幼稚園ではどのようなクレームが多いの?
幼稚園に入れられるクレームには、基本的には我が子に関するクレームが多いです。
具体的にどのようなクレームが多いかについて紹介していきます。
よくあるクレームその1:子ども同士のトラブル
どの保護者もよく気にするのが、友達関係に関することです。
「家に帰ってから元気がなく、話を聞いたら~くんに〇〇〇と言われて我が子が落ち込んでいます」
「我が子がお友達にダメって言われて仲間にいれてもらえなかったみたいです」
といったような内容のことを保護者から言われたことがある人は多いのではないでしょうか。
よくあるクレームその2:子どもの怪我
子どもの怪我に関しては、担任も怪我に気づいていれば、確実に手当をして降園後すぐに保護者に伝えるようにしていると思います。
ただ、中には自由遊びの時間に園庭で遊んでいて膝をすりむいていたということもある場合、痛みに強い子だと泣かなかったり、保育者に言わずにそのままにしている子どももいたりします。
「ちょっとした怪我なんて大丈夫です~!」という保護者もいれば「え!?どうしたの!この傷!いつしたの!?誰かに押されたの!?」といった反応をする保護者もいます。
よくあるクレームその3:参観時の我が子のポジションや役
運動会や発表会は、子どもの日常の保育の中で頑張っていたことの成果を保護者に見てもらう貴重な機会です。
ただ、保護者は我が子に期待するあまり、「主役をしてほしい!」「目立ってほしい!」「うちの子ならできる!」という感情から、発表会では子どもの役に、音楽会では子どもの担当する楽器に対して「うちの子、本当は〇〇〇をやりたかったみたいなんですけど!」といったクレームを入れてくる保護者もいます。
クレームに対する対応方法の基本
ここでは全てのクレームに対して、共通している基本の対応方法について紹介していきたいと思います。
保護者の言いたいことをまずは全て受け止める
クレームを入れてくるということは、保護者の中に『不満』『悲しみ』『怒り』といった感情があることは間違いないです。
保護者の言い分を聞いていると、保護者の思い込みや勘違いから「明らかにおかしい」と感じることもあると思います。
しかし、そこでは保育者側から言いたいことは抑えておき、まずは思いを全て聞き出します。
まずは保育者に聞いてもらうことで、保護者側も少し気持ちが落ち着いてきます。
事実確認の上、良くなかったことは素直に謝罪する
保護者に対して、不安な気持ちにさせてしまったことに対しては謝罪をしましょう。
そして、クレーム内容に関しては、きちんと事実確認をしたうえで、本当に園側に落ち度があった場合に関しては丁寧に謝罪をすることが大切です。
今後の対応策について伝える
生じてしまったクレームに対する事実について、園側に落ち度があった場合は、「今後はどうしていくか」について、解決策を保護者に伝えます。
「園は聞いてくれたけど、その後何もしてくれない・変わらない…」となると、再び保護者の園に対する不信感に繋がります。
また、現代はSNSなどもありますので、園の対応が悪いと保護者同士、または地域にすぐに悪い噂が広まってしまいます。
理不尽なクレームに対しては否定せずに園側の意図も伝える
保護者からのクレームの中には、園側に落ち度が全くなく、明らかに保護者の一方的な要望というものもあります。
保護者の思いを受け止めたうえで、園としての方針や子どもの育ちの観点から専門的な意図があることも含めて、言葉を選びながら伝えていくことが必要なこともあります。
担任だけでなく園長教頭クラスの教諭と一緒に対応する
クレーム内容は園長に報告するのは必須ですが、内容によっては、園長と一緒に対応し、保護者に謝罪するようにしましょう。
保護者によっては、「園長先生も聞いてくれた、私の思いが園にきちんと届いた」ということで満足する保護者もいます。
園として気づかせてもらって「ありがとう」の気持ちを伝える
日々保育をしていると、運営側からでは気づかないこともあります。
子ども達のために、良い保育を実施していくためには、園に対する保護者の理解と協力が必要です。
保護者に対して、「お伝えいただき、ありがとうございました」「今後も何か気づいたことがあれば教えてくださいね」といった言葉を一言添えるだけで、保護者は『この園はより良い園づくりを目指してくれているんだな』と捉えてくれます。
クレーム対応後は、園の職員間でクレーム内容を共有し、今後はクレーム内容と同じことが再び起こらないようにすることが大切です。
クレームを受けないようにするためには?
