自衛官に重視される『体力検定』
体力が重視される自衛官は、体調管理は当然、普通以上の体力、体力アップが求められる仕事です(病弱・虚弱体質の自衛官はいません!)。
そんな自衛官の指標となるのが年に1回(以上)実施される体力検定です。
体力検定のことを、陸上自衛隊では『体力検定』、海上自衛隊では『運動能力測定』、航空自衛隊では『体力測定』と呼称しています。
『体力検定』は、すべての自衛官が実施する『共通の体力検定』と、それぞれに違う『戦技に直結する体力検定』の2種類に大別されます。
以前は自分の体力を確認するものでしたが、現在は『体力検定』の結果が重視されるようになっています(『体力検定』の結果が条件以下だとその年の階級の昇給がなくなります)。
自衛隊における『共通の体力検定』について
陸・海・空のすべての自衛官が参加する『共通の体力検定』について説明します。
種目は「腕立て伏せ」「腹筋」「3,000メートル走」です。
腕立て伏せ | 時間:2分間 ※2人1組で実施 |
実施者が腕を曲げた際、補助者が地面に置いた手の甲に顎(あご)を付けたら1回カウント(付かなければカウントしない)。 腕を曲げ伸ばしする際は(腰を曲げずに)体幹を一直線に保つ。 |
---|---|---|
腹筋 | 時間:2分間 ※2人1組で実施 |
補助者は実施者の足首を押さえる。 実施者は、頭の後ろで手を重ねて肘を前に出す(指を組むのはNG)。 上体を倒す際は「肩甲骨が地面に触れるくらい」まで、上体をは「肘が太ももや膝に触れる」まで起こす。 |
3,000メートル走 | 規定時間以内に走る事が出来れば検定値として記録。 |
それぞれの種目で記載以外の細かな検定ルールが設けられています。順番は特に決まっていませんが、体力を使う3,000メートル走を最後にすることが多いようです。
自衛隊の『共通の体力検定』の評価・判定
年齢・性別により検定結果による得点が与えられます。
15〜24歳男性の場合、体力検定1級は得点94点以上なので、腕立て伏せ 82回以上、腹筋 80回以上、3,000メートル走10分38秒以下です。2分間の時間制限が厳しいですね。
腕立て伏せ | 腹筋 | 3,000m走 | 点数 | 級 |
---|---|---|---|---|
82 | 80 | 10分38秒 | 94~100点 | 1級下限 |
72 | 72 | 11分34秒 | 86~93点 | 2級下限 |
62 | 64 | 12分30秒 | 78~85点 | 3級下限 |
56 | 58 | 13分04秒 | 73~77点 | 4級下限 |
50 | 53 | 13分39秒 | 68~72点 | 5級下限 |
40 | 45 | 14分35秒 | 60~67点 | 6級下限 |
※15〜24歳の評価基準
※年齢・性別ごとの検定資料
『体力検定』不合格の場合、(部隊内で年間数回程度の『体力検定』があるので)再トライするチャンスがあるのは救いです。
しかし、これにプラスして『戦技に直結する体力検定』があります。
陸上自衛隊の場合、小銃を所持しての50メートル走、立ち幅跳びの要領で前方に飛ぶ超壕(ちょうごう)、水の入ったポリタンク2個をトラックの荷台から降ろして、50メートル運搬、再度トラックの荷台に乗せる「重量物の卸下(しゃか)、運搬、積載」が実施されます。
海上自衛官、航空自衛官も、それぞれ『戦技に直結する体力検定』が用意されています。
▼参考URL:航空自衛官の体力測定実施基準について(外部サイト)
自衛隊が体力を重視する目的
体力が重視される自衛官は、その目的は自衛隊の精神にあります。
「自衛隊山形地方協力本部」の募集広報用動画に、その精神が表れています。
『鍛えてるんじゃない。備えているんだ』
▼参考URL:YouTube|鍛えてるんじゃない。備えているんだ。
有事・災害に備えること。
そのための鍛錬であり、その結果を知る指標のひとつが『体力検定』なのです。
まとめ
以上、「自衛官が鍛錬する理由」でした。
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コメント
コメント一覧 (3件)
一般の会社にはない体力検定という項目に興味を惹かれました。自衛官というと体力がある人が就いているイメージでしたが、体力を維持し続けることが大切なのだとこの記事を読んで感じました。
体力が昇給に関わるというのが、自衛隊ならではと思いました。陸・海・空で体力検定の呼び方が違うのが面白かったです(統一させようとは思わないのだろうなとも思いました)。体力検定の意義、目的も知る事が出来て良かったです。
知ってよかった点ですが、やはり体力検定は、あるんですね。体力がないともしものときに人の命が救えないと困りますしね。国のために本当にありがたく思います。