【元幼稚園教員の体験談】週案に関する学年会議で話し合うことは?

教師が日々の保育を進めていくにあたり、園の指導計画をもとに子ども達の目指す幼児像に向かうよう、学年で同じ方向に向かって共通にしておかなければならないことが沢山あります。そこで実施しているのが学年会議です。

行事や時期によって話し合う内容も様々ですが、1週間の保育計画の話し合い=週案に関する学年会議は定期的に行います。

今回は、週案にスポットを当て「学年会議」で話し合うことについて紹介していきたいと思います。


短期の指導計画「週案」とは?

保育の指導計画には長期の指導計画と短期の指導計画があります。

週案は短期の指導計画の1つで、1週間の中で行う行事予定や活動内容、環境構成や教師が援助するポイントについて計画するものです。

週案の作成においては、先週の幼児の実態を踏まえ、発達の様子に合わせて適切な保育を進めていくために必要になります。

週案があることで、教師も具体的な保育の目安をもつことができ、保育の振り返りもしやすくなります。

》参考URL
【保育士向け】週案の書き方とは?年齢別の作成ポイントや記入例をご紹介 | 保育園・幼稚園向けのICTシステム|Child Care System (c-c-s.jp)

幼児の思いをつなぐ指導計画の作成と保育の展開(令和3年2月) (mext.go.jp)

週案に関する学年会議の内容

では、ここから具体的に週案に関する学年会議ではどのようなことを話し合っているのかについて紹介していきます。

幼児の実態

各学級ごとに幼児の実態も異なるので、学級の実態や課題を教師間で共有していきます。

ただ、実態についてもダラダラ話していると時間が足りませんのでポイントをしぼって話をすることが必要になると思います。

その際、実態を話すポイントとしては以下の3点になります。

1)計画していた『子どものねらい』に対して幼児の姿はどうだったのか


『子どものねらい』=“こうなってほしい”という幼児の姿に、学級の子ども達は近づいたのか、設定したねらいが適切であったかという視点で振り返ります。

2)気になる幼児の姿

どこの園でも、どの学級の中でも、何人か『気になる幼児』がいるかと思います。

気になる幼児の姿があれば学年会議の中で話をしておくことで、学年の先輩教師から気になる幼児への対応アドバイスをもらえることもあります。

また、学級担任も気になる幼児の特性を周りの職員に伝えておくことで、学年全体で『気になる幼児』への個別対応や配慮を意識してもらうことができ、協力を得ることができます。

3)どのような遊びが盛り上がっているか・子どもが興味を示していること

教師側が意図的に経験してほしいと思って設定した遊びとは別に、好きな遊び(自由遊び)の中で子ども達の中から発生した遊びもあります。

例えば夏休み明け、キャンプを経験した子ども達からキャンプごっこが始まり、その遊びが盛り上がるなど、日々の子ども達の生活の中で経験したことが遊びに表現されることもあります。

自然発生的に出てきた遊びがあれば、隣のクラスの遊びが停滞していた際には刺激になることもあるので、学年会議の中で報告しておきます。

週のねらい

幼児の実態を踏まえて、園の指導計画を参考にしながら『週のねらい』をたてることが必要です。

私が勤めていた園は週のねらいは学年共通にし、「内容」は各学級担任が学級の実態に合わせて考えて作成していました。

行事・日程確認

週の中で、園全体でどのような行事があるのか・持ち帰る物がある日があればいつに設定するのかについて学年で共通理解しておきます。

また配布物や学年だよりの締め切り等についても確認しておき、締め切りから逆算して仕事を進められるように午後の仕事の見通しも立てておきます。

活動内容

子ども達の活動内容としてはどのようなことをするのか具体的に話を詰めていきます。

1)課題製作


時期によってですが、子ども達が必要な経験ができるように製作を行うこともあります。

製作するにあたり、何のために作るのか=ねらい、準備するもの、作り方について検討します。

ちなみに私が勤めていた園では、『学年で共通して同じものを製作する』時と、『経験することは同じであるが作るものは別のもの』という時がありました。

例えば、学年で共通して同じものを製作するのは、母の日のプレゼントや卒園児にあげるプレゼント等でした。

そして学級の壁面製作等は『はじき絵の経験ができるようにする』ということは同じにしておき、「1クラスはTシャツ」「もう1クラスは傘」にはじき絵をしていました。

大事なのは、『何のためにするのか』『どのような経験を子ども達にさせたいのか』ということについて学年で経験の差が生じないように、大切なことを共通にしておくことです。

2)好きな遊びの時間に設定するコーナーや意図的な遊び

好きな遊びの時間は、子どもがしたい遊びを自分で選んで遊ぶ時間です。

しかし、勘違いしてはいけないのは「ただ自由に遊ばせておけばよい」という時間ではないということです。

教師は時期と発達に合った遊びを考え、子ども達が「やってみたい!」と思えるような環境作りをしておくことが必要になってきます。

そのため、例えば夏であれば『水に触れながらいろいろな試みを経験してほしい』というねらいがあれば、「色水遊びができるコーナーを設定してみよう!→準備は?→教師の援助のポイントは?」といったことについて学年会議で話し合い、共通にしておきます。

3)一斉活動で行う集団遊び

学級全員が集まった時にこそできる遊び・好きな遊びではあまり関わることのない友達とも関わりを持って遊ぶことができることが一斉活動の良さです。

時期と子どもの発達状況によって、「今、この時期の子ども達がどのような集団遊びの経験をしておくと良いのか」について学年で共通にしておきます。

若手の先生がいれば、集団遊びの『ねらい』『遊び方』『教師の言葉がけのポイント』についても具体的に説明していきます。

学年で同じ遊びを共通にして経験しておくことで、好きな遊びの時間には色々な学級の子ども達が一緒になって、1つの集団遊びを楽しめるようにもなります。

保育を実践してみて、教師として難しい・課題と感じたこと

特に若手の教師が多い学年では、保育の中でどのように援助したら良いのかと悩む教師もいると思います。

普段の雑談の中で先輩教師に聞けるのが良いですが、なかなか忙しい日々の中で聞くタイミングがないこともあるでしょう。

そんな時にこそ、先輩教諭も集まった学年会議の中で保育の悩みを相談することで、悩みに対する助言や対応の体験談などもアドバイスとしてもらうことができますよ♪


週案に関する学年会議の頻度は?

私が勤めていた園では週案は、少し先の見通しを持てるようにすることと、学年会議の効率化のためにもだいたい2週分をまとめて行っていました。

2週間に1度、週案に関する学年会議を行っていたということです。

もちろん、よりこまめに学年会議の時間を設けられるのであれば、1週間ごとに行っても良いと思います。

まとめ

今回は、週案に関する学年会議の内容について詳細に紹介してきました。

日々の保育を振り返りながら、園の教育目標に向かった指導計画に沿い、発達状況に合わせた短期の計画をしていくことで、教師も目安となるものができるので保育を進めやすくなります。

何をするか、何を作るかなど活動のみについてではなく、『ねらい』を明確にし、教師がどのような援助をすると良いのかについて、学年主任を中心に学年全体で共通にしていけると良いですね。

それが結果的に保育に関わる全ての教師達の資質向上にも繋がります。

限られた貴重な時間の中で行わなければならない学年会議になりますので、会議に参加する職員は学年の教師達に伝えたいことを整理しておいて学年会議に望めるようにすると良いですね。

本記事は、2023年8月3日時点調査または公開された情報です。
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