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大統領選挙を翌週に控えたアメリカの様子

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はじめに - いよいよアメリカ大統領選挙

2020年アメリカ大統領選挙に向けて、両陣営による選挙活動はピークを迎えており、メディアの報道も大統領選一色という状態です。

今回の大統領選は「史上稀に見る混戦」と言われていますが、共和党のトランプ大統領が敗北を認めない公算が大きいとされており「投票日以降も揉める選挙」になるとされています。

筆者が暮らすアリゾナ州は共和党と民主党が拮抗する「激戦州」ということもあり、トランプ大統領やペンス副大統領、そしてハリス副大統領候補らが連日のように入れ替わり訪れています。

今回は大統領選を翌週に控えたアメリカの様子について、アリゾナ州で暮らす筆者目線でお伝えします。

大統領選挙を翌週に控えたアメリカ現地の様子について

大統領選を翌週に控えたアメリカはどのような様子なのかご紹介します。

大統領選挙候補者が現地入り

トランプ大統領、ペンス副大統領、ハリス副大統領候補らがアリゾナ州を訪れました。

アリゾナ州は11名の選挙人が割り当てられており、共和党と民主党が非常に拮抗する「激戦州」のひとつとして知られています。このため、両陣営はアリゾナ州でのアピールに余念がありません。

10月28日にはトランプ大統領が州都のフェニックス、ハリス副大統領候補はフェニックスとツーソンを訪れ選挙演説を実施しました。そして、10月30日にはペンス副大統領がフラッグスタッフとツーソンを訪れ、トランプ政権への支持を訴えました。

今回の大統領選において、ハリス副大統領候補のアリゾナ州訪問は初めてでしたが、トランプ大統領とペンス副大統領は2度目の訪問であることから、いかにアリゾナ州を重視しているかが分かります。

トランプ大統領のツイートでは、演説を終えて現地を発つ際に飛行機から撮影したと見られる会場の様子が投稿され、数万人規模の支持者らが集まったことが分かります。一方で、大統領選の主要メンバーが現地を訪れることを知らなかった人が多いのも事実です。

ちなみに、筆者はトランプ大統領が同州を訪れた際、演説会のチケットを申し込みましたが、残念ながら外れてしまいました。


アメリカ大統領選挙に向けた大量のインターネット広告

今回の大統領選はこれまでの大統領選よりも「広告」が多いことが特徴です。

なかでも両陣営が注力しているのが「インターネット広告」です。例えば、YouTubeで動画を視聴しようとすると、必ずと言っていいほどトランプ大統領かバイデン氏の政治メッセージが広告として表示されます。

トランプ陣営はバイデン氏の公約の甘さや、高齢であることなどの批判を繰り返し、バイデン氏の顔を加工して「死に顔」のような演出をする始末です。

一方で、バイデン陣営もトランプ政権が移民排除を繰り返していることや、大企業優遇を繰り返していると主張し、トランプ大統領を悪魔のように仕立て上げています。

このような動画広告の種類は数十から数百パターン用意されていると見られます。見る度に異なる動画広告なので、両陣営がいかに広告費用をかけているかが分かります。

この動画広告のおかげで、学校の授業でYouTubeを使う際に、学生たちの前で政治的なメッセージが流れてしまうという弊害も起きているようです。(筆者も経験済み)

また、「ダイレクトメール」や「自宅訪問」、「電話」による選挙活動も多く、毎日のように大量のダイレクトメールが届きます。筆者が暮らすアパートのゴミ箱は選挙関連のダイレクトメールで溢れかえっています。

アメリカ大統領選挙に向けて、ウォルマートから銃が一時撤去

アメリカ最大の総合スーパーであるウォルマートでは、一部のデモ隊が暴徒化する可能性を考慮し、売り場から銃や弾薬などを撤去する事態になりました。

ウォルマートは全国に4,700店も展開しており「アメリカ人の日常」がすべて詰まっているお店です。そんなウォルマートが一斉に銃などの武器を撤去したことは異例で、大きなニュースになりました。

今回のウォルマートの決定は、10月26日にペンシルベニア州フィラデルフィアで、ナイフを所持していた黒人が警察官に射殺されたことに対する抗議デモを受けてのことです。

警察を擁護する立場を取るトランプ大統領やその支持者らとデモ隊の間で衝突が懸念されたことから、今回の対応に至りました。

しかし、ウォルマートは発表の翌日には銃や弾薬を通常通り陳列し直すことを発表しています。「デモの暴徒化は一部地域にとどまっているため」と説明していますが、銃規制に反対する共和党支持者や全米ライフル協会(NRA)などから「政治的な圧力」があったと見られています。

