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【雪国の冬備え】豪雪地帯への国と自治体の対策と事例について

季節ごとの気温差が激しい風土を持つ日本において、雪も冬の風物詩として親しまれていますが、豪雪地帯にとって毎年の雪は生活に支障の出る災害ともなります。本日は、豪雪地帯へ毎年行われている雪への対応と豪雪地帯の指定方法、国と自治体の事例を中心にご紹介します。

2018年01月19日更新

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目次
豪雪に対する法律「豪雪地帯対策特別措置法」とは
豪雪地帯へ国が行っている道府県豪雪地帯対策基本計画とは
豪雪地帯・特別豪雪地帯への国と自治体の対策事例
まとめ
【雪国の冬備え】豪雪地帯への国と自治体の対策と事例について

豪雪に対する法律「豪雪地帯対策特別措置法」とは

日本でも存在する豪雪に対する法律

日本は小さな国土の島国ですが、北の北海道から南の沖縄まで同じ国でも全く違う気候の地域が存在します。ですので、特に首都圏など雪の少ない地域に住んでいる人は実感が沸かないかもしれませんが、実は日本の豪雪地帯と呼ばれる地域は、世界各国と比較しても遜色ない積雪量を記録しています。つまり、日本の豪雪地帯は日本の中だけでなく世界に認められる「雪国」と言って良いのです。

世界クラスの雪国である日本では、豪雪に対する法律の「豪雪地帯対策特別措置法」が存在します。豪雪地域対策特別措置法は、冬場の災害にもなる豪雪への対策を目的とした法律で、主にどの様な地域が豪雪地域として指定されているか、豪雪への対策のための計画の立案とその事業の実施について制定されています。

実は定義のある「豪雪地帯」

日本で豪雪地帯と呼ばれる地域といえば、一般的には北海道や東北地方、日本海側の北陸地方などの地域がイメージされます。実は、豪雪地帯も豪雪地域対策特別措置法の中で定義があり、指定されているのです。

まず、豪雪地域対策特別措置法の第一条では「積雪が特にはなはだしいため、産業の発展が停滞的で、かつ、住民の生活水準の向上が阻害されている地域」とあり、この内「国土交通大臣、総務大臣及び農林水産大臣が前条に規定する地域について、積雪の度その他の事情を勘案して政令で定める基準に従い、かつ、国土審議会の意見を聴いた」上で決定した道府県の区域の全部又は一部を「豪雪地帯」として指定しています。

具体的な豪雪地帯の基準は豪雪地域対策特別措置法の下位法令にあたる「豪雪地帯の指定基準に関する政令」で「国土交通省令・総務省令・農林水産省令で定める期間の塁年平均積雪量が一日当たり5,000センチメートル以上の地域が存在する都道府県または市町村」と定めています。

そして豪雪地帯として指定されるのは、上記の豪雪地帯の基準を満たした地域が道府県又は市町村の3分の2以上を占める場合、豪雪地帯の基準を満たす地域が道府県または市町村の3分の2以下でも半分以上あり、かつ道府県庁が所在する市の区域の全部又は一部が豪雪地帯である場合、国土交通省令・総務省令・農林水産省令で定める市町村役場が存在する地域が豪雪地帯である場合、最後に豪雪地帯の基準を満たす地域が半分以上かつ隣接している都道府県や市町村が豪雪地帯指定を受けている場合の4パターンがあります。

つまり、都道府県及び市町村の大半が豪雪地帯である事、地域で豪雪地帯とみなされる範囲は半分ほどでも、県庁や役所など自治体の行政を担う施設がある地域が含まれる場合や隣接する自治体も豪雪地帯である場合は、豪雪地帯として認められるのです。

豪雪地帯の中でも更に豪雪「特別豪雪地帯」

更に豪雪地帯として指定された道府県の区域の一部を「積雪の度が特に高く、かつ、積雪により長期間自動車の交通が途絶する等により住民の生活に著しい支障を生ずる地域」を「国土審議会の議決を経て国土交通大臣、総務大臣及び農林水産大臣が定める基準」に従い、「特別豪雪地帯」として指定しています。

特別豪雪地帯は、積雪量と積雪による住民の生活の支障度合に応じた特別豪雪地帯指定基準を満たした地域が指定されます。

また、新しく豪雪地帯及び特別豪雪地帯の指定が行われた時には豪雪地域対策特別措置法に則り国土交通大臣、総務大臣及び農林水産大臣が公示を行います。

参考:
国土交通省 豪雪地域対策特別措置法 http://www.mlit.go.jp/common/001029279.pdf

どの都道府県が豪雪地帯として指定されているか?