様々な保護者がいる中で、できるだけクレームを減らすために日々どのようなことを心がけると良いのでしょうか。
ここでは3つのポイントにしぼって紹介します。
幼稚園・保育者と保護者の信頼関係づくり
クレームを受けないようにするためには、保護者と保育者の間で日々コミュニケーションをとり、信頼関係を築いていくことが必須です。
色々なタイプの保護者がいる中で、できるだけ保護者達が不満をためないようにするためにも、日頃から保育者は保護者の思いに耳を傾ける姿勢を持てると良いでしょう。
また、子ども達の様子や情報をできるだけこまめに伝えたり、幼稚園としても配布物やホームページを通して園の方針や考え方、子ども達のためにしていること等を伝え、オープンな幼稚園にしていくことで、園に対して信頼感を持ってもらうことが大切です。
言葉の選び方
保育者は日頃から丁寧な言葉づかいを心がけ、保護者の思いを尊重した話し方をしましょう。
具体的には、何事にも保育者の決めつけにならないような話し方をすることがポイントです。
「~しなければならない」「~するべきですね」といったような断定的な言い方だと、きつい感じがしますが、「もしかしたら~してみると良いかもしれないですね」「~してみるのもオススメです」といったような話し方の方が、やわらかい感じがしますよね。
また、子どもの発達に関して話をするときも「発達の送れ」「問題」というワードは禁句です。
発達に関した話をする時には、特に言い回しに気を付け言葉を選ぶようにしましょう。
園の活動のねらいを理解してもらう
特に発表会や音楽会等の保護者が子どもの姿を参観する時には、活動のねらいを理解しておいてもらうことでクレームを防ぐことができることもあります。
例えば、年長児が発表会で役を決める際には、「子ども達が色々な役を経験したうえで、自分がやりたい役を選んで決めました」「子ども達同士で相談したり、譲ったり譲られたりする嬉しさを経験することができました」等、【何の役になったか】が大切なのではなく、【役を決める過程の中で子ども達がどのような育ちをしたのか】について伝えておくことで、保護者の理解を得ることができます。
私が実際に受けたクレーム事例
最後に私が年中時の担任を受け持っていた時に受けたクレームについて事例と対応方法について紹介します。
事例内容:「水筒の水が減っていないんですけど・・・」
私が学級担任を受け持っていた時、ある園児の保護者から帰り際に「先生、子どもの水筒の水が全然減っていないんですけど・・・」と言われたことがあります。
クレームを受けたときには正直、「え、そんなことまでチェックできないよ!?」と思いました。
普段は定期的に「水筒のお水飲もうね」と子ども達全体に向けて声掛けはしていましたが、1人ひとりの水筒の水分量の減りまでは確認しません。
しかし、保護者からしたら我が子しか見えていませんので、水筒の水が全く減っていなかったら、「園で水飲んでいないんだな」とすぐに分かるわけです。
対応方法
保護者からクレームを受けたときには、気づけなかった事実についてはすぐに謝罪をしました。
そして、「明日から〇〇ちゃんに直接水分補給を促していきますね」とすぐにできる対応方法について伝えました。
実際、翌日からは子ども達全体にむけての声掛けとは別に、個別に〇〇ちゃんに「お水飲もうね」と一声かけるようにしました。
また、クレームをうけてしばらくは、降園前に〇〇ちゃんの水筒が軽くなっているか・水が減っているかについても確認するようにしていました。
今回のクレームを通して感じたこと
今回のケースでは、普段30人近い子どもを1人で見ている担任にとっては、気づけない内容のクレームでした。
確かに水分補給に関しては、子どもの身体と健康に関わることでしたので、保護者から直接クレームとして言ってもらえて良かったと思っています。
クレームには、子どもを思うあまりの理不尽なクレームも多いですが、今後の保育に繋がるような(保育している側では気づくことができないような)助かるクレームもあるということを感じました。
まとめ
今回は幼稚園でよくある保護者からのクレームとクレームに対する対応方法、クレームを予防するためにできることについて紹介してきました。
日頃から相手を思いやる言葉を心がけること、信頼関係を築くこと、初期対応を丁寧にすることをしていれば、クレームが大きくなることはほとんどありません。
また、万が一クレームが発生しても相手の気持ちに寄り添うことを忘れずに対応していくようにしましょう。
コメント