化学兵器禁止機関(OPCW)の基本情報

国際連合の関連機関である「化学兵器禁止機関(OPCW)」の組織について基本情報をまとめました。


はじめに

国連の関連機関には、化学兵器の禁止と拡散防止のための世界的な活動を目的とするOPCW(化学兵器禁止機関)というものがあります。

本ページでは、「OPCW」とはどのような組織なのか基本的な情報についてまとめました。

「OPCW」は化学兵器禁止機関のこと

「OPCW」はOrganisation for the Prohibition of Chemical Weaponsの略で、日本語に訳すと「化学兵器禁止機関」のことです。

「OPCW」は、国連、つまり国際連合の関連機関の一つで、1997年に「化学兵器の禁止と拡散防止のための世界的な活動を目的とすること」を目的として設立されました。

なお、日本が「OPCW」に締約したのは、1997年です。

「OPCW」の組織体制について

「OPCW」の本部は、オランダのハーグにあり、締約国会議、執行理事会、技術事務局が設置されています。

締約国会議

締約国会議は、年に1回開催され、全締約国からなる条約のあらゆる問題を検討・決定することができる最高意思決定機関です。

執行理事会

執行理事会は、全締約国のうち、各地域グループから選出された41か国によって構成される「OPCW」の執行機関であり、懸案事項の討議などが行われます。

技術事務局

技術事務局は、締約国会議および執行理事会の補佐、条約の検証措置の実施等を行う機関です。

技術事務局には、事務局長が置かれ、その下に事務局次長が置かれ、下部組織として法律顧問室・政策立案事務局・機密安全室・事務局次長・観望主任・特別補佐官・特別計画室・内部監査室が配置されています。

事務局次長には、その下部組織として健康・安全部、予算計画官、検証局、査察局、生涯局、国際協力・援助局、行財政局が置かれています。


この技術事務局では、実動の査察活動も多く、2013年9月までに約5,300回の査察が実施されています。

「OPCW」の役割

「OPCW」の主な役割は、化学兵器とその使用の脅威のない世界のビジョンを達成するために化学兵器禁止条約の規定を実施することです。

具体的には、下記の4つの役割を担っています。

1つ目は、信頼できる透明な体制を維持するため、正当な国家安全保障と財産的利益を保護しながら、化学兵器の破壊を検証するための信頼できる透明な体制を確保し、それらの再出現を防ぎます。

2つ目は、化学兵器に対する保護と支援を提供します。

3つ目は、化学の平和的利用における国際協力を奨励します。

4つ目は、ユニバーサルメンバーシップとして普遍的に国際協力と国家能力開発を促進します。

▼参考URL:国際連合広報センター「化学兵器禁止機関(OPCW)」(外部サイト)

「OPCW」の主な活動

「OPCW」の主な活動は、下記の8つの分野に細分化されています。

1)化学兵器の排除
2)再出現の防止
3)国の実施の支援
4)平和のための化学の推進
5)準備の確実性
6)化学兵器の使用への対応
7)被害者の支援
8)普遍性の実現

化学兵器の排除

「OPCW」は、化学兵器の排除のため、加盟国とともに検証体制の監視下で化学兵器の備蓄を完全に排除するための活動を行っています。

再出現の防止

「OPCW」は、テロリスト・犯罪グループ・個人などによって既存の科学施設の転用などの生産や専用の実験室や家庭環境で小規模に製造される化学兵器などが再出現しないよう、発生を防止する活動を行っています。

国の実施の支援

「OPCW」は、「化学兵器禁止条約」の締約国に対し、化学兵器の製造または使用など、個人・企業が条約で禁止されている活動を行うことを禁止する法律を採用することを要求し、組織と他の締約国との効果的な連絡のための国家の中心となる国家当局を指定または設立を支援する活動を行っています。

平和のための化学の推進

「OPCW」は、化学兵器の使用に対応する国の能力を構築するため、化学兵器の撲滅と再出現の防止を目的とし、化学品の自由貿易の促進と化学の平和的利用に関する情報と知識の交換に関する活動を行っています。

準備の確実性

「OPCW」は、化学兵器の使用に対応する国の能力を構築するため、検出と警報システム、防護・除染装置、医療支援と治療に関するトレーニング、防護対策に関するアドバイスなど、この分野の特定プログラムを提供する活動を行っています。


化学兵器の使用への対応

「OPCW」は、加盟国が化学兵器の使用や、他国との条約で禁止されている行動によって脅かされていることを理由に要請した場合の緊急援助活動を行っています。

なお、化学兵器の使用によって死傷者が出たという証拠があり、迅速な行動が求められている場合には、「OPCW」の事務局長は援助するために緊急措置をとる権限を与えられています。

被害者の支援

「OPCW」は、被害者の支援に関し、恐怖を経験した化学兵器の犠牲者など、生存者の尊厳を守るため、核兵器の規範の保護・強化・拡大などをサポートする活動を行っています。

普遍性の実現

「OPCW」は、普遍性の実現のため、化学兵器を禁止する国際的な規範を強化し、信頼醸成装置として条約を強化して化学兵器の拡散を防ぎ、非国家主体による化学兵器へのアクセスを拒否するための活動を行っています。

まとめ

本ページでは、「OPCW」とはどのような組織なのか基本的な情報についてまとめました。

本記事は、2021年9月8日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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