▼全域豪雪地帯指定の都道府県
都道府県全域が豪雪地帯として指定されている「全域豪雪地帯」は太平洋に面する都道府県は北海道、青森県、岩手県の3県、日本海に面する秋田県、山形県、新潟県、富山県、石川県、福井県、鳥取県の7県です。

例えば一般的な豪雪地帯としてイメージされる北海道は都道府県としても全域豪雪地帯として指定されており、その中で特別豪雪地帯は富良野市、石狩市、洞爺湖町などが、豪雪地帯は札幌市や登別市、釧路市などがそれぞれ指定されています。

▼特別豪雪地帯に指定されている地域のある都道府県
特別豪雪地帯に指定されている地域のある都道府県は、上記全域豪雪地域に指定されている都道府県と、宮城県(大崎市)、福島県(磐梯町、猪苗代町など)、群馬県(片品村)、長野県(長野市、白馬村など)、岐阜県(高山市、飛騨市など)、滋賀県(長浜市)です。

▼豪雪地帯に指定されている地域のある都道府県
豪雪地帯に指定されている地域のある都道府県は、上記全域豪雪地帯に指定されている都道府県、特別豪雪地帯に指定されている地域のある都道府県と、栃木県(日光市、那須塩原市など)、山梨県(南アルプス町、早川町)、静岡県(静岡市、浜松市)京都府(福知山市、舞鶴市など)、兵庫県(丹波市、豊岡市など)、島根県(雲南市、浜田市など)、岡山県(美作市、真庭市など)、広島県(廿日市市、安芸高田市など)です。

▼豪雪地帯に指定されている地域のない都道府県
栃木県・群馬県を除く関東地方、京都府・兵庫県を除く関西地方、愛知県、三重県、和歌山県、山口県、四国地方全域、九州地方全域(沖縄含む)は豪雪地帯に指定されている地域がありません。

▼日本全体の豪雪地帯の割合
日本全体で見てみると、全自治体の約31%の24道府県532市町村が豪雪地帯の指定を受けていて、その範囲は日本の国土の約半分である約19平方キロメートルに上ります。

豪雪地帯へ国が行っている道府県豪雪地帯対策基本計画とは

豪雪に対する計画が立てられ、実行される

豪雪地帯及び特別豪雪地帯(以下本文ではまとめて豪雪地帯と記する)の指定を受けた地域では豪雪の対策を目的とした「道府県豪雪地帯対策基本計画」が立てられます。道府県豪雪地域対策基本計画では、交通通信の確保や農林水産業、義務教育、医療などの機能を維持するための対策が盛り込まれ、豪雪地帯では除雪を始めとした事業の施行、及び行財政上でも特別の配慮を受けます。

豪雪地帯の背景にある3つのもの

豪雪地帯対策基本計画は、豪雪地帯ならではの特徴や背景にあるものを考慮した上で立案及び施工されなければいけません。

以前は豪雪地帯において特に道路、鉄道を始めとした交通網のマヒによる地帯の孤立などが深刻となっていましたが、今は除雪技術の向上や最新鋭の機器類の導入などの対策によって改善しています。一方で少子高齢化の影響で豪雪地帯は過疎化が進み、人口の少ない地域や高齢者のみの地域も多くなりました。これによって、住民自らの雪かきなどの対策がしにくくなり、住民生活の維持及び改善の為のマンパワーが不足している状態となっています。

また、豪雪地帯は自然環境豊かな地域であるが故雪の被害を受けやすい特徴があります。つまり、豪雪地帯は日本の中でも農業や林業、水産業が盛んな地域で日本全体の食生産を担っているといっても過言ではありません。そして、近年では自然環境を活かしたエネルギー開発事業なども多く展開されています。豪雪地帯への対策を行う事は、日本全体の食や産業の供給バランスを保つ事にも繋がるのです。

