「市町村の保健センター」で働く「保健師」の仕事内容・給料レポート

「市町村の保健センター」で働く「保健師」のキャリアレポートです。

今回は、その仕事内容や一日のスケジュール、年収(給料・ボーナス)や残業状況・職場恋愛などについてインタビューしたものを編集して掲載します。


はじめに

「市町村の保健センター」で働く「保健師」のキャリアレポートです。

レポート者のプロフィール

公務員としての職業・勤務先:保健師 / 市町村の保健センター
性別:女性
雇用体系:正規雇用
所有資格:看護師、保健師、養護教諭2種

「保健師」を目指した理由

「保健師」は、結婚して子供ができても続けやすい平日昼間の勤務で、厚生もしっかりしているので長く続けられると考えました。また、「看護師」と「保健師」がいっぺんに受験できる大学に通っていましたが、「保健師」の実習が想像していたよりも興味深くて、この仕事に就いてみたいと思いました。

「保健師」の仕事内容について

市町村の保健センターに勤務する「保健師」の仕事は、主に母子保健と成人(定年した方が主)保健です。

母子保健の業務は、母親学級の開催、乳幼児家庭訪問の実施、乳幼児健康診査の運営、育児教室の開催、子育て相談といったものがあります。母親学級や乳幼児健康診査、育児教室は、「保健師」が輪番制で教室の司会や受付を務めます。

乳幼児健康診査では、大勢の「保健師」がそれぞれの役割を分担しながら、運営していきます。例えば、全体を見渡す総括係り、それから検診時の問診や結果説明の役割が複数人、診察時に医師の介助にあたる者などがあります。

一方、乳幼児家庭訪問は、「保健師」がそれぞれ約1万人規模の地域を受け持っていて、出生した子供の家庭訪問から、その後も同じ「保健師」が、個別で継続的に子育ての相談にのっています。

成人保健は、ガン・結核・一般検診、健康相談、健康教室、機能訓練(地域密着型のリハビリ)、家庭訪問等があります。検診や健康教室、または集団向けの健康相談では、保健師が輪番制で教室の司会や受付を務めます。

家庭訪問は、母子保健と同様に、各保健師がそれぞれ地域を受け持っています。病院や地域のボランティア、家族等から相談や依頼があった場合は、この地域担当保健師が家庭訪問して個別の相談に応じます。

さらに機能訓練は、業務担当の「保健師」が常時いて、参加者の集団の中での様子に気を配りながら長く付き合うとともに、プログラムを考えたり、外部講師の交渉を行います。そこへ、個別に関わっていた訪問ケースのうち、参加が適当と思われる方に地域担当保健師が声をかけ、こうした教室へ誘い、集団と繋がっていくきっかけを作っています。

「保健師」の1日の仕事の流れ

7時50分:自宅を出て自転車で出勤
8時30分:朝礼
8時40分:乳幼児健診会場の準備と地元で考えた健康体操を実践
9時:家庭訪問(公用車であらかじめ連絡をしていた家庭を訪問。午前中なら2件) 家庭訪問に行かない場合は、健康教育の準備や検診フォロー者の割り出し、担当業務の事務処理や様々な会議(児童相談所、都道府県保健所、福祉課、社会福祉協議会や自治会等)への参加
12時頃:昼食休憩
13時:乳幼児健診に就労
15時30分:健診の事後処理やスタッフ全員でのカンファレンス
16時過ぎ:翌日以降の家庭訪問の予約や継続フォローしているケースの関係機関連絡、または今後予定されている健康教室の司会準備等
乳幼児健診がない場合は、午後の家庭訪問や健康教室等、日によって業務が異なります17時15分:終業


「保健師」の給料・残業・有給休暇について

私の場合ですが、月給が約25万、ボーナスが約50万×2回で、年収は約400万円でした。

残業は担当業務によってありますが、仕事の仕方ややりくりの仕方によって、ほとんどしなくてもやっている人もいました。有給休暇は1時間単位で取れるので、ちょっとどこかに寄ってから出勤するとか、少し早めの早退というのも可能で、働きやすいと思います。

この仕事で、働いているときに困ったこと

役所の仕事なので、全てが法律に基づいているのものです。そのため、もっと効率の良いやり方を実践したくても、公共性に問題はないかとか、様々な角度から考えなくてはならず、簡単に変更ができないことが多いです。

必ず事業実施の前〈年度が始まるときに〉係長、課長、部長の承認を得てからでないと動き出すとこができないので、前例を大きく変えるという場合は、それを十分説得しうるものが提示できるとともに、前もって十分に根回しをして理解を得ていくというプロセスを踏まなければならないのが、難しく少し改善したいと思いました。

この仕事や職場でよかったこと

新人の時から、研修がきちんとしていました。また、ある程度経験がある先輩がついてくれて、徒弟制のような感じで、それぞれの特徴やペースに合わせて手取り足取り教えてもらえたのはとても良かったと思います。

また、専門職でなので、全然畑の違う仕事に異動になるということはないので、経験を積んでいけば自分の実力があがってきていることを実感でき、その経験を仕事に生かすことでまた認められるので、やりがいにもつながりやすい仕事だと思います。

「保健師」の仕事エピソード

多問題の家庭で警察や地域の方、関係機関などが問題が起こるのではないかとハラハラしているようなケースの担当をしていると、いろんな方から叱咤激励の連絡が頻繁に入ります。そういった声に対して、プレッシャーやストレスを感じることも多々あります。

ごみ屋敷で半分死にかけているような人を説得して病院へ連れて行ったり、支払い能力が十分ではないために診療を拒否された脳卒中患者の診療を、医師に頭を下げて依頼したり、病気のせいで夫婦喧嘩が絶えなくなってしまった家庭に仲裁に行ったり、心臓がとび出そうなほど緊迫した経験は何度もありました。

ただ、いろいろあっても、後になって患者さんや家族が「あの時はありがとう」と言ってくれたり、地域の人から「よくやってるよ」「たいしたもんだ」と言ってもらえるのが何よりも嬉しいです。

「保健師」の職場恋愛について

職場恋愛で結婚した同僚もいます。役所の一部なので、新人研修から事務や技術系職員と一緒の研修を受けるので、役所の中の人と仲よくなる率は多いです。

また、会社の部同士や課同士の飲み会や新人と2~3年目の職員の飲み会があったり、役所の部活動に入部すれば、全然仕事では知り合わない部署の人とも交流できるなど、さまざまな出会いの機会があります。

職員の運動会やお祭りのボランティアなど、人事課が間に入って職員同士が交流を持つ機会を作ってくれているので、職員同士で付き合っていたり、結婚するケースはかなり多いと思います。

まとめ - 「保健師」を目指す方へメッセージ

やればやるだけ面白みが出てくる仕事です。

本記事は、2021年6月2日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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