はじめに
「市役所」で働く「保健師」のキャリアレポートです。
公務員としての職業・勤務先:保健師 / 市役所
性別:女性
雇用体系:正規雇用
所有資格:看護師・保健師・第2種養護教諭・衛生管理者第1種
「保健師」を目指した理由
母が看護師であったことから、幼い頃から看護師を目指していました。そのうちに看護師の免許をベースに保健師という資格があるのを知り、興味を持ち始めました。
「保健師」の仕事内容について
市役所での「保健師」の仕事は、年代別にチームが分かれていて、私は母子保健の担当でした。その名の通り、母子の健康を守るための活動をいろいろします。
母親に対しては、出産前から出産や育児について一般的な流れを伝えたり、母親からの質問に対応したりします。同時に、親の立場になるのは父親も一緒なので、両親学級を企画して、両親が協力しあって育児に参加できるように支援します。 最近では、母子家庭も増えてきているので、そういった場合もケースごとに必要な対応を綿密に考え、母子ともに成長していけるようにアプローチします。
子どもに対しては、3ヶ月健診や1歳6ヶ月健診など、月齢に応じた健診を企画して、無事に成長しているか見せていただいたり、もしできていなそうな場合はその原因と原因の排除がなるべく早急にできるよう、対応を考えていきます。子どもの成長がうまくいかないとき、親はとても悩みます。子どもがしっかりと成長でき、その子どもを育てている親も、自信を持って育児をしていけるよう、不安について傾聴し、よりよい方法を一緒に模索していくスタンスで関わっていきます。
「保健師」の1日の仕事の流れ
7時30分ごろ…電車と自転車を使い出勤します。 わたしは朝礼より早めに出社して、コーヒーを飲みながら朝食を取るのが日課でした。
8時30分…朝礼が始まります。自分の担当しているチームのスタッフだけでなく、保健師が一度に顔を合わせます。各チームでの連絡事項や、最近の市内での出来事があればここで共有します。そのあとチームに分かれてミーティングを行います。
9時…今日の健診を受ける母子の確認と、要観察になっている母子の共有を行います。要観察というのは、母子家庭であったり、出産前から何らかの問題を抱えていたり、以前の健診で再検査が必要だった子、精神的に不安定な親、などの特別なケースのことを指します。
10時…健診が始まります。誘導や健診の介助、親への問診、相談窓口での対応など、その日によって担当が変わるので、自分の担当ブースで仕事をします。
12時…休憩をとります。
13時30分…健診のまとめをします。結果とこれからの行動計画を立てます。必要によっては家庭訪問したりもします。
15時30分…行動計画を具体化させるため、親に連絡をとって面談の日程調整をしたり、児童相談所との連携を図ったりします。
17時…定時で退社となります。
「保健師」の給料・残業・有給休暇について
月収約30万円(残業代含)、ボーナスが66万円、年収にすると420万ほどでした。
残業は0ではありませんが、つらいほどはなく、ほぼ定時で退社できていました。有給は子育てをしながら仕事をしているスタッフの方がとりやすい印象はあるものの、事前に申請をすれば難癖をつけられることはありませんでした。
この仕事で、働いているときに困ったこと
わたしは「看護師」の経験がほとんどないまま「保健師」として就職しました。「看護師」としてのスキル、また社会人としてのスキルもほとんどないままの市役所勤務は、最初はとてもプレッシャーに感じていました。相手は市民ですから、丁寧な対応が求められますし、一般常識・マナーの面では特に苦労したように思います。
また、入社した時点で、そういった一社会人としてのスキルはもう持っていて当たり前のようなスタンスで先輩方に見られていたので、より大変に感じていました。
この仕事や職場でよかったこと
「保健師」としてのスキルに関しては、教育担当のスタッフが細かく指導してくださったおかげで、段階をふんでスキルアップしていくことができました。一社会人としてのスキルアップをはじめ、自分で出来ることは自分の力でどんどんキャッチしていく力が求められましたが、専門職者としてのスキルについては、根拠も含めしっかり教えていただけました。
公務員、市役所勤務ということで、お給料の面も大変安定していたと思います。お休みも取りやすかったので、「休めない」という負担はなく、毎日楽しんでお仕事できていました。
「保健師」の仕事エピソード
大失敗だったのは、健診で要観察項目があったのにあまり話を聞くことなく帰宅させてしまい、後々母子の健康な成長が妨げられてしまうようなことにつながってしまったケースです。
具体的には虐待事例で、一般的な子どもの成長度合いにしては体重が軽かったり、予防接種が未接種だったり、いろいろ疑えるポイントはあったのですが、健診中の母親の様子から、「大丈夫だろう」という印象から安易な判断をしてしまいました。後日幼稚園から子どもが虐待にあっているのではないかという問い合わせをもらい、事に気がつきました。
そしてその後、子どもは施設で暮らすことになりました。あの健診でもし少しでも母親に声をかけていたら、もう少し子どもの様子を詳しく観察していたら、母子をバラバラにしなくてはならない事には発展しなかったのかなと思うと、いつ思い出しても悔やまれます。
「保健師」の職場恋愛について
わたしのいたところは田舎だったのでとても多いです。中学の同級生や、先輩後輩同士が、市役所に勤務するようになって再会し、交際につながることも多々あったようです。
あるいは、市役所内での結婚に伴う結婚式も、出会いの機会になっていた印象があります。内部と言えども部署が違えばわりと遠い存在ですし、仕事に支障が出るようなことも少ないので、市役所内での結婚は珍しくなかったと思います。ちなみにわたしは内部の方とお付き合いをしたり、結婚したりしたことはありません。笑
まとめ - 「保健師」を目指す方へメッセージ
「保健師」というとなかなか仕事の内容が思い浮かばない方も多いかと思いますが、市区町村全体を見渡すことができ、そこに住んでいる方々や地域特性からのニーズに答えようと模索していく毎日は、刺激であふれていて楽しいと思います。
最近は新卒での採用も増えているようですので、若手の方もぜひ「保健師」の世界に飛び込んできてほしいと思います。
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