最後に、雪は豪雪地帯にとっては自然災害ですが、日本の四季を楽しむ大切な要素の一つでもあります。豪雪地帯だからこそ、雪と親しみ雪を活用した地域振興につなげる、つまり地域住民にとって雪を害にしない事も、豪雪地帯対策基本計画の目的のひとつでもあるのです。

参考:
国土交通省 豪雪地帯対策基本計画 http://www.mlit.go.jp/common/001029282.pdf

豪雪地帯・特別豪雪地帯への国と自治体の対策事例

国・自治体によって色々な対策を行っている

豪雪地帯の地域住民の生活、交通網、そして日本全体の食や産業を守るために国・自治体は色々な対策を行っています。ここでは、その事例について紹介します。

国土交通省 「除雪ボランティアポータルサイト」の開設

国土交通省の地方振興課・豪雪地帯対策担当では各自治体や関係団体が募集している除雪ボランティア情報を集めて公開している「除雪ボランティアポータルサイト」を開設しています。

住居の屋根の雪下ろしから歩道、車道の雪かきなど生活に密着した箇所の雪かきは重労働であり、危険も伴う作業でありながら行わないと住民の生活が止まってしまいます。だからこそ、除雪ボランティアは、特に少子高齢化による高齢化と人口減少が進む地域にとっては特に心強い存在となりますので、様々な場所で募集されています。

また、雪かきは特に普段豪雪地帯に住んでいない人にとっては慣れない作業であり、一つ間違えると命の危険も伴います。安全・確実な除雪ボランティアが行えるように、雪かきの技術伝承を行える研修も紹介されています。

参考:
国土交通省 「除雪ボランティア」募集情報
http://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/kokudoseisaku_chisei_fr_000016.html

国土交通省 「雪国イノベーション創出」

豪雪地帯で発生する様々な問題解決のために新しい切り口や仕組み、技術の開発や創造を国内の企業や団体から募集し実現する「雪国イノベーション創出」を行っています。

北海道開発技術センターによる「ボランティア活動による広域交流イノベーション推進研究会」から派生した社員研修に除雪ボランティアを取り入れた取り組み、山形県尾花沢市民雪研究会と尾花沢市除雪ボランティアセンターによる除雪活動へゆるキャラや大学生の参加などを取り入れた「地域除雪を通じた地域間交流・人的交流の拡大」などの事例が生まれています。

参考:
国土交通省 「新たな地域除排雪の取組事例」
http://www.mlit.go.jp/common/001102886.pdf

要援助世帯に対する除雪サポートの事例

▼富山県富山市の屋根おろし等支援事業
富山市では、高齢者や障碍者の世帯や母子家庭など屋根の雪下ろしが困難な世帯に対して、屋根の雪下ろしの支援者を派遣する屋根おろし等支援事業を行っています。

▼富山県高岡市の生活支援型ホームヘルプサービス事業及び射水市の高齢者軽度生活援助事業など
一人暮らしの高齢者世帯に対して日常生活でのサポートを行うことによって自立を促す高岡市の生活支援型ホームヘルプサービス事業及び射水市の高齢者軽度生活援助事業では、援助の一環として高岡市では屋根の雪下ろし以外の除雪作業、射水市では週一回2時間までの玄関前の除雪作業も行っています。

他にも、富山県内では富山市の富山県高齢者総合福祉支援事業や南砺市の高齢者軽度生活援助事業などで、軽微な除雪作業を行っています。いつもの自治体のサポートに除雪作業がプラスして受けられる特徴があります。

▼富山県の除雪ボランティアの広域的な体制づくり
富山県ボランティアセンターなど、県内のボランティアに関する事業者や団体が中心となり、富山県内で除雪作業を行う除雪ボランティアの受け入れや活動の体制づくりを行っています。

