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アメリカの社会状況2020

アメリカの有色人種に対する差別状況、現地日本人レポート(2020年5月情報)

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目次

はじめに

新型コロナウイルスが猛威を振るうアメリカで、アジア系の人達が公共の場で嫌がらせを受けたり、襲われたりする事件が相次いでいます。

実際に西海岸にあるアジア人系N G Oに、たった2週間で1000件以上の差別や嫌がらせの報告が寄せられました。

トランプ大統領に政権が移って以来、大統領自らの人種差別的発言が、多くのメディアで取り沙汰されています。

今まではメキシコ移民や中東、アフリカ出身の人達が、大統領発言によって差別の標的になっていましたが、アジア系の人達を標的にした事件はほとんどありませんでした。ところが今回トランプ大統領の“チャイナウイルス”発言が引き金となり、アジア系の人たちへの嫌がらせが一気に多くなりました。

今はコロナウイルスという大義名分があるので、法律によって抑圧されていたアジア人に対する社会的、経済的不満が一気に爆発して、堂々と嫌がらせが行われています。しかしコロナ騒動がなければ、アジア人に対する差別はないのかといえば、そうでもありません。

元々アメリカ人の白人は、自分達が世界で一番だと子供の頃から教育され、ごく自然に有色人種は自分達より劣っていると思っています。そしてなかには、自分達より劣っているはずのノンホワイトが、裕福な暮らしをしているのをよく思わない人もいます。

マイノリティ差別

アメリカ社会では社会の中の不公平を無くすため、黒人、ヒスパニック系とネイティブアメリカン(インディアン)は、マイノリティとして優遇されています。社会にはマイノリティ枠というものが存在し、学校に入学する時や会社の就職の際に、白人ばかりが優先されないよう、企業や学校は、決められたパーセンテージの有色人種を入れなくてはなりません。

しかしアジア系は、このマイノリティの枠の中には入っておらず、優遇対象から外されています。その理由は、多くのアジア人が高学歴で、経済的に余裕があるからだそうです。

確かに成績優秀で生活能力があって自力で頑張れる人を、社会が過度に優遇する必要はないと思います。しかし親が高学歴で、富裕層に属する他のマイノリティも、中にはいる筈です。そして全アジア人が、成績優秀で裕福な家庭出身だとは限りません。

例えば、東南アジア出身の経済難民としてアメリカに移住してきた人達も、アジア系の枠に一括りにされるため、マイノリティとしての優遇措置を受ける事ができません。マイノリティ優遇措置が本当の意味で、社会の中の不公平感を無くすための物なら、なぜアジア人だけが優遇措置から除外されているのか、そしてなぜ他の有色人種は無条件で優遇されるのか疑問が残ります。

私が勤めている図書館も、200人近くいる職員はほとんど全員白人で、アジア系の社員は私一人だけです。採用されたのもボランティアを1年以上して、他の職員と顔見知りになってからで、ボランティアをする前は何度募集に応募しても、履歴書の時点で不採用になっていました。


そう考えると、今までずっと差別を受けた経験がないと思っていたのは、アジア系移民としての自分が、社会から受けてきた差別や偏見に気付かなかっただけ、なのかもしれません。

偏見による差別

アメリカは国が大きいせいか、州によって文化や人の対応が全く異なります。ここ数十年で有色人種に対するあからさまな偏見は、ずっと減りました。しかし潜在的な偏見を消し去るのはずっと難しく、心の中では、女性よりも男性の方が、肌の色が濃い人よりも薄い人の方が、理知的で勤勉、性格も良いと、ほとんどの人が思っています。

残念ですが、アジア系もあまり利口な人種だとは思われていません。しかし多くのアメリカ人は同じアジア系の中でも、日本人に対してとても友好的です。日本人は勤勉で責任感が強く、優しくて親切だと、大抵のアメリカ人は答えてくれます。日本の事が大好きで、機会があれば日本人と仲良くなろうと思っているアメリカ人も沢山います。

しかし今、アメリカに住む人々は、コロナウイルスがアメリカ中で大蔓延しているのは、中国人のせいだと多かれ少なかれ思っていて、社会全体がピリピリしていて、今までアジア人とほとんど接したことのないような人も、メディアの情報だけで、中国人が嫌いになっています。

ウイルスによって職や家族を失い、被害にあった人々のストレスが中国人に向けられ、中国人以外のアジア人に対しても飛び火してくる可能性も考えられます。いくら日本人が他のアジア人と比較すると高評価だったとしても、同じアジア系人種としていつ標的になるかわかりません。

大半の人は気さくに接してくれます。それでも咳やくしゃみをしたりすると、あからさまではないまでも、やはり他人の仕草や視線が「自分がアジア系だからではないか」と、きになってしまいます。

このようにアメリカに住む多くのアジア人は、普段ならあまり気にしなかったようなことにも気を配り、危ない目に合わないよう以前より気を付けるようになったと思います。

まとめ

いつの時代も、人間の本質はあまり変わらないようで、アメリカ合衆国建国以来、白人の有色人種に対する差別は、事あるごとに何度も繰り返されてきました。太平洋戦争では日本人が、冷戦後はロシア人が、911ではアラブ人が、そして今回はコロナウイルスの流行が引き金となって中国人が、差別の対象になっています。

ウイルスの流行をきっかけに、そんな差別や偏見があらわになった分、今は非常事態の際の人間性が問われているのではないでしょうか。

この先どのようなニューノーマルがやってくるのか、今はまだ誰にもわかりません。元のような社会は戻らないかもしれませんが、今より少しでも良い社会になって欲しいものです。

以下Twitterで本テーマの話題についていくつか調べてみましたので掲載します。


https://twitter.com/dumbledore5555/status/1688879836876689408?s=20

 

本記事は、2023年9月27日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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