は不明確な部分が多いものです。

そこで今回は、常識として知っておきたいアメリカのチップ文化について、アメリカ在住の筆者の経験を交えてご紹介したいと思います。これを読めばアメリカでチップが必要な理由や、マナー、相場、払い方などが丸わかりです。

アメリカにおけるチップ文化とは?

そもそも、どうしてアメリカではチップが必要なのか、チップ文化が存在する背景や概要を見てみましょう。

アメリカの雇用形態と給与体系

ホテルやレストランなどのサービス業を営む経営者(雇用主)は、従業員に対して「チップありき」の報酬しか支払わない契約を結びます。この契約に基づいて働く人たちのことを「Tipped Employees」と呼びます。

Tipped Employeesに対する最低限の報酬(最低賃金)は法律で決められています。2020年時点の連邦法では「$2.13/時間」とされていますが、実際には州ごとに定められている州法が基準になります。

例えば、筆者が暮らすアリゾナ州では1時間あたり「$9」ですが、テキサス州では「$2.13」、カリフォルニア州は「$12」、ハワイ州は「$9.35」と、州によって大きな開きがあります。アメリカ50州のうち、21州でTipped Employeesに対する最低賃金は3ドル未満というのが実情です。

つまり、アメリカの大半の州においてTipped Employeesは、時給3ドル以下の低賃金で働いているということです。だからこそ、サービスを受けた客はチップを払ってTipped Employeesを手助けする必然性が生まれるのです。

このように、アメリカでチップを払う必要がある背景には、低賃金で働くTipped Employeesの存在、そしてTipped Employeesの給与体系が関係していることを覚えておきましょう。

チップの相場

アメリカのチップの相場は15-20%程度とされています。

例えば、一般的なレストランでは、会計時に渡される伝票に具体的なチップの目安が書いてあります。そのほとんどが「15%の場合」「20%の場合」「25%の場合」のように区分けされており、ご丁寧にチップの金額まで書かれています。

これが高級レストランになると、最低ラインが20%の表示になり、最大で30%の表示になることもあります。(あくまでも参考値であり強制ではない)

このような風潮から、アメリカでチップの相場は最低15%という暗黙のルールが出来ています。

チップの計算基準

チップを支払う際に議論になりがちなのが「どの金額に対して15%のチップを乗せるか?」という基準です。

例えば、レストランで$100の食事をした際、税込みだと$109になります。(アリゾナ州の場合)この場合、チップを15%支払うとすると「$100に対する15%」または「$109に対する15%」のいずれかで悩む訳です。

アメリカ人でもこの「基準」に対する意見は分かれがちで、税抜き価格が妥当とする人もいれば、少しでも気前良くするために税込み価格を基準にする人もいます。

筆者の個人的な経験では「税抜き価格」を基準にしている人の方が多い印象です。

アメリカでチップを払う必要がある主なサービス

ここでは具体的にどのようなサービスでチップが必要なのかご紹介します。

チップが必要なサービス1:ホテル

ホテルは「対面サービス」を受ける機会が多いためチップを渡す場面も多くなります。

主に、バレーパーキング、ポーター、ハウスキーピング、ルームサービス、コンシェルジュなどが該当します。これらのサービスを利用する度に1-2ドル渡すことが一般的です。ちなみに、受付ではチップは必要ありません。

女性の場合、ホテルのスパやネイルサロン、美容院などを利用する機会があると思いますが、この場合は請求金額の15-20%のチップを支払う必要があります。

ホテルサービスのなかでも「ハウスキーピング」は毎日のように接するサービスなのでチップは必須です。部屋のサイズにもよりますが、よくある基準として「使用した枕1個につき1-2ドル」というものがありますので、参考にすると良いでしょう。

チップが必要なサービス2:レストラン

日本人が最も接する機会が多いのがレストランでのチップでしょう。

先述したように、アメリカのレストランにおけるチップは税抜き価格の15-20%が相場です。自分を担当してくれたサーバーに対して、現金またはクレジットカード決済にチップ代を上乗せする形で支払います。

筆者は経験から、チップ15%はあくまでもひとつの基準として考えています。予想以上のサービスを提供してもらった時や、無理難題を解決してくれた時などは20%以上支払うこともあります。対照的に、最悪のサービスを受けた時は1ドルしか払わないこともありました。

ちなみに、同じレストランでも持ち帰りの注文を利用する場合は、サービスを受けていないのでチップは不要です。

チップが必要なサービス3:Uberなどの配車サービス

近年、アメリカでタクシーに代わる移動手段として、日本人が多く利用しているのがUberやLyftなどの配車サービスです。

UberやLyftなどは「満足すればチップを払う」ことが主流です。これらの配車サービスを利用して働いている人の多くは、必ずしも低賃金で雇用されているとは限りません。(副業として働いているケースが多い)

個人的には、配車サービス利用毎に$3-5ドル程度のチップを現金で渡していますが、UberやLyftなどは、サービス利用後にアプリ上でチップを払う仕組みになっています。

ドライバーの評価画面にチップの金額を入力すれば自動的に決済されて、後日UberやLyft社からドライバーに振り込まれます。ちなみに、アメリカのタクシーは請求金額の15%が一般的です。

アメリカでチップを支払わなくていいサービス

アメリカでチップの支払いが不要なサービスとはどのようなものがあるのでしょうか?

