日本の立法システム国会の二院制シリーズ第2回目は、「両院対等の権限」について説明します。
「両院対等の権限」とは?
「両院対等の権限」とは「衆議院」「参議院」両院に対等に認められている権限のことです。
「国会」には様々な機能がありますが、「衆議院」と「参議院」はその性質の違いから、必ずしも対等な立場にはありません。
「衆議院」は任期が短く解散もあるため、より民意を反映させやすいと考えられています。
そのため、「衆議院の優越」という制度が認められており、「法律案の議決」や「条約の承認」など様々な面で「衆議院」が優先されることになっています。
しかし、対等に認められている権限も存在します。
それは「憲法改正発議権」「弾劾裁判所設置権」「国政調査権」の3つです。
以下でその「憲法改正発議権」「弾劾裁判所設置権」「国政調査権」の3つについてそれぞれ説明します。
「憲法改正発議権」とは?
「憲法改正発議権」とは憲法改正のための議案を提出する権限のことです。
憲法の改正には、慎重な手順と多数の賛成が必要になります。「憲法改正の発議」は「衆議院」「参議院」各議院の総議員の3分の2の賛成で成立することになっています。ここでは「衆議院の優越」は認められず、「参議院」も対等の権限を持っていることになります。
「憲法改正発議権」は憲法96条で次のように定められています。
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。(下略)
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「弾劾裁判所設置権」とは?
「弾劾裁判所」とは、裁判官を裁くための裁判所のことです。裁判官が裁判官として不適当な行いをした際に、その裁判官を罷免する(やめさせる)かどうかを決めるために設置されます。
また、「弾劾裁判所」では一旦罷免された裁判官の資格回復に関する裁判も行います。
「弾劾裁判」は「衆議院」と「参議院」の議員からそれぞれ七名ずつ裁判員となり、行われます。両院から同数ずつ裁判員が選ばれるため、「衆議院の優越」は存在せず、対等の権限となっています。
「弾劾裁判所設置権」は憲法64条で次のように定められています。
第六十四条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
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「国政調査権」とは?
「国政調査権」とは「行政権」の行使を中心とした国政全体を、国会が国民に代わって監督する権限のことです。国政について調査するため、証人の出頭・証言(証人喚問)、記録の提出などを要求することができます。
「国政調査」は「衆議院」と「参議院」の各議院がそれぞれに設置された委員会を通じ、別個に独立して行使する権限です。そのため、「衆議院の優越」は認められていません。
「国政調査権」は憲法62条で次のように定められています。
第六十二条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
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まとめ
以上、日本の立法システム国会の二院制シリーズ第2回目は、「両院対等の権限」について説明しました。
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