除雪の為の作業や機械購入、住宅新築・改築に対する助成の事例

▼富山県富山市の地域ぐるみ除排雪活動の支援制度
富山市では、地区雪対策推進協議会又は町内会が除雪作業のための機械を購入する時や除雪作業をする時の費用を一部助成する地域ぐるみ除排雪活動の支援制度を設けています。

▼富山県黒部市の屋根融雪装置設置事業
屋根の雪下ろし作業軽減を目的のために、住宅に屋根融雪装置を新設する場合もしくは既に設置している装置を改築する場合に、100万円以上の工事費に対して30万円を補助しています。

▼富山県南砺市の克雪住宅普及事業
南砺市の旧利賀村、旧平村、旧上平村地域に限定し、雪おろしをしなくても自動で雪が滑落する性能を持つ住宅の基準を満たした落雪式住宅への工事の際に工事費100万円以上のものに対し30万円、屋根融雪できる電気やガスエネルギー装置を設置した融雪式住宅への工事の際に工事費 150 万円以上のものに対し 50 万円の助成金を支払う克雪住宅普及事業を行っています。

雪との共存や有効活用の為の自治体の事例

▼富山県の富山県元気な雪国づくり事業
富山に住む個人やグループ、国内の大学職員などに対し、雪に対する調査研究や技術開発、それらの普及の啓もう活動に対して費用の一部を富山県が助成する富山県元気な雪国づくり事業を行っています。

富山県は今まで雪発電装置のモデル装置の設計設置や、全国に先駆けて除雪情報システムの実用化など、多くの雪を活用した技術開発実績があります。

参考:
富山県元気な雪国づくり事業
http://www.pref.toyama.jp/sections/1711/yuki/use/use_jigyo.html

▼新潟県長岡市の中山間地域復興モデル住宅の考え方
新潟県長岡市では、山古志村の中山間地域において山古志らしい自然景観になじむデザイン、そして雪と上手に付き合える住宅づくりとしてモデル住宅の考え方を提案しています。

除排雪・融雪の為の新技術

▼岩手県遠野市の風力発電による融解システム
岩手県遠野市は年間強い風が吹く地域である事を活かし、風力発電による融解システムを導入、道の駅に設置してあります。融解力は風力発電ではまだ少ないものの、風車のある景観は地域のシンボルとしても根付いています。

▼青森県青森市の冬季バリアフリー計画
青森県青森市では、舗装道路や融雪の必要な箇所の地下に地下水や温水を巡回させる放熱管を埋め込み、路面の融雪や凍結防止効果のある無散水消融雪施設を、地区内の全歩道へ整備を進める冬季バリアフリー計画を実施しています。また、地下水や温水だけでなく、海水や地熱、太陽光など様々なエネルギーを活用できる無散水消融雪施設の新技術も開発中です。

▼北海道札幌市の下水道を利用して排雪処理する事業
北海道札幌市では、公園などの決まった場所に雪を集めて下水道を利用して融雪する事業を行っています。下水の温度は10度以上あり、融雪も下水と一緒に流されるので処理も楽、多くの雪を一度に融雪できるなどのメリットがあります。

▼青森県青森市の下水熱を利用したまちなかコミュニティ雪処理事業
青森県青森市では、住民の除雪作業の負担軽減のために、市街地で使われている合流下水道管とその中を流れる汚水の熱を利用した雪処理施設を整備する「まちなかコミュニティ雪処理事業」を実施しています。

他機関等への応援要請

▼自衛隊の災害派遣
自衛隊の任務の一つに、災害派遣があります。豪雪地帯への対策として自衛隊が派遣される事も実は少なくなく、緊急車両の通行確保や雪崩防止、孤立予想地域・公共施設での除雪を行っています。

▼消防団等の除雪広域応援要請
豪雪地帯から応援要請があると、近隣地域の消防本部や消防団から消防職団員が該当地区へ駆けつけ、要援護者世帯への除雪などを行います。

参考:
国土交通省 豪雪地帯の高齢者の安心安全への取り組み 
http://www.mlit.go.jp/crd/chisei/yuki/PDF14.pdf

まとめ

日本は世界の中でも雪国にあたる風土である事、そして豪雪地帯ならではの対策を国や自治体が行っている事が分かりました。

(文:千谷 麻理子)

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