チップが不要なサービス1:行政サービス

アメリカに住んでいない限り利用することはほとんどありませんが、アメリカの行政サービスではチップ不要です。

例えば、失業保険申請や運転免許証発行などを手がけるオフィスは「政府による運営」なので、通常サービスとしては扱われません。したがってチップを払う必要はありません。日本人が比較的お世話になりやすい警察署や移民局なども同様です。

アメリカでは警察官などの公務員や政府職員がチップを受けとることは法律で禁止されていますので、チップを渡すことは相手の迷惑になります。

チップが不要なサービス2:スーパーマーケット

日常的に利用することが多いスーパーマーケットもチップ不要です。

スーパーマーケットで働いているレジ係や陳列係の人たちは、最低賃金が保証されているため、チップを頼る必要がありません。そのため、客からチップをもらう必要性がないのです。

なかには、体が不自由な人をアシストしてくれたり、買い物した荷物を車に詰め込むのを手伝ってくれる店員がいますが、そういう場合はこっそりお礼としてチップを渡すこともあります。

チップが不要なサービス3:病院

アメリカでは病院やクリニックもチップ不要です。

親切で懸命な看護師や医師たちにチップを渡したくなることもありますが、病院やクリニックによって受け取りを禁止されていることがほとんどです。受付業務の人や薬剤師なども同様です。

アメリカ滞在中に何かしらの都合で救急車を呼んで、救急隊員のお世話になることがあってもチップは不要です。(公務員同様の扱いになります)

チップが不要なサービス4:UPSやFedexなどの宅配便

対面サービスと言える宅配便もチップ不要です。

例え、大きな荷物を運んでくれたり、連日のように配達してくれたとしてもチップの支払いは不要です。アメリカの大手宅配業者はチップの受け取りを禁止しています。(Fedexは75ドル以下の物品なら受け取っても良い)

ただし、家具の搬入業者や引越し業者はケースバイケースなので「チップを払いたい」という旨を示したうえで、相手(企業)の規則を伺う必要があります。

チップが不要なサービス5:その他

アメリカでは「チップがいるのかな?」という迷うサービスに直面することがあります。

例えば、アメリカのどこにでもあるスターバックスコーヒーやコンビニ、マクドナルドなどのファストフード店、ガソリンスタンド、お土産屋、パン屋、本屋、さらにはアパレルショップなどは日本人からすれば迷いがちです。

このような迷いがちな場面では「チップ不要」と考えて良いでしょう。店員さんから特別なサービスを受けた場合は別ですが、払わなくてもまったく問題ありません。

また、ひとつの基準として「レジ前にチップ用の箱(チップジャー)」が置いてあるような場面では、チップは払わなくても大丈夫です。なぜなら、お店側は得たチップをスタッフ全員で分配するためです。

「お店」に対するチップとしてなら払っても構いませんが「特定の店員」に感謝を伝えたい場合は有効ではありません。

事実、スターバックスコーヒーでチップを払っているアメリカ人はほとんどいません。(スタバの店員は労働環境が好条件なことも理由)

チップを払う時のマナー

次にチップを支払う際に注意したい最低限のマナーをご紹介します。

マナー1:現金が理想的

チップの支払いは現金が分かりやすいので理想的です。人にもよりますが、サービス代金はカードで支払いをして、チップだけは現金で置いていくというパターンもあります。

日本人にとって難しいのは、伝票にチップ代を加えて決済してもらう時のやり方です。

伝票に記載されているチップ欄にチップ代を記入したうえで、さらに合計金額を書いてサインします。慣れれば簡単ですが、伝票を2枚渡されることや書き方に戸惑いがちです。

ちなみに、伝票を2枚渡される理由は「お店用」と「あなた用」という意味ですので、チップの記入やサイン、提出は「お店用」の1枚だけで大丈夫です。

マナー2:小銭はNG

小銭でチップを払うのはマナー違反です。とくに海外旅行では小銭が増えがちですが、アメリカ人の感覚としてはアメリカの小銭は「本当の小銭」という解釈ですので、必ず紙幣で渡すようにして下さい。

ただし、イギリス(ポンド)やヨーロッパ(ユーロ)では、小額紙幣がないため硬貨を使用しても差し支えありません。アメリカに滞在する時は1ドル札を多めに用意しておくと便利です。

マナー3:直接渡す

チップは出来るだけ直接渡してあげましょう。とくにレストランでは席を立つ際にテーブルに置いて行きがちですが、バスボーイと呼ばれる片付けの人や、マネージャーが回収してしまうこともあります。

感謝の気持ちを伝える意味でも帰り際に直接渡すのがスマートです。アメリカでは教育のために、チップを子どもに渡させる親もいます。

まとめ

以上、「いまさら聞けない!アメリカのチップ文化を徹底解説」でした。

ご紹介したように、アメリカのチップ文化には明確な決まりがないため、あらかじめ学習して準備しておくようなことではありません。

観光でアメリカに滞在する際は「食事」「宿泊」「移動」の3つの場面でチップを払う機会が多いことを知っておきましょう。合わせて、行政サービスやスーパーマーケット、病院などはチップの受け取りが規則違反になる可能性があることも覚えておいて下さい。

個人的には「チップを払わなければいけない」と考えるよりも「チップを払いたいか?」と考えるようにすると、自然にチップの支払いが出来るようになると思っています。

本記事は、2020年7月4日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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