アメリカ大統領選挙に向けて投票を呼びかける人が多い

アメリカで生活していると「投票しよう」との呼びかけが多いことに気づきます。

例えば、学校や政府機関、スーパーマーケットなどの対面サービスにおいては高い確率で「投票しましょう」と呼びかけがあります。

スーパーマーケットなどでは「I VOTED(投票済み)」と書かれたバッジを付けて働いている人が多く、間接的な投票の呼びかけをしていると言えます。また、学校では先生が投票を呼びかけたり、投票日当日には宿題やテストの締め切りを設定しない配慮もあります。


他にも、車のリアガラスに「VOTE(投票しよう)」と書いている人や、共和党の旗をなびかせて運転している人もたくさんいます。そういう人に共感できる人はクラクションを鳴らして応えてあげるのが通例のようです。

筆者が暮らすアリゾナ州では、圧倒的に共和党支持者による「共和党アピール」が多く、民主党やバイデン氏を支持することをアピールしている人は少ないようです。

ひとたび車を走らせれば「TRUMP」や「MAGA(Make America Great Again)」といったステッカーを貼っている車を頻繁に見かけます。

アメリカ大統領選挙の投票方法「郵便投票」について

アリゾナ州のローカルニュースでは、投票を巡るニュースが盛んに報じられていますが、なかでも目立つのが「郵便投票」についてです。

今回の選挙は新型コロナウイルスの影響で、投票所まで出向いて投票することを避ける人が多いことが特徴です。その結果、郵便投票による投票を選ぶ人が増えていますが「やり方が分からない」という人も多いようです。

アメリカでは郵便投票のルールは州ごとに異なります。コロラド州、ハワイ州、オレゴン州、ユタ州、ワシントン州などはもともと郵便投票を導入していますが、アリゾナ州では病気や障害などの特別な事情がある人のための制度であり、なおかつ事前申請が必要です。

このため、多くの人が「郵便投票をしたいけれど、どうすればいいのか?」と混乱している訳です。アリゾナ州では10月15日までに事前申請を済ませ、10月23日までに投票を済ませる必要があるため「使い勝手が悪い」という声も聞こえてきます。

アリゾナ州では郵便投票が思ったよりも機能していないことが実情と言えるでしょう。それを象徴するように、連日ローカルニュースでは郵便投票の締め切りは終わったと繰り返し報じています。

今回の大統領選では「郵便投票が鍵を握る」と言われていますが、多くのアメリカ人が郵便投票に混乱していることも知っておくと良いでしょう。郵便投票は州によっては手続きが猥雑で非常に面倒くさい投票方法なのです。

アメリカの人々の一部にみられる「選挙疲れ」

筆者は投票権を持たない日本人ということもあり、今回の大統領選に主体的な関わりはありません。そのせいか、大統領選にうんざりする気持ちもあります。

例えば、朝起きてラジオをつけると即座に大統領選のニュースが流れてきて、インターネットニュースも同様に大統領選に関連する記事ばかりです。さらに、多くのウェブサイトで表示される広告の大半が大統領選絡みのため、自ら情報を絶たない限りずっと大統領選のことが入ってきます。

誰かと会っても大統領選の話しになり、買い物に出かけるとトランプ支持者と見られる人がトランプ大統領の顔が印刷されたシャツを着ていたり、アメリカ国旗のマスクを着用し「BIDEN&HARRIS」と書かれたシャツを着ている人がいたりと、異様な盛り上がりに疲れてしまうのが本音です。

この状態はアメリカ人でも感じるようで、知人は「選挙の時はできるだけ外出しない」そして「テレビは観ない」ことを徹底しているそうです。事実、候補者によるテレビ討論会は一切見ていないそう。

別の知人は「どちらの選挙公約も知らないし興味がない」と言っており、投票にも行かないとしています。ローカルニュースでは「どちらが勝っても最悪」と、投げやりな若者が紹介されていましたが、実際のところを報じたまでのようです。

日本も含めて世界中で関心が高いアメリカの大統領選ですが、アメリカ国内では大統領選に疲れて冷ややかな目を向けている人が多いことも事実なのです。

まとめ

以上、「大統領選を翌週に控えたアメリカの様子」でした。

大統領選を翌週に控えているアメリカでは、両陣営が連日のように激戦州のどこかで選挙演説を実施しています。盛り上がりを見せる大統領選ですが、若者を中心にうんざりしている人が多いのも事実です。

広告では相手の批判が繰り返され、メディアではそのメディアが支持する政党を持ち上げる偏った報道ばかりで、中立性を欠いています。広告やウォルマートのように、大統領選を巡って人々の生活に影響が出ていることも確かなので「早く終わってほしい」と考える人も多いようです。

11月3日の投票日、そしてその後の開票結果を巡る攻防にも注目しましょう。


本記事は、2020年11月4日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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